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サンプル採取紀行

2018年9月19日 (水)

男鹿半島サンプリング(2018年8月13日~16日)

8月13日から8月16日にかけて
秋田県男鹿半島周辺に小さな生物の採取に行きました。
神奈川県から秋田県に行くには新幹線、自家用車(高速道路)など、
幾つかのルートがありますが、
今回は自家用車+フェリー(新潟-秋田)を選択しました。

まず8月13日に自家用車で新潟港に向かいました。
環8号線で雷雨に見舞われたり、
先行きが不安になるような天候でしたが、
夜11時くらいには無事にフェリーに乗船。
翌朝6時(8月14日)には秋田港に到着しました。

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写真は早朝の秋田港です。
停泊中のフェリーは大きな建物みたいですね。
ここから男鹿半島に向かいました。

まずは男鹿半島南部の鵜ノ崎海岸に向かいました。
鵜ノ崎海岸は「日本の渚百選」に選ばれるほどの美しい海岸で、
鬼の洗濯板と呼ばれる筋状の地層を見ることができます。
男鹿半島はジオパークに選定されるくらい地質的にも面白い場所なのですが、
今回は小さな生物の調査に集中します。

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鵜ノ崎海岸の海は透明度が高く、
波もほとんどありませんでした。
少ないですが海藻もあります。

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ここでは、ヒメハマトビムシ
P. parapacificaP. joiP. pacificaのどれか、どれもなんだか微妙です・・・)、
ナガタメリタヨコエビ(Melita nagatai)、モズミヨコエビ(Ampithoe valida)、
ニッポンドロソコエビ(Grandidierella japonica)、
ハマトビムシ科のヨコエビ、イソコツブムシ(Gnorimosphaeroma rayi)、
ケフサイソガニ(Hemigrapsus penicillatus)を採取しました。

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次に潮瀬岬に行きました。
ここはゴジラ岩という奇岩があることで有名です。
広い範囲に浅いタイドプールができていますが、
海藻はあまりありません。

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男鹿半島・大潟ジオパークのページには、
ゴジラ岩は「3,000万年前の火山の噴出物である火山礫凝灰岩」で
できていると書かれていました。
タイドプールのある平坦面は泥岩か凝灰岩でできています。

男鹿半島には25年前、大学3年生のときに、
大巡検という泊まりがけの地質巡検で来ました。
この時に学んだ記憶によれば
日本列島が大陸から分離し、日本海ができるまでの地質が
男鹿半島には残されているのだそうです。
ゴジラ岩を作った火山活動は日本海形成初期か形成前ですね。

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写真はケフサイソガニか、タカノケフサイソガニです。
ここではモズミヨコエビ(Ampithoe valida)、
ニッポンドロソコエビ(Grandidierella japonica)、
スジエビモドキ(Palaemon serrifer)を採取しました。

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続いて戸賀湾に移動しました。
戸賀湾は単成火山の爆裂火口です。
近くには一ノ目潟、二ノ目潟、三ノ目潟があります。
写真の場所は戸賀湾の南部です。
波が弱いのか、このあたりには海藻があります。

ここではナガタメリタヨコエビ(Melita nagatai)、
ヒゲナガヨコエビの1種(validaではない)を採取しました。

戸賀湾で昼食を頂きました。
サザエの壺焼きと岩ガキが美味しかったです。

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続いて男鹿半島の北側に移動しました。
写真は西黒沢海岸です。
ここには大きなタイドプールがありました。

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カモメでしょうか?
眼が怖いです。

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ヒザラガイです。
代表的な磯の生物ですね。

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こちらはカメノテです。
こう見えて甲殻類です。
三浦半島のものよりも大型です。

http://plankton.image.coocan.jp/Crustacea2-3-030.html

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西黒沢は「西黒沢層」と呼ばれる有名な地層の模式地だったと記憶しています。
重要な場所なので25年前の地質巡検でも来ていたはず。
・・・とはいえ、周りを見渡しても当時の記憶はないですね。
崖から落ちてきたのか、葉っぱの化石がありました。
西黒沢層は第三期中期中新世の地層で、
秋田・山形の日本海側の油田地域に分布するので石油資源的に有名ですね。

さて、この場所では通常の昼の採取の他に、
夜間採取も行いました。

昼、夜合わせて下記の生物を採取しました。

カイアシ:
ヒラアシヨコミジンコ属(Syngastes sp.)、
カラヌス目のカイアシ(ポンテラ科と思われる種と不明種)、
ニセボカシソコミジンコ属(Paralteutha sp.)、
ハルパクチクス目の1種

ミオドコパ

アミ:
オカダヨアミ(Siriella okadai)

ヨコエビ:
タテソコエビ科(Stenothoidae)
アゴナガヨコエビ科(Pontogeneiidae)
トゲホホヨコエビ(Paradexamine barnardi)、
フクスケヨコエビ科(Synopiidae)
ドロクダムシ科(Corophiidae)
ゴクゾウヨコエビ(Palinnotus thomsoni japonicus
クチバシソコエビ科(Oedicerotidae )
*ねこのしっぽラボでは初記載です。

モクズヨコエビ科(Hyalidae)
モズミヨコエビ(Ampithoe valida)
不明種1

その他のフクロエビ上目:
クーマ(3種類)、ワレカラ、コツブムシ亜目、
タナイス、

十脚目:
ゾエア、メガロパ、
スジエビモドキ(Palaemon serrifer)、
イワガニ(Pachygrapsus crassipes)、
イソガニ(Hemigrapsus sanguineus)

その他:
有孔虫2種類

ちなみにこの日は男鹿日本海花火でした。
花火にしても、夜間サンプリングにしても
天気が良くて良かったですね。

さて、夜間サンプリングから時間を戻って、
昼の西黒沢サンプリングの後は、
休憩も兼ねて入道岬に行きました。

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昼下がりの入道岬はちょっと暑かったですね。
入道岬は北緯40°にあることでも有名です。
写真は北緯40°のモニュメントです。

