最近見つけたカイアシ類
今回は最近採取したカイアシ類のまとめです。
カイアシ類は淡水産のケンミジンコを含む仲間で、
淡水よりも海にたくさんいます。
非常に素早く泳ぐものから、
海藻などに付着しているもの、
寄生性のものなど、たくさんの種類がいます。
まずは、こちら。
三浦半島先端の城ヶ島で夜に
プランクトンネットで採取しました。
ポエキロストム目(Poecilostomatoida)
サフィリナ科(Sapphirinidae)、
コピリア属(Copilia)の1種です。
スケールは500μmです。
このなかまは雄、雌で体の形がかなり違います。
写真の個体は雌で、雄はダンゴムシのような形です。
体が透明なので探しにくいですが、
内蔵が透けて見えたり、
2個の透明な眼があったりするので、
カイアシ好きには人気があるようです。
海洋プランクトン検索図説で同定しました。
つぎは海洋の代表的なカイアシの
カラヌス目(Calanoida)から。
スケールは500μmです。
カラヌス目(Calanoida)、
ポンテラ科(Pontellidae)の1種と思われます。
1対のレンズ眼を背面に持っています。
眼の外側には頭側鉤と呼ばれる突起があります。
カラヌス目は非常に多様性に富んでいて、
科レベルの同定も容易ではないのですが、
ポンテラ科(Pontellidae)は2個のレンズ眼という、
わかりやすい特徴を持っているので同定しやすいです。
ちなみに普通のカラヌスの眼は1個です。
このポンテラも三浦半島先端の城ヶ島で夜に
プランクトンネットで採取しました。
こちらも海洋プランクトン検索図説で同定しました。
スケールは500μmです。
こちらもポンテラ科(Pontellidae)の1種と思われます。
北海道紋別市で夜にプランクトンネットで採取しました。
こんどはカラヌスに似ているけど、
ケンミジンコに近いという仲間です。
スケールは500μmです。
カラヌスはカラヌス目(Calanoida)ですが、
ケンミジンコはキクロプス目(Cyclopoida)に属します。
写真のカイアシは、
キクロプス目(Cyclopoida)
オイトナ科(Oithonidae)に属しているので、
目レベルでの親戚です。
オイトナは羽毛のような棘を持っているので、
こちらもカイアシ好きに人気があります。
このオイトナも三浦半島先端の城ヶ島で夜に
プランクトンネットで採取しました。
スケールは500μmです。
頭部の形がイカの頭みたいです。
このカイアシは
カラヌス目(Calanoida)、
ユウカラヌス科(Eucalanidae)の1種と思われます。
頭部先端が菱形に突き出ることが特徴のようです。
こちらも三浦半島先端の城ヶ島で夜に
プランクトンネットで採取しました。
同定は海洋プランクトン検索図説を参考にしました。
スケールは1mmです。
スケールは500μmです。
このカイアシは、モンストリラ目(Monstrilloida)
モンストリラ科(Monstrilloidae)に属しています。
海洋プランクトン検索図説によれば、
モンストリラはノープリウス1期と成体以外の時期に、
海産無脊椎動物の体内に寄生しているそうです。
成体は第2触覚や口器付属肢がないので、
他のカイアシ類とは異質なイメージで同定も容易です。
ここでは黄色い種類と、緑色の種類を掲載しましたが、
色鮮やかなことでも異質なカイアシです。
カイアシ類は小さい上に種類が膨大なので、
同定がとても難しいです。
ここでは分かりやすいものだけを紹介しましたが、
実際には目レベルでしか同定できないものが多数です。
せめて淡水産のケンミジンコくらいは
ちゃんと同定したいと思っています。