サンプル採取紀行

2019年4月13日 (土)

伊豆半島サンプリング:2019年3月

3月14日~16日に伊豆半島に調査旅行に行きました。
主に下田付近で小さな生物の採取を行いました。
帰りに大室山によって火山巡検も行いました。

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良い天気でした!
ソメイヨシノではないと思いますが、桜も咲いていました。
TG5の深度合成モードで撮影した画像です。
花弁が少し2重になっていますね・・。
術写真じゃないので、まあ良い としましょう。

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まず訪れたのが下田エリアの爪木埼です。
写真の場所は爪木埼の北側エリアです。
とにかく海が奇麗でした。
波も穏やかだったので潮だまりでヨコエビを採取しました。

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こちらは爪木埼の別の場所です。
柱状節理で有名な場所です。
柱状節理を作る岩石は元マグマの火山岩です。
マグマが冷却するときに収縮によって亀裂が発達します。
このような亀裂を節理と呼びます。

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マグマの表面に対して垂直に節理が発達すると柱状節理になります。
6角形に亀裂が入るので柱状になります。
玄武岩質マグマが冷却するときによくみられますが、
ここの岩質は安山岩のようです。
安山岩が地下に板状に貫入した溶岩のようですね。

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この辺りは崩れた柱状節理の岩が転がっていて非常に歩きにくいのですが、
潮だまりでカニダマシなどを採取しました。
テッポウエビもいたのですが捕まえるときに失敗しました・・・。
うっかり鋏をつかんでしまい自切してしまいました。
エビ・カニを採取するときはソフトに扱わないといけないですね。
スナホリムシも捕まえました。
採取した甲殻類は現在冷凍中で観察待ちです。

この日は風が強かったのですが波が穏やかでよかったです。

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遠くに見える島は伊豆大島です。
昨年の調査旅行で行きました。

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右端に見えるのは爪木埼灯台です。
この時点で日が傾いてきて肌寒くなってきたので
1日目は終了しました。

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2日目は下田海中水族館周辺を探索しました。
赤根島の遊歩道を歩きます。
この日も風が強かった!

この辺りの岩質は凝灰岩みたいですね。
光が強くて色がわからないのですが、
淡い緑色をしているかもしれません。
緑色凝灰岩かもです。
層理がはっきりしているので水中堆積物かもしれません。
海底火山活動かな。
高温のマグマが海水に触れると急冷して自破砕溶岩という
特徴的な岩石ができたり、緑色になったりします。
グリーンタフもその一例ですね。

ところで、写真の露頭では断層を観察できます。
複数の断層が生じているので破砕帯といったほうがよいかも知れないです。

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断層を拡大しました。
逆断層かな。

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層理がよく見える場所です。
やはり水中堆積物かな。

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相変わらず波は穏やかで海はきれいです。
この場所でもヨコエビを採取しました。
砂浜でハマトビムシを採取したので、
GWにでも解剖するつもりです。
アミも採取できました。

2日目はここで終了です。

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最終日は火山巡検からです。
写真は大室山です。
夏なら緑色の草原が奇麗なのですが、春なのでしょうがないですね。
近すぎてよく分からないですが奇麗な円錐型をしています。
手前のリフトで登ります。
徒歩での登山は禁止だそうです。

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大室山の山頂火口です。
大室山はスコリア丘で5000年前の一回の噴火活動でできたそうです。
一回の噴火活動といっても数年間くらいは噴火が継続したようです。
伊豆半島北東部にはこのような小さな火山が70くらいも分布していて
東伊豆単成火山群などと呼ばれています。
大室山については様々な論文があると思いますが、私は
「およそ5000年前に東伊豆単成火山地域で起こった大室山噴火の推移と継続時間」
古谷野裕、早川由紀夫、町田洋(1996)地学雑誌、105(4) 475-484
という文献を読みました。
噴火活動の再現も書かれていて面白い論文でした。

ところで火口の中はアーチェリー場になっています。
風がないからかな。

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足元はスコリアがいっぱいです。
スコリア丘だから当然ですが、
昨年、伊豆大島で見た1986スコリア丘よりも規模が大きいですね。

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スコリアの写真です。
伊豆大島で得た知識によれば赤いスコリアは高温で酸化したものらしいです。
火口周辺のスコリアだから、当然といえば当然ですね。
スコリアは緻密で発泡が悪いように思えます。

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大きな岩、火山弾でしょうか。
表面には気泡が見られます。

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この部分はよく発泡していますね。

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これも火山弾でしょうか。
火口を一周する遊歩道に落ちていました。
落下の時にひび割れたように見えますが、
5000年間もここにあったのかな?
なんとなく新鮮そうなので遊歩道を作るときに現れたのかな。

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火山弾?の拡大です。

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見下ろすと伊豆シャボテン動物公園が見えました。
ここは周囲より少し高くなっています。
この部分には溶岩の湧き出し口があって、
ここから溶岩流が流出したそうです。
溶岩流は海まで達したそうですから、
この辺り一面、火の海になったでしょうね。
最近噴火した西ノ島みたいな様子だったのでしょう。

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写真中央に一碧湖(いっぺきこ)があります。
一碧湖も火山地形、というか火口です。
火口の窪地しかないのでマールに分類されています。
昨年、男鹿半島で見た一の目潟と同じですね。
この火口が活動したのは10万年前だそうです。
やはり東伊豆単成火山群の活動です。

なお、東伊豆単成火山群(伊豆東部火山群)の最も最近の活動は
1989年の伊東市沖の海底噴火です。
テレビで見た人も多いかもしれません。
この時の活動が沖合でよかったです。
このときの活動では手石海丘という海底火山ができました。
陸域で噴火が起きていたら激しいマグマ水蒸気爆発を起こして
一碧湖を小さくしたようなマールが誕生していたかもしれません。

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という訳で一碧湖に来ました。
ここではケンミジンコなどを採取しました。
珍しい藻類、ミクラステリアス(Micrasterias sp.)も採取できました。
ツヅミモ類が多数見つかったことから腐食栄養性の湖沼と思われます。

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一碧湖の崖(火口壁)では火山角礫岩の地層を見ることができます。
草が生えないように手入れしてあるみたいです。
ジオパークの見学者のためですね。

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最終日は最後に真鶴岬に行きました。
写真は三ツ石です。

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ここではカニ数種類とヨコエビを採取しました。
これらの甲殻類もGWに解凍して観察を行う予定です。
長期休みが待ち遠しいですね。

2019年3月10日 (日)

高崎観音山丘陵(板鼻層)の巡検

先月の初めの事ですが、群馬県の高崎観音山に行ってきました。
山名八幡宮に参拝することが目的です。
以前にここで参拝してから腰痛が良くなったので、
毎年お参りしています。

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良い天気でした!