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入道岬のあとは夜間サンプリングまでの時間つぶしということで、
寒風山に行きました。
寒風山は標高355mの小さな成層火山です。
写真は第二火口です。

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こちらは第1火口だったと思います・・・。
大きな火口です。
火山地形が良く保存されているので、
てっきり活火山かと思ったのですが、
気象庁のホームページを見ても活火山ではないみたいですね。

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寒風山から見下ろした八郎潟です。
多角形の輪郭の湖が見えますが、これが八郎潟。
正確には調整池です。
かつては国内2番目の面積の湖だったということです。
この日の調査はこれで終了。
2日目に続きます。

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2日目は八郎潟の河口部からスタートです。
正確には船越水道です。
ここは水門の河口側なので汽水環境です。
潮の満ち引きを確認したわけではないですが
小規模な干潟ができているようです。

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水の透明度は良くありません。
長靴で調査を行っていますが、
深いところでは足下が見えなくなります。
深みにはまらないように注意して活動します。
この場所では、下記の甲殻類が見つかりました。
ハマトビムシ科(Talitridae)
マルソコエビ科(Urothoidae)
スジエビ属(Palaemon sp.)

マルソコエビ科を採取できたのは6年ぶりで、
きちんと解剖して付属肢の構造を確認したかったので、
ありがたかったです。

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秋田県の沿岸は大小様々な風車が多く、
独特の景観を作っています。
秋田的な光景ですね。

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昨日、見ていなかった場所として目潟に行きました。
写真は二ノ目潟です。
遠くに見える戸賀湾と同じく、
目潟も単成火山の爆裂火口(マール)です。
一ノ目潟、二ノ目潟、三ノ目潟まであります。
かつて、一ノ目潟周辺は橄欖岩が採取できる場所として有名でした。
ただ25年前の時点でも取り尽くされたような話を聞いていました。

地下深部、マントルには橄欖岩がたくさんあって、
その部分からマグマが勢いよく上昇してくると
橄欖岩を捕獲して地上まで持ってきます。
そういったものを捕獲岩(ゼノリス)と呼びます。
確か、一ノ目潟では地殻下部由来の花崗岩の捕獲岩も見られたはずですが、
花崗岩はその辺で普通に見られるので、
話題にはならないですね。

ちなみに橄欖岩の主要構成鉱物はカンラン石(olivine)です。
カンラン石の美しい結晶はペリドット、
つまり宝石ですね。

こういった事が理由かどうかは不明ですが、
今は目潟のそばには立ち入れないようです。
なので、目潟は見るだけです。

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二ノ目潟を撮影した場所は八望台という展望台で、
ここからは写真のように寒風山を見ることもできます。
この辺りは火山地域なんですね。

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再び戸賀湾にやってきました。
場所は戸賀海水浴場です。
ここでは、大きなヒゲナガヨコエビの1種を採取しました。
一応、解剖も行ったのですが、
ニッポンモバヨコエビ(Ampithoe japonica)とも、
モズミヨコエビ(Ampithoe valida)とも違う感じです。
もう少し調べてみましょう。
男鹿半島にはどうやら2種類のヒゲナガヨコエビがいるようですね。
(もっといるかもしれません。)
あとは、
アゴナガヨコエビ科(Pontogeneiidae)
モクズヨコエビ科(Hyalidae)
ハマトビムシ科(Talitridae)
メリタヨコエビ科(Melitidae)
ニホンコツブムシ(Cymodoce japonica
ヘラムシ、
ヒライソガニ(Gaetice depressus)を採取しました。

121_gao

続いてやってきたのは男鹿水族館GAOです。
というか、水族館前の磯の観察に夢中になってしまって、
閉館時間になってしまうという・・・。

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宿泊先の秋田市に戻りつつ、
八郎潟の調整池に立ち寄りました。
今でも十分広い湖ですが、
昔はもっと広大だったと思うと不思議な感じです。

さて、これで男鹿半島サンプリングは終了です。
後々、ヨコエビなどの顕微鏡写真を載せていきます。

2018年5月19日 (土)

三番瀬サンプリング 2018年4月28日

GW初日の4月28日にふなばし三番瀬海浜公園に行きました。
三番瀬は千葉県(東京湾)の干潟で、
ふなばし三番瀬海浜公園は都心に最も近い潮干狩り場として有名です。

潮干狩り場に行って、小さな甲殻類の採取を行いました。
貝を捕らないのなら有料の潮干狩り場に入る意味はないですが、
土地勘が無いので有効利用させてもらいました。
現地にカメラを持って行くのを忘れたので、
干潟の写真がありませんが、すごく賑わっていました。

潮干狩り場を退場するときに貝の計量があるのですが、そこで
「貝を捕らないで他の生物を採っていたのですが、確認しますか?」
と聞いたところ、
「一応確認させてください・・・。」
とのことだったので、
“一個体、一個体じっくりと見てもらおう!”
と思い、保冷バックを開けたのですが、
中のガラス瓶の山を見たとたん、
「あ、もういいです!」
と言われました。
そうですよね、忙しいですよね・・・。

そして家に帰ったから気がついたのですが、
すごく日焼けしていました。
というよりも火傷でした。
色白サラリーマンには初夏の日差しは強すぎた・・・。

そんなわけで採取した甲殻類を記載します。

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まずは干潟の代表的なカニ、コメツキガニ(Scopimera globosa)です。
丸っこい形が特徴的です。
一個体だけ見つけました。
目が飛び出しているのですが、上からではよく分かりません。

