甲殻類(十脚目)の画像集を更新しました
前回に引き続き、甲殻類の画像集の更新トピックスを紹介します。
今回は十脚類です。
最近はヨコエビなどの微小甲殻類だけでなく、
エビカニなどの大型甲殻類にも力をいれてます。
スジエビ属の1種 (Palaemon sp.)です。
多摩川河口で群れを作っていたエビです。
スジエビ属なのは確かだと思いますが、種レベルの同定ができていません。
文献を見ても多摩川河口のスジエビを種レベルで同定しているものはなく、
謎です。
テッポウエビ科(Alpheidae)の1種です。
テッポウエビ科は熱帯、亜熱帯の珊瑚礁を中心に分布します。
日本では多くの種の分布が琉球列島北部で途切れますが、
一部の種が珊瑚礁の分布域より北に生息しています。
黒潮域では房総半島が分布北限、対馬暖流域では北海道西岸の忍路まで2種が分布します
この個体の最終地点は宮城県なので太平洋側の北限を超えています。
エビジャコ属の1種 (Crangon sp.)です。
ややこしい名前ですがエビです。
ただエビジャコ科(Crangonidea)は第1歩脚が不完全なハサミ(亜はさみ)であることが特徴ですので、
ややこしい名前の由来も理解できます。
三番瀬で採取しました。
次はヤドカリです。
ユビナガホンヤドカリ(Pagurus dubius)です。
近縁のホンヤドカリと比較すると歩脚の指節が前節よりも明らかに長く、
第2脚の前節と腕節の上縁に長毛が列生します。
干潟に多いようです。
ケアシホンヤドカリ(Pagurus lanuginosus)です。
前甲長4mm内外、岩礁の潮間帯に生息します。
ハサミ脚は右側が大きく、ハサミ脚と歩脚に長毛が密生します。
第2触角は深紅で目立ちます(日本海岸動物図鑑)。
歩脚は明るい緑色で黒色の斑点があります。
歩脚の色がヨモギホンヤドカリ(Pagurus nigrofascia)に似ていますが、
歩脚に黒い帯があることで区別できます(海辺のエビ・ヤドカリ・カニハンドブック)。
マメコブシガニ (Philyra cf. pisum)です。
マメコブシガニは干潟のアイドル的なカニです。
宮城県の万石浦で採取しました。
ただ、この個体は殻の後端に突出している突起があり、
その部分が本来のマメコブシガニと異なります。
東京湾産のマメコブシガニと比較検討したいと考えています。
イソガニ(Hemigrapsus sanguineus)です。
ハサミ脚は平滑無毛で外面上縁付近には大小の斑点があります。
日本海岸動物図鑑によれば岩礁・転石地で普通に見られるとのことですが、
同じモクズガニ科のヒライソガニ(Gaetice depressus)よりは
少ないように思います。
あるいは生息環境が異なるのかもしれません。
タカノケフサイソガニ(Hemigrapsus takanoi)です。
どこにでもいるカニの代表です。
干潟や河口部の石の下などに生息しています。
ケフサイソガニ(Hemigrapsus penicillatus)によく似ていますが、
腹面の点紋はタカノケフサイソガニの方が細かく数も少ないです。
ケフサイソガニ(Hemigrapsus penicillatus)です。
海辺のエビ・ヤドカリカニハンドブックによれば、
排水が流れ込むような場所でも見られることがあるとのこと。
普通種ですが、タカノケフサイソガニよりも見つけにくいです。
ヒライソガニ(Gaetice depressus)です。
甲長22mmまで、甲面が著しく扁平で平滑。甲面の色彩は変化に富みます。
額は中央がわずかに窪みます。
前側縁には眼窩外歯を含めて3歯ありますが、第3歯は小さく痕跡的です。
磯で普通に見つかりますが、淡水の影響を受ける場所には生息しないそうです。
ヤマトオサガニ(Macrophthalmus (Mareotis) japonicus)です。
干潟のカニです。ハサミを上下させるウェービングを行います。
日本海岸動物図鑑によれば甲長29mmまで、眼窩外歯はあまり尖らず
後方は大きな切れ込みによって第2歯に続き、第2歯の後方に小さな切れ込みがあります。
前側縁の第2歯の位置で甲は最大幅になります。
雄は雌よりもハサミ脚が著しく大きく発達し、歩脚よりも長大になります。
青森県から種子島までの泥干潟に生息するそうです。
コメツキガニ(Scopimera globosa)です。
こちらも干潟のカニです。コメツキガニもウェービングを行います。
日本海岸動物図鑑によれば甲長9mmまで、甲は前方に狭まった球状。
甲面は心域を除き顆粒が散在します。
眼窩外歯の後方に切れ込みが1個あります。
ハサミ脚は雌雄ともに左右は同じ大きさ。
ハサミ脚、歩脚の長節の内・外面には長卵形の鼓膜状構造があり、呼吸に関与した器官とされています。
イワガニ(Pachygrapsus crassipes)です。
よく見られるカニですが、1890年以前には日本での記録がなく、
アメリカ大陸沿岸からの移入種とみられているそうです(日本海岸動物図鑑)。
動きはすばやく、力が強く、ハサミに挟まれると非常に痛いとのことです
(海辺のエビ・ヤドカリカニハンドブック)。
今回の更新ポイントはここまでです。
現在、ヨコエビの更新準備中です。