カイアシ

2019年5月 5日 (日)

ノコギリケンミジンコ(Eucyclops serrulatus)一碧湖:2019年3月

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ケンミジンコ第2段です!!
今回はノコギリケンミジンコ(Eucyclops serrulatus)です。
やはり伊豆半島の一碧湖で採取しました。
前回も書いた通りケンミジンコはとにかく動くので
生きている状態での撮影が難しいです。
とはいえ、エタノールで麻酔すると触覚が変な感じに曲がってしまうので、
やはり生きている状態で撮影したいです。

今回は奇跡的にフォーカスを変えての連続撮影に成功しました。
弱っていたのかもしれません。

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背面から同じ個体を撮影した画像です。
左右にある袋状の構造は卵のうです。

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こちらは側面です。
ケンミジンコは水が少なくなると横向きになってしまうので
側面の撮影機会は多いです。

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こちらは腹面です。
背面、側面、腹面の観察が終わったところで、
エタノールで麻酔して解剖します。
解剖は第4胸節と第5胸節の間に針を入れて切断するのですが、
今回はやや狙いを外してしまいました。
関節というよりは、第5胸節に針を刺してしまったようです。

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とりあえず切り離した後体部です。
ノコギリケンミジンコは腹部が長いそうです。
たしかに、前回のアサガオケンミジンコの腹部よりも細長いですね。
ただ、切り方が悪かったのか、受精嚢(貯精嚢)がわかりません。

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ノコギリケンミジンコかな?と思ったら尾叉を観察します。
2本の叉肢の外縁を観察するとギザギザの鋸歯があります。
この叉肢外縁の鋸歯はノコギリケンミジンコの特徴です。
日本淡水プランクトン図鑑のイラストにも一致するので、
この時点でノコギリケンミジンコしました。

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続いて第5脚です。
相変わらず貧弱ですが、
アサガオケンミジンコの第5脚とはかなり違いますね。
日本淡水プランクトン図鑑のイラストにも一致します。

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こちらは第4脚です。
なのですが、第4脚を外すときに第3脚もついてきてしまい、
どちらがどちらか分からなくなってしまいました。
なので第4脚?とします。

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第4脚?の連結板と内肢先端の末節です。
日本淡水プランクトン図鑑の記載と矛盾しません。
内肢先端の太い棘の長さが異なるところは、
日本淡水プランクトン図鑑のイラストに一致します。

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こちらが第3脚?です。
第4脚と第3脚は同じ形なので
はっきり言って区別できません・・・。

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第3脚?の連結板と内肢先端の末節です。
内肢先端の太い棘の長さが異なっていて、
こちらが第4脚だったとしても
日本淡水プランクトン図鑑の記載に一致します。

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ついでに第1触覚です。
アサガオケンミジンコのような膜状の構造はありません。

今回の解剖では残念ながらいくつか失敗をしてしまいました。
要領は分かったので、次は大丈夫だと思いますが、
もう少し練習が必要ですね。

2019年4月21日 (日)

アサガオケンミジンコ(Mesocyclops leuckarti):一碧湖 2019年3月

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3月に伊豆半島の一碧湖で採取したケンミジンコです。
解剖を行った結果、
アサガオケンミジンコ(Mesocyclops leuckarti)と同定しました。

ケンミジンコは科レベルでの同定は容易なのですが、
属・種レベルでの同定は難易度が高いです。
というのも種レベルの同定には第4脚、第5脚や
受精嚢(貯精嚢)の拡大観察が必要なのですが、
これらの観察には解剖が必要なのです。

具体的には第4胸節と第5胸節の間くらいでケンミジンコを切断し、
第4脚を全体部から分離すればよいだけなのですが、
ケンミジンコ自体が1mm程度の生物なので実体顕微鏡下での解剖が必須です。

技術的には一般的なヨコエビの解剖よりも難易度が高く、
ダニの解剖よりは容易です。

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ケンミジンコは生きている状態での撮影も難しいです。
動きが速いのでフォーカスや位置合わせを行っている間に
どこかに行ってしまいます。
動きを封じるために水の量を少なくすると写真のように横向きになってしまいます。

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こちらは原面から見た画像です。
側面や腹面からケンミジンコを観察すると脚が発達していることがわかります。
この脚を一気に動かして水中をダッシュします。
ピペットで吸い込もうとしても水流に逆らって逃げてしまいます。
ただ、捕まえる方法は意外に単純で、
ケンミジンコが入っているビーカーの水を少しずつ抜いていくと、
水がほとんどなくなって自由に動けなくなるまでビーカーに留まるので
その状態でピペットに吸い込みます。
ケンミジンコの脚力か人間の知恵か、みたいな勝負です。

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さて、こちらは解剖後の結果です。
太い部分は腹部、二股になっている場所は尾叉と呼ばれます。
腹部には幾つかの節がありますが、その中でもっとも長い節は
生殖複合節と呼ばれます。
ここには受精嚢(貯精嚢)があります。

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受精嚢(貯精嚢)の拡大像です。
といっても、この写真ではどこが受精嚢か分からないですね・・・。
写真中央あたりに多角形の構造が多数集まった場所がありますが、
そこが受精嚢で、その輪郭をよく見るとアサガオの葉の形をしています。
つまり、受精嚢の形がアサガオの葉に似ているので
『アサガオケンミジンコ』の名前が付いたわけですね。