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この向きからなら目が飛び出していることが分かります。

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次は“どこにでもいるカニ”の代表、タカノケフサイソガニ(Hemigrapsus takanoi)です。
ただ、小型個体なのでケフサイソガニ(H. penicillatus)と混同している可能性があります。

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こちらは腹側から観察した画像です。
腹面の黒点が小さく、数が少ないのでタカノケフサイソガニと同定しました。

コメツキガニ、ケフサイソガニの他に、
ヤマトオサガニ(Macrophthalmus japonicus )も採取できました。
ただ、一枚の写真に収まらず、複数枚のつなぎ写真で撮影しました。
まだ画像をつなげていないので、こちらはしばらくお待ちください。
あと、マメコブシガニとイシガニもいましたが、
これらは顕微鏡で撮影するには大きすぎるのでお持ち帰りしていません。
現場で大型の生物を撮影できるような良いカメラが必要かも。
といっても今回はカメラそのものを忘れていったので、
根本から失敗しています。

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ユビナガホンヤドカリ(Pagurus minutus )です。
ホンヤドカリに比べて歩脚の指脚が長いことが特徴です。
ユビナガホンヤドカリは干潟、ホンヤドカリは磯に多くいます。

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エビジャコ属(Crangon sp.)と思われるエビです。
東京湾にはカシオペエビジャコとウリタエビジャコが生息してるそうです。
三番瀬にはウリタエビジャコ(Crangon uritai)が生息しているそうなので、
ウリタエビジャコの可能性が高いとは思いますが、
同定ポイントが分かっていないのでエビジャコ属としておきます。

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上から見たところです。
スジエビなどと比較すると額角が短いです。

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エビジャコ属第1胸脚の拡大写真です。
普通のエビ類の鋏脚とは異なり、
ヨコエビのような構造になっています。
このような構造を亜鋏状 (subchelate)と呼ぶそうです。

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こちらはクロイサザアミ(Neomysis awatschensis)です。
外見からはニホンイサザザミ(N. japonica)と区別が難しいですが、
尾節の形が異なるので、尾節をみれば簡単に識別できます。
今回も尾節の形からクロイサザアミと同定しました。
今回の三番瀬サンプリングではニホンイサザザミ(N. japonica)の雌も
1個体だけ採取しました。
ただ、多く見られるのはクロイサザアミのようです。

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続いてヨコエビです。
ヒゲナガヨコエビ属のモズミヨコエビ(Ampithoe valida)です。
実物はこの写真よりも鮮やかな緑色です。
雄の第2咬脚の掌縁には台形の突起があることが特徴です。

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ポシェットトゲオヨコエビ(Eogammarus possjeticus )です。
新鮮な個体はとても綺麗ですね。
三番瀬では普通に見られるヨコエビのようです。
今回のサンプリングでは、モズミヨコエビ、ポシェットトゲオヨコエビのほかに、
シミズメリタヨコエビ、アリアケドロクダムシも採取できました。

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ミツオビクーマ(Diastylis tricincta)です。
葛西臨海公園で最初に見つけて長らく不明種としていたのですが、
ようやく同定できました。
東京湾の干潟では普通に見られるようです。

今回採取した生物は何れも駄種で、レアなものはいないようです。
ただ、潮干狩り中に“何してるの~?”と見に来た方々に
ヨコエビやアミを見せると、“こんな生物がいるんだ~”とびっくりされるんですよね。
カニやエビは見つけても、ヨコエビやアミ、クーマとなると
普通には見つけにくいもかもしれません(小さいので)。

マメコブシガニを捕まえていた子供が多かったですね。
数の上ではタカノケフサイソガニのほうがはるかに多いのに、
無視されていたような・・・?

2018年4月 1日 (日)

伊豆大島 生物調査と火山巡検

3月20日~22日に伊豆大島に行ってきました。
小さな生物の調査と、火山巡検が目的です。

午前中の便で大島、岡田港に着きました。
現地は生憎の天気でしたが、レンタカーで島北部の野田浜に行きました。

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海岸で溶岩を見てテンションが上がります。

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20日は風雨が強い悪天候でしたが、
波が低かったのと、干潮の時間だったので海岸での甲殻類調査を強行しました。
野田浜の周辺では、モクズヨコエビ科の1種(おそらく Protohyale属)、
アリアケドロクダムシ(Monocorophium acherusicum)、
ユンボソコエビ科の1種、ナガタメリタヨコエビ(Melita nagatai)、
ハバヒロコツブムシ(Chitonosphaera lata)、
イソコツブムシ(Gnorimosphaeroma rayi)、
ツツオウミセミ(Cymodocella nipponica)が見つかりました。
甲殻類ではないですが、海岸にはイソテングダニがいました。

ツツオウミセミ(Cymodocella nipponica)は“ねこのしっぽラボ”では
初めての記載になります。
海岸動物図鑑によれば、紀伊半島、朝鮮半島、南シナ海に分布とあるので、
黒潮系の生物かも知れません。
ナガタメリタヨコエビ(Melita nagatai)も初めてです。

海岸生物の調査は順調だったのですが、
海藻の生えたコンクリートに足を滑らせて、
頭を打って、手のひらに怪我もしたので、
海岸での調査を一旦打ち切りにしました。
次回からヘルメットが必要か・・・。

海岸調査を打ち切った後は火山巡検に切り替えました。
明日(21日)は悪天候が予想されていたので、
まずは三原山に行くことにしました。

3_dscf3630

残念ながら、山頂部は雲の中でした。
かろうじて1986年溶岩流を見ることができました。
天候の回復を待って出直すことにします。

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次に地層大切断面に行きました。
ここには過去約1万5千年間の噴火記録が地層として残されています。
写真の下部には不整合も見られます。
地層の1枚、1枚が過去の大噴火の堆積物です。
こんな立派な露頭を見ると元地質屋の血が騒ぎます。

