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ヨコエビの同定記録

2018年10月 7日 (日)

チビヨコエビ科(Amphilochidae)の不明種

ありきたりの表現ですが、暑いですね。
最近はサンプリングにも行かず、ひたすらデータ整理をしています。
さて、今回はデータ整理中のヨコエビの画像です。
Im170503__40_1

Im170503__40_2

このヨコエビはこれまでにも見つけていましたが、
不明種として処理していました。

ヨコエビ_分類群190(260)
http://plankton.image.coocan.jp/Crustacea3-2-1-3-1-260.html

色彩はともかく似たような形態のものを集めたつもりですが、
複数種、場合によっては複数属含まれているかもしれません。
基本的にはチビヨコエビ科(Amphilochidae)に似ています。

昨年のGWに新潟県でこの種を見つけたので、
解剖を行って細かく観察してみました。

Im170503__40_3

まず第1胸脚です。
前節の掌縁が特徴的です。
掌縁と後縁は直角に近い角度です。

ちなみに右の写真は40倍(x4)の対物レンズで撮影した画像。
左は100倍(x10)のレンズで撮影した画像です。
40倍の方が解像度が低いですが、焦点深度が深いですね。
解像度と焦点深度を両立させるのは難しいです。

Im170503__40_4

次に第2胸脚です。
掌縁と後縁は直角よりも鋭角です。
Gitanopsis属に似ているのかなあ、と思っていたのですが、
文献と知識が不足していますし、
ネットで見つかるGitanopsis属の第2胸脚と
何かが違っているし、
チビヨコエビ科の不明種に留めておくのが良さそうですね。

Im170503__40_5

第3胸脚です。
覆卵葉があるのでこの個体は雌ですね。

Im170503__40_6

左が第4胸脚、右が第5胸脚です。

Im170503__40_7

左が第6胸脚、右が第7胸脚です。

Im170503__40_8

尾部です。
第3尾肢が分かりにくいですね。

Im170503__40_9
尾節板です。
漢字の山に似た形状です。
この辺りも特徴なのかもしれません。

ヨコエビは深いですね。
文献がたくさんあるところに行ったら、
あっという間に一日終わりそうです。

2018年9月 3日 (月)

このヨコエビの種名を教えてください!


全国のヨコエビ研究者の方のお力をお貸しください!

1_15

昨年のGWに新潟県糸魚川市で採取したヨコエビです。
このヨコエビは2014年に柏崎市、2016年に長岡市で採取していたのですが、
同定できていませんでした。
詳細は下記のページをご覧ください。

http://plankton.image.coocan.jp/Crustacea3-2-1-3-1-370.html
(上のページの中で“第2触角に副鞭”とあるのは、“第1触角に副鞭”の間違いです。)

昨年の新潟サンプリングでも複数個体を採取できたので細かく解剖してみたのですが、
やはり手持ちの文献では該当種が見つからず苦戦しています。

体長5mmくらいの個体が多いですが、
抱卵している個体は1cm程度になります。
小型の個体は淡い緑色ですが、大型の個体は薄い黄緑色に見えることが多いです。
体表面に黒色、または褐色の細かな斑点があります。