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さて、山名八幡宮は高崎観音山丘陵の東縁にあります。
高崎観音山丘陵は平野からの高さは100~150m程度のなだらかな丘です。
白衣大観音や、観音山ファミリーパークが有名で、
南側はゴルフ場など開発が進んでいます。
一方で、雁行川などの小河川沿いでは板鼻層(新第三紀層)の露頭をみることができます。

まず、雁行川上流の“千人隠れ”というポイントに行ってみました。

3p2020010

落石防止のため近くに寄ることができず、
遠景写真になります。
分かりにくいですが、浸食によって下層がえぐられ小さな洞窟状になっています。
落ち武者が隠れたことが名の由来だとか。

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立ち入り禁止外の場所です。
凝灰岩層が浸食されて礫岩層が残っているようです。

この部分は渓谷になっていて冷たい風がながれています。
当日は暖かい陽気でしたが、谷底までは暖まらないみたいですね。
あるいは雁行川の冷水の影響かもしれません。

雁行川の川底には赤茶色の珪藻コロニーができていたので、
採取して顕微鏡で観察してみました。Planothidium lanceolatum(syn: Achnanthidium lanceolatum)や、
Ulnaria ulna(syn: Synedra ulna)などのおなじみの渓流生珪藻に混じって、
珍しい珪藻が見つかりました。

42_entomoneis_sp_2

Entomoneis sp.です。
生細胞なので細かな構造が見えにくいですが、
特徴的な形状なので属レベルでは間違いないと思います。
この珪藻のコロニーを見たのは初めてです。
今までは桧原湖で遺骸を数個体と海生の個体を見ただけでした。
こんなところに生息しているのですね。

5p2020090

雁行川を下っていくと立派な露頭がありました。
工事現場を避けて近くに寄ってみます。

6p2020015

浸食が続いているようです。
こういう場所では落石に注意が必要です。
新鮮な新第三紀層の露頭に近ずくと硫黄の匂いのような独特の匂いがします。
黄鉄鉱(FeS2)が風化して褐鉄鉱(FeO(OH)・nH2O )に変質するときに
硫黄が析出すると聞いたことがあります。
この硫黄が酸化して硫酸になると酸性土壌になったりするらしいですね。

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貝化石層がありました!
白く見えるところが貝化石です。

8p2020017

少し近くに寄った画像です。
貝化石は断面で見えています。
風化が進んでいて取り出すのは難しそうです。
こういうところでは、化石の産状を観察することにしましょう。

9p2020026

まず分かることは二枚貝の貝殻が1枚ずつ分離していることですね(離弁)。
貝が死んだ後に、水流にのって貝殻が移動したことを示しているので、
異地性の貝化石ということになります。
また、貝殻の凸面が下向きになっていることも
堆積環境を考える上でのポイントになります。
また、貝殻以外に目を向けると、砂から礫まで堆積粒子の粒が不均質であることが分かります。
地学では淘汰が悪いなどと表現します。

海岸や河原を見てみれば分かりますが、
一定の流れが続いているようなところは粒子の大きさが均質になります。
これは流速によって運ばれる粒子の大きさが決まっているからですね。
一般に流速の大きいところから運ばれた堆積物は
流速が遅くなるにつれて大きな粒子を落としていくので堆積粒子の粒が均質になります。

逆に、土石流などのように大量の土砂が一気に流れてきて、
イベントが一瞬で終わるときなどは
体積粒子の大きさが不揃いになるでしょう。
なのでこういった淘汰度も過去の環境を推測するための重要な指標になります。

10p2020065

さて露頭を見上げてみると
層理面が張り出しているところがあり、
そこに葉の化石が露出していました。

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ここも落石の危険があるので写真を撮るだけにしておきます。
広葉樹の葉みたいですね。
葉の隣に“穂”のほうな化石もあります。

この近辺で土壌(腐植)を採取できました。
次回は観音山丘陵のダニのまとめを行います。

2018年9月19日 (水)

男鹿半島サンプリング(2018年8月13日~16日)

8月13日から8月16日にかけて
秋田県男鹿半島周辺に小さな生物の採取に行きました。
神奈川県から秋田県に行くには新幹線、自家用車(高速道路)など、
幾つかのルートがありますが、
今回は自家用車+フェリー(新潟-秋田)を選択しました。

まず8月13日に自家用車で新潟港に向かいました。
環8号線で雷雨に見舞われたり、
先行きが不安になるような天候でしたが、
夜11時くらいには無事にフェリーに乗船。
翌朝6時(8月14日)には秋田港に到着しました。

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写真は早朝の秋田港です。
停泊中のフェリーは大きな建物みたいですね。
ここから男鹿半島に向かいました。

まずは男鹿半島南部の鵜ノ崎海岸に向かいました。
鵜ノ崎海岸は「日本の渚百選」に選ばれるほどの美しい海岸で、
鬼の洗濯板と呼ばれる筋状の地層を見ることができます。
男鹿半島はジオパークに選定されるくらい地質的にも面白い場所なのですが、
今回は小さな生物の調査に集中します。

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鵜ノ崎海岸の海は透明度が高く、
波もほとんどありませんでした。
少ないですが海藻もあります。

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ここでは、ヒメハマトビムシ
P. parapacificaP. joiP. pacificaのどれか、どれもなんだか微妙です・・・)、
ナガタメリタヨコエビ(Melita nagatai)、モズミヨコエビ(Ampithoe valida)、
ニッポンドロソコエビ(Grandidierella japonica)、
ハマトビムシ科のヨコエビ、イソコツブムシ(Gnorimosphaeroma rayi)、
ケフサイソガニ(Hemigrapsus penicillatus)を採取しました。