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露頭(地層が現れた崖)の上部にはスコリアの層があります。
スコリアの層は浸食されやすいのか、えぐられています。

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この付近からは利島が見えました。

この日の火山巡検はこれで終了。

この後、夜に波浮港で夜間ネットサンプリングを行いました。
波浮港にはコマセアミ(Anisomysis ijimai)、
トゲホホヨコエビ(Paradexamine barnardi)、種類不明のヨコエビ、
ウミオオメミジンコ属(Podon sp.)、ナギサスナホリムシ属(Eurydice sp.)、
サザナミクーマ属(Dimorphostylis sp.)、ナンノクーマ属(Nannastacus sp.)、
ウオノエの幼生、カイアシ類、貝虫類(ミオドコパ)が生息していました。

このうち、コマセアミとナギサスナホリムシ属は“ねこのしっぽラボ”では
初めての記載になります。

翌日は天気予報通りの悪天候。
とくに午前中は大荒れの天気でした。

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島の西側の火山博物館の玄関から海側を見た様子です。
ここでしばらく火山の勉強をしました。
1986年の噴火で元町に温泉が湧いたことを初めて知りました。

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火山博物館の後は島南部の波浮港に移動、
昨夜は写真が撮れなかったので改めて撮影します。
波浮港の入り江は9世紀中頃の噴火によるマグマ水蒸気爆発でできた火口です。
当初は火口と海の間はつながっていませんでしたが、
津波や工事によって外海とつながったそうです。
この頃には小雨になっていましたが、
風が非常に強い状態でした。

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波浮港の海岸から見た崖です。
この崖は爆裂火口の火口壁なわけですね。

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続いて南東部の筆島に行きました。
ごらんの通り、海は大荒れです。

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筆島は数十万年以前の古い火山の名残だそうです。

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筆島の近くには磯もありますが、
生物調査は無理そうです・・・。

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続いて裏砂漠の方面に向かいました。
見ると道路脇には雪が・・・。
きっと午前中は雪だったんですね。

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月と砂漠ライン入口はご覧の通りです。
砂漠じゃ無くて雪原になっていそうです。
チェーンがかかっていますが、立ち入り禁止ではなく、
車止めだそうです。
足跡が幾つかあります。

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ただ駐車場がこんな感じで、
砂漠に行って戻ってきたら路面凍結していた、では洒落にならないので、
裏砂漠の散策はあきらめました。
この日はこれで終了。
次の日が最終日なので早めに寝ました。

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朝食後、速攻でチェックアウトして三原山に来ました。
三原山頂口の駐車場はあいかわらずの天気です。
この場所は三原山の外輪山の縁にあります。

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駐車場から少し歩くと中央火口丘までのハイキングコースの入り口があります。
そこからの眺めです。
三原山は雲の中です。
一昨日よりも条件が悪そう・・・。

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気を取り直して、天気予報によれば回復傾向とのことですし、
ハイキングコースを進みます。
少し明るくなってきたかな。

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突然、霧が晴れて三原山の中央火口丘が現れました。
1986溶岩流もはっきり見えます。

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遊歩道は舗装されているのですが、
そこにカエルのタマゴがいっぱい落ちていました。
水辺が少ないし、昨日は水がいっぱいあったのかもしれないけど、
オタマジャクシになるのは無理そうですね。

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退避壕です。
火山弾が飛んできたら隠れましょう。

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1986年A溶岩の末端です。
このあたりは平坦な地形です。
溶岩流の周囲の植生が回復しているように見えます。
噴火が無ければ森林になるのでしょう。

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1986年A溶岩の表面です。
溶岩流の表面はガサガサした石で覆われています。
溶岩流の表面は速やかに冷えて薄皮ができるのですが、
内部はまだ流動を続けているので、
薄皮は引き延ばされたり、逆に押されたりして
たくさんのひび割れができれ壊されていきます。
そうしてできた破片がこのような石になります。
この石をクリンカー、このような形態の熔岩をアア溶岩(aa lava)といいます。

22_dscf3724

1986年A溶岩の末端です。
溶岩流の末端もたくさんのクリンカーに覆われています。
1986年の噴火の時にはクリンカーの隙間から、
真っ赤な熔岩が見えたことでしょう。

23_dscf3725

三原山の中央火口丘を登り始めたところで、
後ろを振り向きました。
遠くに見える連なった丘は外輪山、
外輪山からハイキングコースが延びています。
黒々とした部分が1986年A溶岩です。

24_dscf3731

北西の方向を見ました。
近くに見える丘は1986年B火口列です。
この周辺の火口から激しい割れ目噴火が起きました。

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三原山の中央火口丘の縁(内輪山)に到着しました。
ここには三原神社の神殿があります。
三原神社の隣には溶岩流が迫っていますが、
溶岩流は神殿を避け両側に分かれて流れていったそうです。
不思議ですね。
御神火のなせる業でしょう。

26_dscf3735

三原山の中央火口丘山頂部平坦面です。
内輪山に囲まれたこの部分は、
1986年の噴火時には溶岩湖になっていました。
黒々とした熔岩は溶岩湖の名残ですね。
噴火から30年が経過した現在では、
植生がわずかに回復しています。

27_dscf3748

三原山の中央火口です。
ほとんど霧に覆われて見えなかったのですが、
霧の隙間からわずかに火口壁を見ることができました。
なんというか“天空の城ラピュタ”のような風景でした。
1986年の噴火直後には熔岩で満たされていましたが、
1987年の噴火によって陥没し、
深さ200メ-トルの竪穴が再生したそうです。