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受精嚢よりも頭部側に第5胸節があります。
ここには第5脚があります。
写真は第5脚ですが、非常に貧弱です。
ただ、第5脚は種による違いが大きいので分類的には重要です。
日本淡水プランクトン図鑑のイラストと比較したところ、
羽毛状の棘が見難いもののアサガオケンミジンコとして
矛盾しないことがわかりました。

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こちらは第4脚です。
甲殻類の脚は二肢型といって2本セット
(内肢と外肢)になっているのが基本なので、
左右合わせて4本あります。
第4脚は左右の脚の間の第4脚連結板と、
内肢の先端の末節を観察します。

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第4脚連結板の拡大画像です。
たしか、左右の肢を連動させるための構造と聞いた覚えがあります。
ここも種による違いが大きいそうです。
一応、日本淡水プランクトン図鑑のイラストと同じような形でした。

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こちらは第4脚内肢末節です。
こちらも日本淡水プランクトン図鑑のイラストと同じような形でした。

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さて、最後に唐突ですが、第1触角の先端部です。
今までの解剖と全く関係ないですが、
アサガオケンミジンコ(Mesocyclops leuckarti)の場合、
ここに特徴があります。

すごく不明瞭な写真で申し訳ないのですが、
第1触覚の先端には薄い膜状の構造があり、
一部に半月型の切れ込みがあります。
この構造はアサガオケンミジンコ(Mesocyclops leuckarti)の特徴です。

結局、第1触覚を最初に見ておけばアサガオケンミジンコと
同定できるじゃないか、という話なのですが、
それであっても解剖して確認しなければならないのが分類学なんですよね。
とはいえ、アサガオケンミジンコかな?と思ったら
まずは第1触覚を観察すればよいのかな、と思いました。

 

 

 

 

2016年12月18日 (日)

最近見つけたカイアシ類

今回は最近採取したカイアシ類のまとめです。
カイアシ類は淡水産のケンミジンコを含む仲間で、
淡水よりも海にたくさんいます。
非常に素早く泳ぐものから、
海藻などに付着しているもの、
寄生性のものなど、たくさんの種類がいます。

まずは、こちら。
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三浦半島先端の城ヶ島で夜に
プランクトンネットで採取しました。
ポエキロストム目(Poecilostomatoida)
サフィリナ科(Sapphirinidae)、
コピリア属(Copilia)の1種です。

スケールは500μmです。


このなかまは雄、雌で体の形がかなり違います。
写真の個体は雌で、雄はダンゴムシのような形です。
体が透明なので探しにくいですが、
内蔵が透けて見えたり、
2個の透明な眼があったりするので、
カイアシ好きには人気があるようです。
海洋プランクトン検索図説で同定しました。

つぎは海洋の代表的なカイアシの
カラヌス目(Calanoida)から。
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スケールは500μmです。
カラヌス目(Calanoida)、
ポンテラ科(Pontellidae)の1種と思われます。
1対のレンズ眼を背面に持っています。
眼の外側には頭側鉤と呼ばれる突起があります。
カラヌス目は非常に多様性に富んでいて、
科レベルの同定も容易ではないのですが、
ポンテラ科(Pontellidae)は2個のレンズ眼という、
わかりやすい特徴を持っているので同定しやすいです。
ちなみに普通のカラヌスの眼は1個です。
このポンテラも三浦半島先端の城ヶ島で夜に
プランクトンネットで採取しました。
こちらも海洋プランクトン検索図説で同定しました。

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スケールは500μmです。
こちらもポンテラ科(Pontellidae)の1種と思われます。
北海道紋別市で夜にプランクトンネットで採取しました。

こんどはカラヌスに似ているけど、
ケンミジンコに近いという仲間です。
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スケールは500μmです。
カラヌスはカラヌス目(Calanoida)ですが、
ケンミジンコはキクロプス目(Cyclopoida)に属します。
写真のカイアシは、
キクロプス目(Cyclopoida)
オイトナ科(Oithonidae)に属しているので、
目レベルでの親戚です。
オイトナは羽毛のような棘を持っているので、
こちらもカイアシ好きに人気があります。
このオイトナも三浦半島先端の城ヶ島で夜に
プランクトンネットで採取しました。

次はまたカラヌス目です。
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スケールは500μmです。
頭部の形がイカの頭みたいです。
このカイアシは
カラヌス目(Calanoida)、
ユウカラヌス科(Eucalanidae)の1種と思われます。
頭部先端が菱形に突き出ることが特徴のようです。
こちらも三浦半島先端の城ヶ島で夜に
プランクトンネットで採取しました。
同定は海洋プランクトン検索図説を参考にしました。

最後に寄生性のカイアシです。
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スケールは1mmです。

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スケールは500μmです。

このカイアシは、モンストリラ目(Monstrilloida)
モンストリラ科(Monstrilloidae)に属しています。
海洋プランクトン検索図説によれば、
モンストリラはノープリウス1期と成体以外の時期に、
海産無脊椎動物の体内に寄生しているそうです。
成体は第2触覚や口器付属肢がないので、
他のカイアシ類とは異質なイメージで同定も容易です。
ここでは黄色い種類と、緑色の種類を掲載しましたが、
色鮮やかなことでも異質なカイアシです。

カイアシ類は小さい上に種類が膨大なので、
同定がとても難しいです。
ここでは分かりやすいものだけを紹介しましたが、
実際には目レベルでしか同定できないものが多数です。
せめて淡水産のケンミジンコくらいは
ちゃんと同定したいと思っています。