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次に潮瀬岬に行きました。
ここはゴジラ岩という奇岩があることで有名です。
広い範囲に浅いタイドプールができていますが、
海藻はあまりありません。

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男鹿半島・大潟ジオパークのページには、
ゴジラ岩は「3,000万年前の火山の噴出物である火山礫凝灰岩」で
できていると書かれていました。
タイドプールのある平坦面は泥岩か凝灰岩でできています。

男鹿半島には25年前、大学3年生のときに、
大巡検という泊まりがけの地質巡検で来ました。
この時に学んだ記憶によれば
日本列島が大陸から分離し、日本海ができるまでの地質が
男鹿半島には残されているのだそうです。
ゴジラ岩を作った火山活動は日本海形成初期か形成前ですね。

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写真はケフサイソガニか、タカノケフサイソガニです。
ここではモズミヨコエビ(Ampithoe valida)、
ニッポンドロソコエビ(Grandidierella japonica)、
スジエビモドキ(Palaemon serrifer)を採取しました。

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続いて戸賀湾に移動しました。
戸賀湾は単成火山の爆裂火口です。
近くには一ノ目潟、二ノ目潟、三ノ目潟があります。
写真の場所は戸賀湾の南部です。
波が弱いのか、このあたりには海藻があります。

ここではナガタメリタヨコエビ(Melita nagatai)、
ヒゲナガヨコエビの1種(validaではない)を採取しました。

戸賀湾で昼食を頂きました。
サザエの壺焼きと岩ガキが美味しかったです。

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続いて男鹿半島の北側に移動しました。
写真は西黒沢海岸です。
ここには大きなタイドプールがありました。

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カモメでしょうか?
眼が怖いです。

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ヒザラガイです。
代表的な磯の生物ですね。

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こちらはカメノテです。
こう見えて甲殻類です。
三浦半島のものよりも大型です。

http://plankton.image.coocan.jp/Crustacea2-3-030.html

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西黒沢は「西黒沢層」と呼ばれる有名な地層の模式地だったと記憶しています。
重要な場所なので25年前の地質巡検でも来ていたはず。
・・・とはいえ、周りを見渡しても当時の記憶はないですね。
崖から落ちてきたのか、葉っぱの化石がありました。
西黒沢層は第三期中期中新世の地層で、
秋田・山形の日本海側の油田地域に分布するので石油資源的に有名ですね。

さて、この場所では通常の昼の採取の他に、
夜間採取も行いました。

昼、夜合わせて下記の生物を採取しました。

カイアシ:
ヒラアシヨコミジンコ属(Syngastes sp.)、
カラヌス目のカイアシ(ポンテラ科と思われる種と不明種)、
ニセボカシソコミジンコ属(Paralteutha sp.)、
ハルパクチクス目の1種

ミオドコパ

アミ:
オカダヨアミ(Siriella okadai)

ヨコエビ:
タテソコエビ科(Stenothoidae)
アゴナガヨコエビ科(Pontogeneiidae)
トゲホホヨコエビ(Paradexamine barnardi)、
フクスケヨコエビ科(Synopiidae)
ドロクダムシ科(Corophiidae)
ゴクゾウヨコエビ(Palinnotus thomsoni japonicus
クチバシソコエビ科(Oedicerotidae )
*ねこのしっぽラボでは初記載です。

モクズヨコエビ科(Hyalidae)
モズミヨコエビ(Ampithoe valida)
不明種1

その他のフクロエビ上目:
クーマ(3種類)、ワレカラ、コツブムシ亜目、
タナイス、

十脚目:
ゾエア、メガロパ、
スジエビモドキ(Palaemon serrifer)、
イワガニ(Pachygrapsus crassipes)、
イソガニ(Hemigrapsus sanguineus)

その他:
有孔虫2種類

ちなみにこの日は男鹿日本海花火でした。
花火にしても、夜間サンプリングにしても
天気が良くて良かったですね。

さて、夜間サンプリングから時間を戻って、
昼の西黒沢サンプリングの後は、
休憩も兼ねて入道岬に行きました。

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昼下がりの入道岬はちょっと暑かったですね。
入道岬は北緯40°にあることでも有名です。
写真は北緯40°のモニュメントです。

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入道岬のあとは夜間サンプリングまでの時間つぶしということで、
寒風山に行きました。
寒風山は標高355mの小さな成層火山です。
写真は第二火口です。

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こちらは第1火口だったと思います・・・。
大きな火口です。
火山地形が良く保存されているので、
てっきり活火山かと思ったのですが、
気象庁のホームページを見ても活火山ではないみたいですね。

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寒風山から見下ろした八郎潟です。
多角形の輪郭の湖が見えますが、これが八郎潟。
正確には調整池です。
かつては国内2番目の面積の湖だったということです。
この日の調査はこれで終了。
2日目に続きます。

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2日目は八郎潟の河口部からスタートです。
正確には船越水道です。
ここは水門の河口側なので汽水環境です。
潮の満ち引きを確認したわけではないですが
小規模な干潟ができているようです。

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水の透明度は良くありません。
長靴で調査を行っていますが、
深いところでは足下が見えなくなります。
深みにはまらないように注意して活動します。
この場所では、下記の甲殻類が見つかりました。
ハマトビムシ科(Talitridae)
マルソコエビ科(Urothoidae)
スジエビ属(Palaemon sp.)

マルソコエビ科を採取できたのは6年ぶりで、
きちんと解剖して付属肢の構造を確認したかったので、
ありがたかったです。

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秋田県の沿岸は大小様々な風車が多く、
独特の景観を作っています。
秋田的な光景ですね。

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昨日、見ていなかった場所として目潟に行きました。
写真は二ノ目潟です。
遠くに見える戸賀湾と同じく、
目潟も単成火山の爆裂火口(マール)です。
一ノ目潟、二ノ目潟、三ノ目潟まであります。
かつて、一ノ目潟周辺は橄欖岩が採取できる場所として有名でした。
ただ25年前の時点でも取り尽くされたような話を聞いていました。

地下深部、マントルには橄欖岩がたくさんあって、
その部分からマグマが勢いよく上昇してくると
橄欖岩を捕獲して地上まで持ってきます。
そういったものを捕獲岩(ゼノリス)と呼びます。
確か、一ノ目潟では地殻下部由来の花崗岩の捕獲岩も見られたはずですが、
花崗岩はその辺で普通に見られるので、
話題にはならないですね。