28_dscf3751

中央火口近くの熔岩は滑らかな表面で、
縄状の模様がありました。
パホイホイ溶岩かもしれません。

29_dscf3753

ハイキングコースではアア溶岩(aa lava)の断面も観察できます。
熔岩の上部にはクリンカーの層があり、
内部には緻密な連続体があります。
連続体の下部にもクリンカーの層がありますが、
一連の溶岩流のものなのか、別の熔岩の表面なのか判断できませんでした。

30_dscf3755

内輪山付近では熔岩はアア溶岩になっています。
荒涼とした風景です。

31_dscf3756

内輪山のハイキングコースで平行な地層を見つけました。
火砕サージの堆積物に似ていると思います。
確か蔵王巡検で火砕サージ堆積物の見方を教えてもらったような。

32_dscf3757

近づいて撮影しました。

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中央火口丘から下山して後ろを振り返った様子です。
1986年A溶岩がよく見えます。

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こちらも振り返って撮影した画像です。
この頃から天気が悪くなってきました。

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外輪山に到着する頃にはこんな感じになってしまいました。
霧がかかっているとオートフォーカスが上手く効かないようです。

36_dscf3805

続いて外輪山の外側の割れ目火口列(1986年C火口列)に行きました。
1986年11月21日に外輪山北西で発生した割れ目噴火の跡です。
約1キロメ-トルの間に11個の火口が並んでいるそうです。
ここはその内の1個です。

362_dscf3805

何がどうなっているのか分かりにくいので、
解説図を付けました。
スコリア丘ができていて、中央に火口があります。
右側の自動車と比較するとスケールが分かると思います。

363dscf3771

スコリア丘の火口の内部です。
30年の間にずいぶん木が大きく育っています。

364dscf3771

足下にはスコリアがたくさん落ちています。

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1986年C火口列の別のスコリア丘の火口縁に立ちました。
向こうに見える崖が火口内壁です。
スコリアが高温で酸化したために赤色に変色しています。

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別の位置から火口内壁を撮影しました。
30年立っても崩れていないので、
それなりに硬く溶結しているようです。
加工内部の植生は豊かです。

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足下には大きな溶岩片(スパター)も落ちています。

40_dscf3804

これもスパターかもしれません。
やや発泡しています。

41_dscf3803

誰かが割ったスパターの断面です。
内部は発泡しています。

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1986年C火口列からは元町がよく見えました。
ということからは元町からも、C火口列の噴火がよく見えたことでしょう。

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火山巡検を終えて岡田港に戻ると、
良い天気でした。
ここに来て初めて青空を見ました。
綺麗な海です。
場所は日の出浜海水浴場(サンビーチ日の出)で、
ここでは打ち上げられたゴミに付着していたエボシガイの仲間を
見つけました。

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干潮の時間帯だったので、
磯での生物観察も行いました。
ここでは、ウミミズムシ属(Janiropsis sp.)、
ナガタメリタヨコエビ(Melita nagatai)、イワガニ、
ヒライソガニを見つけました。

45_dscf3823

さて、帰路です。
行きは手前のセブンアイランド愛、帰りは奥のセブンアイランド虹に乗りました。
船と言うよりは飛行機のような感じでした。
帰りはかなり波があったにも関わらず、乗り心地は良好でした。

今回の旅は天候の影響をかなり受けましたが、
楽しめたと思います。
次回は天気の良いときに行きたいですね。

2018年2月 5日 (月)

茨城県、1月2日の深夜サンプリング_2

2月になってしまいましたが、
正月の茨城県サンプリングの続きです。

前回、夜10時過ぎの干潮時に磯でヨコエビ採取したことを書きましたが、
その少し前、潮が高いときにプランクトンネット採取も行いました。

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コノハエビ(Nebalia sp.)を採取できました。
茨城県では過去にもコノハエビを採取していましたが、
前回は経験が浅く属レベルの同定ができていませんでした。
今回は日本産海洋プランクトン検索図説を頼りに、
額角、第2小顎、胸肢などの解剖を行い、
コノハエビ科 コノハエビ属(Nebalia sp.)であることを確かめました。

それにしても可愛い甲殻類ですね。
バージェス動物群のような古さを感じさせるところが良いです。

2__3

こちらはスナホリムシです。
コノハエビと同じくプランクトンネットで採取しました。
頭部中央の突起が突出することから、ヒメスナホリムシ
Excirolana chiltoni)と思われます。
貪食な性質のようで、一緒の瓶に入っていたヨコエビが
ことごとく囓られてしまいました。

3__2

干潮時の磯で採取しました。
ウミミズムシ属(Janiropsis sp.)と思われます。
第1胸脚が非常に発達しているので雄と思われます。
脚や触覚が千切れやすいので撮影が難しかったです。

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イサザアミです。

昼間に立ち寄った涸沼で採取しました。
群れを作って泳いでいました。
アミは弱い生き物で、
採取してから家に着くまでに死んでしまうことが多いのですが、
今回は水温が低かったためか、
ビーカーの中で一ヶ月ほど生きています。

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このフナムシは海岸で見かけるフナムシ属(Ligia 属)ではなく、
土壌生物のヒメフナムシ属(Ligidium 属)です。
フナムシ属よりも小型で、第2触角が短く、尾肢も短いです。
土壌から簡易ツルグレン装置で採取しました。

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こちらも土壌から簡易ツルグレン装置で採取しました。
背板15枚、歩肢15対なのでイシムカデ目です。

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こちらも土壌から簡易ツルグレン装置で採取しました。
歩肢が43対もあります。
ジムカデ目と思われます。

寒い季節でもそれなりに生き物は見つかるものですね。

2018年1月22日 (月)