ちなみに橄欖岩の主要構成鉱物はカンラン石(olivine)です。
カンラン石の美しい結晶はペリドット、
つまり宝石ですね。

こういった事が理由かどうかは不明ですが、
今は目潟のそばには立ち入れないようです。
なので、目潟は見るだけです。

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二ノ目潟を撮影した場所は八望台という展望台で、
ここからは写真のように寒風山を見ることもできます。
この辺りは火山地域なんですね。

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再び戸賀湾にやってきました。
場所は戸賀海水浴場です。
ここでは、大きなヒゲナガヨコエビの1種を採取しました。
一応、解剖も行ったのですが、
ニッポンモバヨコエビ(Ampithoe japonica)とも、
モズミヨコエビ(Ampithoe valida)とも違う感じです。
もう少し調べてみましょう。
男鹿半島にはどうやら2種類のヒゲナガヨコエビがいるようですね。
(もっといるかもしれません。)
あとは、
アゴナガヨコエビ科(Pontogeneiidae)
モクズヨコエビ科(Hyalidae)
ハマトビムシ科(Talitridae)
メリタヨコエビ科(Melitidae)
ニホンコツブムシ(Cymodoce japonica
ヘラムシ、
ヒライソガニ(Gaetice depressus)を採取しました。

121_gao

続いてやってきたのは男鹿水族館GAOです。
というか、水族館前の磯の観察に夢中になってしまって、
閉館時間になってしまうという・・・。

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宿泊先の秋田市に戻りつつ、
八郎潟の調整池に立ち寄りました。
今でも十分広い湖ですが、
昔はもっと広大だったと思うと不思議な感じです。

さて、これで男鹿半島サンプリングは終了です。
後々、ヨコエビなどの顕微鏡写真を載せていきます。

2018年5月19日 (土)

三番瀬サンプリング 2018年4月28日

GW初日の4月28日にふなばし三番瀬海浜公園に行きました。
三番瀬は千葉県(東京湾)の干潟で、
ふなばし三番瀬海浜公園は都心に最も近い潮干狩り場として有名です。

潮干狩り場に行って、小さな甲殻類の採取を行いました。
貝を捕らないのなら有料の潮干狩り場に入る意味はないですが、
土地勘が無いので有効利用させてもらいました。
現地にカメラを持って行くのを忘れたので、
干潟の写真がありませんが、すごく賑わっていました。

潮干狩り場を退場するときに貝の計量があるのですが、そこで
「貝を捕らないで他の生物を採っていたのですが、確認しますか?」
と聞いたところ、
「一応確認させてください・・・。」
とのことだったので、
“一個体、一個体じっくりと見てもらおう!”
と思い、保冷バックを開けたのですが、
中のガラス瓶の山を見たとたん、
「あ、もういいです!」
と言われました。
そうですよね、忙しいですよね・・・。

そして家に帰ったから気がついたのですが、
すごく日焼けしていました。
というよりも火傷でした。
色白サラリーマンには初夏の日差しは強すぎた・・・。

そんなわけで採取した甲殻類を記載します。

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まずは干潟の代表的なカニ、コメツキガニ(Scopimera globosa)です。
丸っこい形が特徴的です。
一個体だけ見つけました。
目が飛び出しているのですが、上からではよく分かりません。

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この向きからなら目が飛び出していることが分かります。

3_

次は“どこにでもいるカニ”の代表、タカノケフサイソガニ(Hemigrapsus takanoi)です。
ただ、小型個体なのでケフサイソガニ(H. penicillatus)と混同している可能性があります。

4_

こちらは腹側から観察した画像です。
腹面の黒点が小さく、数が少ないのでタカノケフサイソガニと同定しました。

コメツキガニ、ケフサイソガニの他に、
ヤマトオサガニ(Macrophthalmus japonicus )も採取できました。
ただ、一枚の写真に収まらず、複数枚のつなぎ写真で撮影しました。
まだ画像をつなげていないので、こちらはしばらくお待ちください。
あと、マメコブシガニとイシガニもいましたが、
これらは顕微鏡で撮影するには大きすぎるのでお持ち帰りしていません。
現場で大型の生物を撮影できるような良いカメラが必要かも。
といっても今回はカメラそのものを忘れていったので、
根本から失敗しています。

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ユビナガホンヤドカリ(Pagurus minutus )です。
ホンヤドカリに比べて歩脚の指脚が長いことが特徴です。
ユビナガホンヤドカリは干潟、ホンヤドカリは磯に多くいます。

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エビジャコ属(Crangon sp.)と思われるエビです。
東京湾にはカシオペエビジャコとウリタエビジャコが生息してるそうです。
三番瀬にはウリタエビジャコ(Crangon uritai)が生息しているそうなので、
ウリタエビジャコの可能性が高いとは思いますが、
同定ポイントが分かっていないのでエビジャコ属としておきます。

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上から見たところです。
スジエビなどと比較すると額角が短いです。

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エビジャコ属第1胸脚の拡大写真です。
普通のエビ類の鋏脚とは異なり、
ヨコエビのような構造になっています。
このような構造を亜鋏状 (subchelate)と呼ぶそうです。

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こちらはクロイサザアミ(Neomysis awatschensis)です。
外見からはニホンイサザザミ(N. japonica)と区別が難しいですが、
尾節の形が異なるので、尾節をみれば簡単に識別できます。
今回も尾節の形からクロイサザアミと同定しました。
今回の三番瀬サンプリングではニホンイサザザミ(N. japonica)の雌も
1個体だけ採取しました。
ただ、多く見られるのはクロイサザアミのようです。

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続いてヨコエビです。
ヒゲナガヨコエビ属のモズミヨコエビ(Ampithoe valida)です。
実物はこの写真よりも鮮やかな緑色です。
雄の第2咬脚の掌縁には台形の突起があることが特徴です。

11_

ポシェットトゲオヨコエビ(Eogammarus possjeticus )です。
新鮮な個体はとても綺麗ですね。
三番瀬では普通に見られるヨコエビのようです。
今回のサンプリングでは、モズミヨコエビ、ポシェットトゲオヨコエビのほかに、
シミズメリタヨコエビ、アリアケドロクダムシも採取できました。

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ミツオビクーマ(Diastylis tricincta)です。
葛西臨海公園で最初に見つけて長らく不明種としていたのですが、
ようやく同定できました。
東京湾の干潟では普通に見られるようです。

今回採取した生物は何れも駄種で、レアなものはいないようです。
ただ、潮干狩り中に“何してるの~?”と見に来た方々に
ヨコエビやアミを見せると、“こんな生物がいるんだ~”とびっくりされるんですよね。
カニやエビは見つけても、ヨコエビやアミ、クーマとなると
普通には見つけにくいもかもしれません(小さいので)。

マメコブシガニを捕まえていた子供が多かったですね。
数の上ではタカノケフサイソガニのほうがはるかに多いのに、
無視されていたような・・・?

2018年4月 1日 (日)

伊豆大島 生物調査と火山巡検

3月20日~22日に伊豆大島に行ってきました。
小さな生物の調査と、火山巡検が目的です。

午前中の便で大島、岡田港に着きました。
現地は生憎の天気でしたが、レンタカーで島北部の野田浜に行きました。

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海岸で溶岩を見てテンションが上がります。

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20日は風雨が強い悪天候でしたが、
波が低かったのと、干潮の時間だったので海岸での甲殻類調査を強行しました。
野田浜の周辺では、モクズヨコエビ科の1種(おそらく Protohyale属)、
アリアケドロクダムシ(Monocorophium acherusicum)、
ユンボソコエビ科の1種、ナガタメリタヨコエビ(Melita nagatai)、
ハバヒロコツブムシ(Chitonosphaera lata)、
イソコツブムシ(Gnorimosphaeroma rayi)、
ツツオウミセミ(Cymodocella nipponica)が見つかりました。
甲殻類ではないですが、海岸にはイソテングダニがいました。

ツツオウミセミ(Cymodocella nipponica)は“ねこのしっぽラボ”では
初めての記載になります。
海岸動物図鑑によれば、紀伊半島、朝鮮半島、南シナ海に分布とあるので、
黒潮系の生物かも知れません。
ナガタメリタヨコエビ(Melita nagatai)も初めてです。

海岸生物の調査は順調だったのですが、
海藻の生えたコンクリートに足を滑らせて、
頭を打って、手のひらに怪我もしたので、
海岸での調査を一旦打ち切りにしました。
次回からヘルメットが必要か・・・。

海岸調査を打ち切った後は火山巡検に切り替えました。
明日(21日)は悪天候が予想されていたので、
まずは三原山に行くことにしました。

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残念ながら、山頂部は雲の中でした。
かろうじて1986年溶岩流を見ることができました。
天候の回復を待って出直すことにします。

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次に地層大切断面に行きました。
ここには過去約1万5千年間の噴火記録が地層として残されています。
写真の下部には不整合も見られます。
地層の1枚、1枚が過去の大噴火の堆積物です。
こんな立派な露頭を見ると元地質屋の血が騒ぎます。

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露頭(地層が現れた崖)の上部にはスコリアの層があります。
スコリアの層は浸食されやすいのか、えぐられています。

6_dscf3639

この付近からは利島が見えました。

この日の火山巡検はこれで終了。

この後、夜に波浮港で夜間ネットサンプリングを行いました。
波浮港にはコマセアミ(Anisomysis ijimai)、
トゲホホヨコエビ(Paradexamine barnardi)、種類不明のヨコエビ、
ウミオオメミジンコ属(Podon sp.)、ナギサスナホリムシ属(Eurydice sp.)、
サザナミクーマ属(Dimorphostylis sp.)、ナンノクーマ属(Nannastacus sp.)、
ウオノエの幼生、カイアシ類、貝虫類(ミオドコパ)が生息していました。

このうち、コマセアミとナギサスナホリムシ属は“ねこのしっぽラボ”では
初めての記載になります。

翌日は天気予報通りの悪天候。
とくに午前中は大荒れの天気でした。

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島の西側の火山博物館の玄関から海側を見た様子です。
ここでしばらく火山の勉強をしました。
1986年の噴火で元町に温泉が湧いたことを初めて知りました。

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火山博物館の後は島南部の波浮港に移動、
昨夜は写真が撮れなかったので改めて撮影します。
波浮港の入り江は9世紀中頃の噴火によるマグマ水蒸気爆発でできた火口です。
当初は火口と海の間はつながっていませんでしたが、
津波や工事によって外海とつながったそうです。
この頃には小雨になっていましたが、
風が非常に強い状態でした。

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波浮港の海岸から見た崖です。
この崖は爆裂火口の火口壁なわけですね。

10_dscf3686

続いて南東部の筆島に行きました。
ごらんの通り、海は大荒れです。

11_dscf3661

筆島は数十万年以前の古い火山の名残だそうです。

12_dscf3683

筆島の近くには磯もありますが、
生物調査は無理そうです・・・。

13_dscf3697

続いて裏砂漠の方面に向かいました。
見ると道路脇には雪が・・・。
きっと午前中は雪だったんですね。

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月と砂漠ライン入口はご覧の通りです。
砂漠じゃ無くて雪原になっていそうです。
チェーンがかかっていますが、立ち入り禁止ではなく、
車止めだそうです。
足跡が幾つかあります。

15_dscf3704

ただ駐車場がこんな感じで、
砂漠に行って戻ってきたら路面凍結していた、では洒落にならないので、
裏砂漠の散策はあきらめました。
この日はこれで終了。
次の日が最終日なので早めに寝ました。

16_dscf3712

朝食後、速攻でチェックアウトして三原山に来ました。
三原山頂口の駐車場はあいかわらずの天気です。
この場所は三原山の外輪山の縁にあります。

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駐車場から少し歩くと中央火口丘までのハイキングコースの入り口があります。
そこからの眺めです。
三原山は雲の中です。
一昨日よりも条件が悪そう・・・。

18_dscf3714

気を取り直して、天気予報によれば回復傾向とのことですし、
ハイキングコースを進みます。
少し明るくなってきたかな。

19_dscf3715

突然、霧が晴れて三原山の中央火口丘が現れました。
1986溶岩流もはっきり見えます。

20_dscf3716

遊歩道は舗装されているのですが、
そこにカエルのタマゴがいっぱい落ちていました。
水辺が少ないし、昨日は水がいっぱいあったのかもしれないけど、
オタマジャクシになるのは無理そうですね。