茨城県、1月2日の深夜サンプリング

1月2日はスーパームーンでした。
満月、すなわち大潮。
正月で時間もあるし、これは海に行くしかありません。

ただ問題は干潮の時間が夜の10時過ぎであること。
満月なので少しは明るいですが、
暗闇のなかで採取を行わねばなりません。

それに気温。
真冬です。
なので、防寒をしっかりしてヘッドライトに懐中電灯も
プラスして夜間の採取を行うことにしました。

場所は茨城県の磯です。
ここには昼間に何回か来たことがあるので、
安全に採取できます。
さすがに、この条件下で初めての場所は怖いですね。

当日は気温は低かったものの、
風はなく、月も出ていたのでそれなりに好条件でした。
タイドプールを網でガサガサして、
小さな甲殻類を採取しました。
大きなヨツハモガニやヒトデも転がっていましたが、
それらは無視。
小さな獲物に執着します。

今回のブログではこのときに採取したヨコエビを紹介します。

_1

まず、モクズヨコエビ科です。
このヨコエビは模様がフサトゲモクズ(Protohyale affinis)に
良く似ているのですが、解剖して尾肢や尾節板の形状を
確かめたことがありませんでした。
今回解剖して、第3尾肢は単枝であること、
尾節板も2個に分かれていることを確認しましたが、
第1~第4底節板のトゲの有無を忘れました。
何かしら抜けますね・・・。

_2

モクズヨコエビ科の黄色の個体です。
フサトゲモクズ(Protohyale affinis)に似ていますが、
確信がありません。
解剖して違いを探しましたが、見つかりませんでした。
モクズヨコエビ科は難しいですね。

_3
テングヨコエビ科です。

この場所では普通種です。

_4
タテソコエビ科です。
この科は小さな種類が多いですが、
この写真の個体は比較的大きい方です。

_5
今回初めて採取したヨコエビです。
イソヨコエビ(Elasmopus japonicus)と思われます。
メリタヨコエビ科に属しています。
解剖して確かめました。
後日、解剖の詳細を掲載します。

_6
種類不明のヨコエビです。
おそらく文献の不足が原因で分類群を特定できていません。
この種の他にも分類群不明のヨコエビがいるので、
後日、解剖結果をブログに載せたいと思います。
このヨコエビを知っている方が見てくれることを期待します。

_7
こちらのヨコエビは磯で採取したものではありません。
茨城県の土壌で採取しました。
オカトビムシ(Platorchestia humicola)です。
雄を初めて採取しました。

今回はここまでです。
次回は茨城県で採取したヨコエビ以外の甲殻類を紹介します。

2017年10月22日 (日)

東京湾サンプリング 2017年10月 葛西臨海公園

葛西臨海公園で夜間のプランクトン採取を行いました。
東京湾は波が静かなので夜の採取はやりやすいです。

懐中電灯で海の中を照らすと大量のアミが泳いでいるのが見えました。
尾節を切り離して詳細に観察したところ、
ニホンイサザアミ(Neomysis japonica)であることが分かりました。

10211_01
日本海岸動物図鑑によれば、
ニホンイサザアミは浜名湖、東京湾、富山湾、最上川河口などから
見つかるそうです。
淡水の影響があるところに生息しているみたいですね。
佃煮の原料になるそうです。
こちらは雄のニホンイサザアミで第4腹肢が長く伸びています。

10211_02
こちらも雄のニホンイサザアミです。
日本海岸動物図鑑によれば、最大16mmになるそうですが、
今回採取したものは、そこまで大きくありませんでした。

10211_03
上の写真は雌のニホンイサザアミです。
腹肢が退化的です。

10212_01
クーマも採取できました。
ただ、種類が分かりません。
この種は以前にも採取していて、
そのときはニシキクーマかと推測していたのですが、
尾節を観察したところニシキクーマとは違うようです。
情報収集が必要です。

10213_01
ヨコエビも採取できました。
小型の個体のため第1咬脚が小さいですが、
ニホンドロソコエビ(Grandidierella japonica)です。
東京湾の代表的なヨコエビですが、東京湾で採取したのは初めてです。

10214_01
エビです。
たまたま網に入ってきました。
スジエビのなかまですが、腹部に筋状の模様がなく、
点紋があるのでユビナガスジエビ(Palaemon macrodactylus)と思います。

Photo
昼間のサンプリングでも見つかりますが、
カイアシも見つかりました。

カラヌス目と思われますが詳細不明です。
東日本震災一ヶ月後に茨城県涸沼で採取した種に似ています。
淡水の影響を受けるところに生息している種かもしれません。
なんとかして同定したいですね。

02
こちらもカイアシです。
生殖節がよく発達しています。
ハルパクチクス目に似ていますが、どうでしょうか。
この種も東日本震災一ヶ月後に茨城県涸沼で採取した種に似ています。

甲殻類以外のプランクトンも採取できました。

10215_01

こちらはヤムシです。
日本産海洋プランクトン検索図説では原生矢虫綱(Class Sagittoidea)、
ウィキペディアでは毛顎動物(Chaetognatha)とされています。

10215_02

頭部の拡大画像です。
小さな眼(眼色素)が特徴的です。

10215_03

別の個体の頭部です。
顎毛と呼ばれる牙のような構造があります。

ねこのしっぽラボのホームページでは
藻類、甲殻類、珪藻、土壌生物を中心にまとめていますが
こういったマイナーな生物も紹介しないといけないですね。

2017年10月15日 (日)

東京湾サンプリング 2017年9月 お台場

9月に東京湾(お台場)で夜間サンプリングを行いました。
金曜の夜のお台場はカップルでいっぱいでしたが、
そこに作業服+ヘッドライト姿で乗り込みました。

プランクトンネットではゾエアが大量に採取できました。
少数ですが、ウオジラミも採取できました。
ウオジラミを採取したのは初めてです。

岩の上には大きなフナムシ、
波打ち際にはヨコエビ(フサゲモクズ)がいました。

さて、ウオジラミです。


01

金魚などの淡水魚に寄生するチョウという甲殻類も
“ウオジラミ”の別名をもっているので紛らわしいですが、
今回紹介するウオジラミは海水魚に寄生するカイアシ
(Calididae;カリグス科)のなかまです。
ウオジラミは普通は魚の体表に寄生して体表から
粘液や血液を食べています。
なので、プランクトンとして見つかることは希だと思うのですが、
今回は複数個体見つかりました。