20_dscf3717

退避壕です。
火山弾が飛んできたら隠れましょう。

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1986年A溶岩の末端です。
このあたりは平坦な地形です。
溶岩流の周囲の植生が回復しているように見えます。
噴火が無ければ森林になるのでしょう。

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1986年A溶岩の表面です。
溶岩流の表面はガサガサした石で覆われています。
溶岩流の表面は速やかに冷えて薄皮ができるのですが、
内部はまだ流動を続けているので、
薄皮は引き延ばされたり、逆に押されたりして
たくさんのひび割れができれ壊されていきます。
そうしてできた破片がこのような石になります。
この石をクリンカー、このような形態の熔岩をアア溶岩(aa lava)といいます。

22_dscf3724

1986年A溶岩の末端です。
溶岩流の末端もたくさんのクリンカーに覆われています。
1986年の噴火の時にはクリンカーの隙間から、
真っ赤な熔岩が見えたことでしょう。

23_dscf3725

三原山の中央火口丘を登り始めたところで、
後ろを振り向きました。
遠くに見える連なった丘は外輪山、
外輪山からハイキングコースが延びています。
黒々とした部分が1986年A溶岩です。

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北西の方向を見ました。
近くに見える丘は1986年B火口列です。
この周辺の火口から激しい割れ目噴火が起きました。

25_dscf3733

三原山の中央火口丘の縁(内輪山)に到着しました。
ここには三原神社の神殿があります。
三原神社の隣には溶岩流が迫っていますが、
溶岩流は神殿を避け両側に分かれて流れていったそうです。
不思議ですね。
御神火のなせる業でしょう。

26_dscf3735

三原山の中央火口丘山頂部平坦面です。
内輪山に囲まれたこの部分は、
1986年の噴火時には溶岩湖になっていました。
黒々とした熔岩は溶岩湖の名残ですね。
噴火から30年が経過した現在では、
植生がわずかに回復しています。

27_dscf3748

三原山の中央火口です。
ほとんど霧に覆われて見えなかったのですが、
霧の隙間からわずかに火口壁を見ることができました。
なんというか“天空の城ラピュタ”のような風景でした。
1986年の噴火直後には熔岩で満たされていましたが、
1987年の噴火によって陥没し、
深さ200メ-トルの竪穴が再生したそうです。

28_dscf3751

中央火口近くの熔岩は滑らかな表面で、
縄状の模様がありました。
パホイホイ溶岩かもしれません。

29_dscf3753

ハイキングコースではアア溶岩(aa lava)の断面も観察できます。
熔岩の上部にはクリンカーの層があり、
内部には緻密な連続体があります。
連続体の下部にもクリンカーの層がありますが、
一連の溶岩流のものなのか、別の熔岩の表面なのか判断できませんでした。

30_dscf3755

内輪山付近では熔岩はアア溶岩になっています。
荒涼とした風景です。

31_dscf3756

内輪山のハイキングコースで平行な地層を見つけました。
火砕サージの堆積物に似ていると思います。
確か蔵王巡検で火砕サージ堆積物の見方を教えてもらったような。

32_dscf3757

近づいて撮影しました。

33_dscf3764

中央火口丘から下山して後ろを振り返った様子です。
1986年A溶岩がよく見えます。

34_dscf3768

こちらも振り返って撮影した画像です。
この頃から天気が悪くなってきました。

35_dscf3769

外輪山に到着する頃にはこんな感じになってしまいました。
霧がかかっているとオートフォーカスが上手く効かないようです。

36_dscf3805

続いて外輪山の外側の割れ目火口列(1986年C火口列)に行きました。
1986年11月21日に外輪山北西で発生した割れ目噴火の跡です。
約1キロメ-トルの間に11個の火口が並んでいるそうです。
ここはその内の1個です。

362_dscf3805

何がどうなっているのか分かりにくいので、
解説図を付けました。
スコリア丘ができていて、中央に火口があります。
右側の自動車と比較するとスケールが分かると思います。

363dscf3771

スコリア丘の火口の内部です。
30年の間にずいぶん木が大きく育っています。

364dscf3771

足下にはスコリアがたくさん落ちています。

37_dscf3783

1986年C火口列の別のスコリア丘の火口縁に立ちました。
向こうに見える崖が火口内壁です。
スコリアが高温で酸化したために赤色に変色しています。

38_dscf3791

別の位置から火口内壁を撮影しました。
30年立っても崩れていないので、
それなりに硬く溶結しているようです。
加工内部の植生は豊かです。

39_dscf3780

足下には大きな溶岩片(スパター)も落ちています。

40_dscf3804

これもスパターかもしれません。
やや発泡しています。

41_dscf3803

誰かが割ったスパターの断面です。
内部は発泡しています。

42_dscf3788

1986年C火口列からは元町がよく見えました。
ということからは元町からも、C火口列の噴火がよく見えたことでしょう。

43_dscf3809

火山巡検を終えて岡田港に戻ると、
良い天気でした。
ここに来て初めて青空を見ました。
綺麗な海です。
場所は日の出浜海水浴場(サンビーチ日の出)で、
ここでは打ち上げられたゴミに付着していたエボシガイの仲間を
見つけました。

44_dscf3816

干潮の時間帯だったので、
磯での生物観察も行いました。
ここでは、ウミミズムシ属(Janiropsis sp.)、
ナガタメリタヨコエビ(Melita nagatai)、イワガニ、
ヒライソガニを見つけました。

45_dscf3823

さて、帰路です。
行きは手前のセブンアイランド愛、帰りは奥のセブンアイランド虹に乗りました。
船と言うよりは飛行機のような感じでした。
帰りはかなり波があったにも関わらず、乗り心地は良好でした。

今回の旅は天候の影響をかなり受けましたが、
楽しめたと思います。
次回は天気の良いときに行きたいですね。

2018年2月 5日 (月)

茨城県、1月2日の深夜サンプリング_2

2月になってしまいましたが、
正月の茨城県サンプリングの続きです。

前回、夜10時過ぎの干潮時に磯でヨコエビ採取したことを書きましたが、
その少し前、潮が高いときにプランクトンネット採取も行いました。

1__1

コノハエビ(Nebalia sp.)を採取できました。
茨城県では過去にもコノハエビを採取していましたが、
前回は経験が浅く属レベルの同定ができていませんでした。
今回は日本産海洋プランクトン検索図説を頼りに、
額角、第2小顎、胸肢などの解剖を行い、
コノハエビ科 コノハエビ属(Nebalia sp.)であることを確かめました。

それにしても可愛い甲殻類ですね。
バージェス動物群のような古さを感じさせるところが良いです。

2__3

こちらはスナホリムシです。
コノハエビと同じくプランクトンネットで採取しました。
頭部中央の突起が突出することから、ヒメスナホリムシ
Excirolana chiltoni)と思われます。
貪食な性質のようで、一緒の瓶に入っていたヨコエビが
ことごとく囓られてしまいました。

3__2

干潮時の磯で採取しました。
ウミミズムシ属(Janiropsis sp.)と思われます。
第1胸脚が非常に発達しているので雄と思われます。
脚や触覚が千切れやすいので撮影が難しかったです。

4__4

イサザアミです。

昼間に立ち寄った涸沼で採取しました。
群れを作って泳いでいました。
アミは弱い生き物で、
採取してから家に着くまでに死んでしまうことが多いのですが、
今回は水温が低かったためか、
ビーカーの中で一ヶ月ほど生きています。

5__5

このフナムシは海岸で見かけるフナムシ属(Ligia 属)ではなく、
土壌生物のヒメフナムシ属(Ligidium 属)です。
フナムシ属よりも小型で、第2触角が短く、尾肢も短いです。
土壌から簡易ツルグレン装置で採取しました。

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こちらも土壌から簡易ツルグレン装置で採取しました。
背板15枚、歩肢15対なのでイシムカデ目です。

7__7

こちらも土壌から簡易ツルグレン装置で採取しました。
歩肢が43対もあります。
ジムカデ目と思われます。

寒い季節でもそれなりに生き物は見つかるものですね。

2018年1月22日 (月)

茨城県、1月2日の深夜サンプリング

1月2日はスーパームーンでした。
満月、すなわち大潮。
正月で時間もあるし、これは海に行くしかありません。

ただ問題は干潮の時間が夜の10時過ぎであること。
満月なので少しは明るいですが、
暗闇のなかで採取を行わねばなりません。

それに気温。
真冬です。
なので、防寒をしっかりしてヘッドライトに懐中電灯も
プラスして夜間の採取を行うことにしました。

場所は茨城県の磯です。
ここには昼間に何回か来たことがあるので、
安全に採取できます。
さすがに、この条件下で初めての場所は怖いですね。

当日は気温は低かったものの、
風はなく、月も出ていたのでそれなりに好条件でした。
タイドプールを網でガサガサして、
小さな甲殻類を採取しました。
大きなヨツハモガニやヒトデも転がっていましたが、
それらは無視。
小さな獲物に執着します。

今回のブログではこのときに採取したヨコエビを紹介します。

_1

まず、モクズヨコエビ科です。
このヨコエビは模様がフサトゲモクズ(Protohyale affinis)に
良く似ているのですが、解剖して尾肢や尾節板の形状を
確かめたことがありませんでした。
今回解剖して、第3尾肢は単枝であること、
尾節板も2個に分かれていることを確認しましたが、
第1~第4底節板のトゲの有無を忘れました。
何かしら抜けますね・・・。

_2

モクズヨコエビ科の黄色の個体です。
フサトゲモクズ(Protohyale affinis)に似ていますが、
確信がありません。
解剖して違いを探しましたが、見つかりませんでした。
モクズヨコエビ科は難しいですね。

_3
テングヨコエビ科です。

この場所では普通種です。

_4
タテソコエビ科です。
この科は小さな種類が多いですが、
この写真の個体は比較的大きい方です。

_5
今回初めて採取したヨコエビです。
イソヨコエビ(Elasmopus japonicus)と思われます。
メリタヨコエビ科に属しています。
解剖して確かめました。
後日、解剖の詳細を掲載します。

_6
種類不明のヨコエビです。
おそらく文献の不足が原因で分類群を特定できていません。
この種の他にも分類群不明のヨコエビがいるので、
後日、解剖結果をブログに載せたいと思います。
このヨコエビを知っている方が見てくれることを期待します。

_7
こちらのヨコエビは磯で採取したものではありません。
茨城県の土壌で採取しました。
オカトビムシ(Platorchestia humicola)です。
雄を初めて採取しました。

今回はここまでです。
次回は茨城県で採取したヨコエビ以外の甲殻類を紹介します。

2017年10月22日 (日)

東京湾サンプリング 2017年10月 葛西臨海公園

葛西臨海公園で夜間のプランクトン採取を行いました。
東京湾は波が静かなので夜の採取はやりやすいです。

懐中電灯で海の中を照らすと大量のアミが泳いでいるのが見えました。
尾節を切り離して詳細に観察したところ、
ニホンイサザアミ(Neomysis japonica)であることが分かりました。

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日本海岸動物図鑑によれば、
ニホンイサザアミは浜名湖、東京湾、富山湾、最上川河口などから
見つかるそうです。
淡水の影響があるところに生息しているみたいですね。
佃煮の原料になるそうです。
こちらは雄のニホンイサザアミで第4腹肢が長く伸びています。

10211_02
こちらも雄のニホンイサザアミです。
日本海岸動物図鑑によれば、最大16mmになるそうですが、
今回採取したものは、そこまで大きくありませんでした。

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上の写真は雌のニホンイサザアミです。
腹肢が退化的です。

10212_01
クーマも採取できました。
ただ、種類が分かりません。
この種は以前にも採取していて、
そのときはニシキクーマかと推測していたのですが、
尾節を観察したところニシキクーマとは違うようです。
情報収集が必要です。

10213_01
ヨコエビも採取できました。
小型の個体のため第1咬脚が小さいですが、
ニホンドロソコエビ(Grandidierella japonica)です。
東京湾の代表的なヨコエビですが、東京湾で採取したのは初めてです。

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エビです。
たまたま網に入ってきました。
スジエビのなかまですが、腹部に筋状の模様がなく、
点紋があるのでユビナガスジエビ(Palaemon macrodactylus)と思います。