02

こちらもウオジラミです。
種や属レベルの同定は不勉強でよく分からないです。

03

こちらもウオジラミです。
上の写真のウオジラミと形態が異なっているので
最初は雌雄の差かと思ったのですが、
どうやら種が違うようです。
Nob!!氏のブログ、“Nob!!の勝手に甲殻類 ~ミジンコからタカアシガニまで~
続・ウオジラミ のページで紹介されている
Caligus undulatus Shen & Li, 1959に形態が良く似ています。
Nob!!氏は東京湾でプランクトンとして採取したそうなので、
採取場所も、採取したシチュエーションも良く似ています。

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こちらはCaligus undulatusと思われるウオジラミの先端部分です。
眼のように見えるのは吸盤なんだそうです。

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こちらは裏側の顎脚を拡大した画像です。
これで魚にしがみついたりするのでしょうか。

04

こちらは同時に採取したウオジラミの幼生(Copepodid)です。
幼生まで見つかったので、ウオジラミがこのあたりで
繁殖しているのは間違いないでしょう。

Photo

さて、こちらはウオジラミと同時に採取したゾエアです。
というか、お台場の海はゾエアだらけでした。
近場でカニの産卵があったのでしょう。

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こちらは岩の上で採取したフサゲモクズ(Hyale barbicornis)の雄です。
まとまった数が採取できたので雄雌の解剖もできました。

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こちらはフサゲモクズの雌です。
雄と比較すると第2咬脚が小さいです。

次回は葛西臨海公園です。

2017年10月 1日 (日)

宮城県牡鹿半島と万石浦周辺サンプリングの続き

ずいぶん間が開きましたが、宮城県牡鹿半島と万石浦周辺サンプリングの続きです。

まずヨコエビの続きです。


01

ヒゲナガヨコエビ属(Ampithoe sp.)と思います。
わりとよく見つかるヨコエビです。

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小型ですが、フサゲモクズ(Hyale barbicornisと思います。
第2触角に剛毛が密生していることが特徴です。
こちらも、わりとよく見つかるヨコエビです。
奥松島で採取したのですが、大型の個体は見つからず、
小型のものだけが採取できました。

03

アゴナガヨコエビ科(Pontogeneiidae)です。
遊泳力の強いヨコエビで、夜間のネットサンプリングでもよく見つかります。
昼間は海藻に付着しているようで、海藻をパシャパシャすると採取できます。
第2触角の柄部には青色の模様がありますが、
このタイプのアゴナガヨコエビは日本各地から見つかります。
体が透明で生きているときは内蔵が透けて見えます。
眼が大きいことも特徴です。

次はエビです。

01_2

小型のテッポウエビです。
干潮時の干潟で採取しました。
テッポウエビを採取したのは実は初めてです。

02_2

スジエビモドキ(Palaemon serrifer)です。
牡鹿半島で採取しました。
関東周辺では三浦半島に生息しています。
近縁種にイソスジエビ(Palaemon pacificus)がいますが
共存することは少ないようです。

ヤドカリです。

01_3

ユビナガホンヤドカリ(Pagurus minutus)と思われます。
普段、ヤドカリはあまり採取しないのですが、
たくさんのヤドカリがいたので採取したところ本種でした。
採取時はホンヤドカリ(Pagurus filholiだと思っていました。

Photo

カニ類のメガロパ幼生です。
種の同定は難しいです。

続いて等脚目です。

01_4

スナホリムシです。
遊泳力が強くピペットなどでの採取は難しいです。
夜間のネットサンプリングで採取できます。
珍しいものでは無いと思うのですが、採取は久しぶりです。
砂浜で採取しないからかもしれないですね。

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イソコツブムシ(Gnorimosphaeroma rayi)です。
普通種ですが、大きなものはそれなりに少ないです。

03_2

シリケンウミセミ(Dynoides dentisinus)の雄です。
雄は腹部背面中央に突起がありますが、雌にはありません。
イソコツブムシよりは数が少ないです。

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ヘラムシです。
種類までは分かりません。

宮城県サンプリングはこれで最後です。
次回、東京お台場サンプリングです。

2017年8月27日 (日)

万石浦と牡鹿半島のヨコエビ

宮城県牡鹿半島と万石浦周辺サンプリングの続きです。
今回はヨコエビの採取報告です。

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こちらはケナガブラブラソコエビ(Aoroides longimerus)です。
解剖して第1咬脚、第2咬脚、第3尾肢の形状から確認しました。
牡鹿半島で2匹採取できました。

Photo

ハマトビムシ科です。
海岸から2km内陸の道路沿いの土壌から採取しました。
体長1cm程度です。
日本産土壌動物のマトリックス検索によれば、
オオハマトビムシ(Traskorchestia ochotensis)に近いのですが、
分布域や大きさなどに、かなり疑問が残ります。
ただ、1点、マトリックス検索の分岐を変えるとオカトビムシ
Platorchesita humicola)になります。
こちらのほうが安心感があります(^_^)

その分岐ポイントなのですが、
下の写真をご覧ください。

1

これは第6脚 基節板の写真なのですが、
わかりやすいように基節板だけを外したものが
さらに下の写真になります。

2

矢印の部分を“直角または突起がある”と解釈すると、
オカトビムシに流れて、“滑らかに湾曲する”と判断すると、
最終的にオオハマトビムシに流れます。

そこで、今度は絵合わせで確認するのですが、
日本産土壌動物のハマトビムシの図は詳細なので分かりやすいです。
日本産土壌動物のオカトビムシ(Platorchesita humicola)の
全体図から、第6脚 基節板に着目してみると、
上の写真に似ています。
今回採取したハマトビムシはオカトビムシ(Platorchesita humicola)と
同定して良さそうです。
ただ、日本産土壌動物の記載よりも若干大きいのが気になります。