Photo
昼間のサンプリングでも見つかりますが、
カイアシも見つかりました。

カラヌス目と思われますが詳細不明です。
東日本震災一ヶ月後に茨城県涸沼で採取した種に似ています。
淡水の影響を受けるところに生息している種かもしれません。
なんとかして同定したいですね。

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こちらもカイアシです。
生殖節がよく発達しています。
ハルパクチクス目に似ていますが、どうでしょうか。
この種も東日本震災一ヶ月後に茨城県涸沼で採取した種に似ています。

甲殻類以外のプランクトンも採取できました。

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こちらはヤムシです。
日本産海洋プランクトン検索図説では原生矢虫綱(Class Sagittoidea)、
ウィキペディアでは毛顎動物(Chaetognatha)とされています。

10215_02

頭部の拡大画像です。
小さな眼(眼色素)が特徴的です。

10215_03

別の個体の頭部です。
顎毛と呼ばれる牙のような構造があります。

ねこのしっぽラボのホームページでは
藻類、甲殻類、珪藻、土壌生物を中心にまとめていますが
こういったマイナーな生物も紹介しないといけないですね。

2017年10月15日 (日)

東京湾サンプリング 2017年9月 お台場

9月に東京湾(お台場)で夜間サンプリングを行いました。
金曜の夜のお台場はカップルでいっぱいでしたが、
そこに作業服+ヘッドライト姿で乗り込みました。

プランクトンネットではゾエアが大量に採取できました。
少数ですが、ウオジラミも採取できました。
ウオジラミを採取したのは初めてです。

岩の上には大きなフナムシ、
波打ち際にはヨコエビ(フサゲモクズ)がいました。

さて、ウオジラミです。


01

金魚などの淡水魚に寄生するチョウという甲殻類も
“ウオジラミ”の別名をもっているので紛らわしいですが、
今回紹介するウオジラミは海水魚に寄生するカイアシ
(Calididae;カリグス科)のなかまです。
ウオジラミは普通は魚の体表に寄生して体表から
粘液や血液を食べています。
なので、プランクトンとして見つかることは希だと思うのですが、
今回は複数個体見つかりました。

02

こちらもウオジラミです。
種や属レベルの同定は不勉強でよく分からないです。

03

こちらもウオジラミです。
上の写真のウオジラミと形態が異なっているので
最初は雌雄の差かと思ったのですが、
どうやら種が違うようです。
Nob!!氏のブログ、“Nob!!の勝手に甲殻類 ~ミジンコからタカアシガニまで~
続・ウオジラミ のページで紹介されている
Caligus undulatus Shen & Li, 1959に形態が良く似ています。
Nob!!氏は東京湾でプランクトンとして採取したそうなので、
採取場所も、採取したシチュエーションも良く似ています。

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こちらはCaligus undulatusと思われるウオジラミの先端部分です。
眼のように見えるのは吸盤なんだそうです。

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こちらは裏側の顎脚を拡大した画像です。
これで魚にしがみついたりするのでしょうか。

04

こちらは同時に採取したウオジラミの幼生(Copepodid)です。
幼生まで見つかったので、ウオジラミがこのあたりで
繁殖しているのは間違いないでしょう。

Photo

さて、こちらはウオジラミと同時に採取したゾエアです。
というか、お台場の海はゾエアだらけでした。
近場でカニの産卵があったのでしょう。

_

こちらは岩の上で採取したフサゲモクズ(Hyale barbicornis)の雄です。
まとまった数が採取できたので雄雌の解剖もできました。

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こちらはフサゲモクズの雌です。
雄と比較すると第2咬脚が小さいです。

次回は葛西臨海公園です。

2017年10月 1日 (日)

宮城県牡鹿半島と万石浦周辺サンプリングの続き

ずいぶん間が開きましたが、宮城県牡鹿半島と万石浦周辺サンプリングの続きです。

まずヨコエビの続きです。


01

ヒゲナガヨコエビ属(Ampithoe sp.)と思います。
わりとよく見つかるヨコエビです。

02

小型ですが、フサゲモクズ(Hyale barbicornisと思います。
第2触角に剛毛が密生していることが特徴です。
こちらも、わりとよく見つかるヨコエビです。
奥松島で採取したのですが、大型の個体は見つからず、
小型のものだけが採取できました。

03

アゴナガヨコエビ科(Pontogeneiidae)です。
遊泳力の強いヨコエビで、夜間のネットサンプリングでもよく見つかります。
昼間は海藻に付着しているようで、海藻をパシャパシャすると採取できます。
第2触角の柄部には青色の模様がありますが、
このタイプのアゴナガヨコエビは日本各地から見つかります。
体が透明で生きているときは内蔵が透けて見えます。
眼が大きいことも特徴です。

次はエビです。

01_2

小型のテッポウエビです。
干潮時の干潟で採取しました。
テッポウエビを採取したのは実は初めてです。

02_2

スジエビモドキ(Palaemon serrifer)です。
牡鹿半島で採取しました。
関東周辺では三浦半島に生息しています。
近縁種にイソスジエビ(Palaemon pacificus)がいますが
共存することは少ないようです。

ヤドカリです。

01_3

ユビナガホンヤドカリ(Pagurus minutus)と思われます。
普段、ヤドカリはあまり採取しないのですが、
たくさんのヤドカリがいたので採取したところ本種でした。
採取時はホンヤドカリ(Pagurus filholiだと思っていました。

Photo

カニ類のメガロパ幼生です。
種の同定は難しいです。

続いて等脚目です。

01_4

スナホリムシです。
遊泳力が強くピペットなどでの採取は難しいです。
夜間のネットサンプリングで採取できます。
珍しいものでは無いと思うのですが、採取は久しぶりです。
砂浜で採取しないからかもしれないですね。

02_3

イソコツブムシ(Gnorimosphaeroma rayi)です。
普通種ですが、大きなものはそれなりに少ないです。

03_2

シリケンウミセミ(Dynoides dentisinus)の雄です。
雄は腹部背面中央に突起がありますが、雌にはありません。
イソコツブムシよりは数が少ないです。

04

ヘラムシです。
種類までは分かりません。

宮城県サンプリングはこれで最後です。
次回、東京お台場サンプリングです。