一方の、オオハマトビムシ(Traskorchestia ochotensis)の図とも
比較してみると第6脚 基節板の形状が違います。

Photo_2

こちらはヒゲナガヨコエビです。
ヒゲナガヨコエビ属(Ampithoe sp.)で良いと思います。

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こちらは万石浦の干潟で採取したメリタヨコエビです。
メリタヨコエビは小川 洋氏の“東京湾のヨコエビガイドブック”が詳しいです。

解剖してみたところ、第1触覚の副鞭は3節、第3腹側板は角張っていて、
第1咬脚は前節の上縁と下縁が突出していて、
第2尾節の背面に6本の棘があり、そして何より、
第2触覚鞭部に剛毛が多いので
ヒゲツノメリタヨコエビ(Melita setiflagella)でよさそうです。

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こちらも万石浦の干潟で採取したメリタヨコエビです。

第1触覚の副鞭は1節で痕跡的、第3腹側板は丸みを帯びていて
小さな歯状突起が並び、第2尾節の背面に4本の棘があります。
“東京湾のヨコエビガイドブック”と第3腹側板の形状に違いがあるのですが、
シミズメリタヨコエビ(Melita shimizui)に近いです。
シミズメリタヨコエビ?(Melita cf. shimizui)としておきます。

03

こちらも万石浦の干潟で採取したメリタヨコエビです。
雌の個体した見つからなかったので詳細な同定ができないのですが、
第3尾肢の外枝が2節なのでヤシャヒメヨコエビ属(Abludomelita sp.)
としておきます。

キタヨコエビ科のようです。

トゲオヨコエビ属(Eogammarus sp.)に似ていますが調査中です。

Photo_3

こちらは牡鹿半島で採取した所属不明のヨコエビです。
一見、モクズヨコエビ科に似ているのですが、
第3尾肢が完全に双葉で、尾節板に切れ込みが無く、
カマボコ型をしてるところなどが異なります。

そのうち詳細な解剖結果をブログに載せたいと思います。

2017年8月21日 (月)

宮城県(万石浦、牡鹿半島)の微小甲殻類2017年8月

宮城県の牡鹿半島と万石浦周辺にサンプリングに行ってきました。
万石浦には干潟が発達していたそうですが、
東日本震災後は地盤沈下で干潟が水没してしまったそうです。
現在の干潟の微小甲殻類がどうなっているのか気になったので調べてみました。
また、牡鹿半島の海岸生物も調べました。

Dscf3566

万石浦に流入する小河川の河口に生じた三角州です。
前日が大雨だったので流量が増えている可能性があります。
写真は干潮時で、小さな干潟が現れています。

行ってみると小さなカニがたくさんいました。
カニは顕微鏡で観察するには大きすぎるので、
普段は採取しないのですが、
この場所で最も目立つ生き物を調べないのもどうなのか、
と思ったので数匹採取して調べてみました。

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ハサミに毛の房があるので、どうやらモクズガニ科の幼体のようです。

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こちらもモクズガニ科の幼体と思われます。
甲羅の模様が違っているのですが、同種かもしれないですね。
この種類が優占種になっていました。

Photo

こちらはコブシガニ科と思われます。
マメコブシガニに似ていますが、甲羅の輪郭が少し異なります。
幼体だからかもしれません。

今回のサンプリングではカニの他にも、多くの甲殻類を採取できました。

今回採取したヨコエビのリストを紹介します。

メリタヨコエビ属(Melita)2種、ヤシャヒメヨコエビ属(雌)(Abludomelita)、
ヒゲナガヨコエビ属(Ampithoe)2種、ケナガブラブラソコエビ(Aoroides longimerus)、
ドロソコエビ属(雌)(Grandidierella sp.)、カマキリヨコエビ属(雌)(Jassa)、
トゲホホヨコエビ(Paradexamine barnardi)、タテソコエビ科、アゴナガヨコエビ科、
フサゲモクズ(Hyale barbicornis)、所属不明種1種、ハマトビムシ科(土壌性)
大雨でなければもう少し頑張れたのですが、
こればかりは仕方がないですね。
写真は次回の更新で紹介します。

その他、ユビナガホンヤドカリ、ワレカラ、イソコツブムシ(Gnorimosphaeroma rayi)、
シリケンウミセミ(Dynoides dentisinus)、スナホリムシ科、
ヘラムシ2種、メガロパ、ゾエア、テッポウエビ科、スジエビモドキ、フジツボ
などを採取しました。

カニとスジエビモドキが1cmを超えるくらいで、
他は数mmの小さな甲殻類です。

さて、今回撮影した最大の甲殻類はこれです。

Dscf3544

どうやらイシガニ(Charybdis japonica)のようです。

Dscf3551

マジックペンに攻撃しています。
普段、顕微鏡サイズのものしか見ていないので恐ろしく大きく見えます。

Dscf3541

写真を撮ろうとすると威嚇してくるので、
なかなか普通の写真が撮れません。

Dscf3539

背後に回っても仰け反って攻撃してきます。

イシガニはワタリガニやガザミの仲間で、美味しいカニらしいのですが、
食べるには小さいし、顕微鏡で撮影するのは大きいし、
大雨が降っていてそれどころでは無かったので、
早々に海にお帰り頂きました。
海に帰ってからも威嚇していました。

そういえば、今回出会った最大の生物は鹿でした。
夜間のネットサンプリングの時に遭遇しました。
イノシシでなくてよかったです。