2_15_1

こちらは第1触角です。
先端から3節目くらいのところが茶色になっています。
副鞭もあります。
副鞭は3節です。

3_15_2

第2触角です。

4_15_1

第1胸脚です。
底節板が前方に張り出しています。

5_15_2

第2胸脚です。
第1胸脚と第2胸脚は似たような形状、大きさです。

6_15_3

第3胸脚です。
第6節(前節)に 第7節(指節)に近いところに、
3本(4本?)の棘があります。

7_15_4

第4胸脚です。
第3脚と同じく、第6節(前節)に 第7節(指節)に近いところに、
3本の棘があります。

8_15_5

第5胸脚です。
第6節(前節)に6本の棘があります。

9_15_6

第6胸脚です。
第6節(前節)に8本?の棘があります。

10_15_7

やはり第6節(前節)に棘があります。

11_15_

第3尾肢と尾節板です。
第3尾肢は二股に分かれています。
尾節板は単葉です。

ここまでが1個体目の解剖です。
続いて2個体目になります。

12_30

写真では薄い黄色に見えますが、
目視では薄い緑色に見えたような記憶があります。
実体顕微鏡に付けているCCDカメラは色の再現性が不十分なのです・・・。

13_30

頭部の拡大画像です。
複眼は円形です。

14_30_1

第1触角です。1個体目よりも鮮明に写せています。
先端から3節目くらいのところが茶色になっています。
副鞭は3節です。

15_30_2

第2触覚です。
鞭部が柄部よりも短いです。
鞭部は5節くらいでしょうか。

16_30__2

顎脚です。
分類の役に立つことは少ないみたいですが、
一応撮影しておきました。

17_30_

大顎です。
鬚部に焦点を合わせました。

18_30_1

第1胸脚です。

19_30_2

第2胸脚です。

20_30_3

第3胸脚です。
第6節(前節)に 第7節(指節)に近いところに、
3本の棘があります。

21_30_4

第4胸脚です。
形状は第3脚とほぼ同じです。
第6節(前節)に 第7節(指節)に近いところに、
3本の棘があります。

22_30_5

第5胸脚です。
第6節(前節)に6本の棘があります。

23_30_6

第6胸脚です。
第6節(前節)に5本の棘があります。

24_30_7

第7胸脚です。
第6節(前節)に5本(6本?)の棘があります。

25_30_

尾肢と尾節板です。
一個体目よりも尾節板の形がわかりやすいです。

26_30_3
第3尾肢です。
今回解剖した中では最も小さなパーツです。

ここまでが2個体目の解剖です。
続いて3個体目になります。

27_25_
28_25_
29_25_

全体像です。
この個体は尾肢の解剖に失敗したのですが、
胸脚の写りが良いので掲載します。

30_25_1

第1触角です。
先端から3節目くらいのところが茶色になっています。
副鞭は3節です。

31_25_2

第2触覚です。
鞭部が柄部よりも短いです。
鞭部は6節でしょうか。

32_25_1

第1胸脚です。

33_25_2

第2胸脚です。

34_25_3

第3胸脚です。
第6節(前節)に 第7節(指節)に近いところに、
3本の棘があります。

35_25_4

第3胸脚です。
第6節(前節)に 第7節(指節)に近いところに、
3本の棘があります。

36_25_5

第5胸脚です。
第6節(前節)に5本(6本?)の棘があります。

37_25_6

第6胸脚です。
第6節(前節)に6本の棘があります。

38_25_7

第7胸脚です。
第6節(前節)に5本の棘があります。

以上が解剖の結果になります。
この情報だけで種名が分かると良いのですが・・。
種名を知りたい理由ですが、ねこのしっぽラボで現在制作中の
ヨコエビの画像集をヨコエビの図鑑に格上げするために
できるだけ分類不明種を少なくしたい、というのが理由です。

学会や何らかの発表に使いたいというのではないので、
断片的な情報でもかまいません。
情報お待ちしています。

2018年3月12日 (月)

ハマトビムシ科:オカトビムシ(Platorchestia humicola)雄の解剖

1_im180107__44__x1_2mm

今年の正月に茨城県で採取したオカトビムシ(Platorchestia humicola)です。
オカトビムシはヨコエビのなかまですが、
森林の落ち葉の下などに生息しています。

ヨコエビは普通、水中で一生を過ごしますが、
オカトビムシを含むハマトビムシ科(Talitridae)は海岸や、
土壌など、陸域に生息します。
砂浜に打ち上げられた海藻を持ち上げると、
ピョンピョンと跳びはねる虫がいますが、
あの虫がハマトビムシ科のヨコエビです。

土壌に生息するハマトビムシは、
オカトビムシの他にも幾つかいるので
詳細な分類のために解剖を行いました。
分類には“日本産土壌動物 分類のための図解検索 【第2版】 青木淳一編著”
を使用しました。

2_im180107__44__x5_1mm

こちらは頭部の拡大画像です。
ハマトビムシ科の特徴は第1触角が短いことです。
昆虫もそうですが、陸域で生息するには
2対の触角は邪魔なのかもしれません。
オカトビムシは大きな眼を持っていますが、
洞窟に住むハマトビムシ科(イワヤトビムシ属)は
眼を失っています。
また、キタオカトビムシ属(Orchestia属)、
ヒゲナガハマトビムシ属(Trinorchestia属)、
オオハマトビムシ属(Traskorchestia属)の同定には、
第2触角の柄部に対して、
第1触角がどのくらいの長さがあるかも見ておく必要があります。

3_im180107__44__x3_1mm

いきなりショッキングな画像ですが、
矢印の部分の顎(喉)の輪郭も見ておく必要があります。
普通、顎(喉)の輪郭は底節板に隠れているので、
よく観察するには頭を分離する必要があります。
ホソハマトビムシ属(Paciforchestia属)は矢印の部分が、
緩く突出するそうです。

4_im180107__44_1_x40_500m

こちらは第1触角です。
柄部は3節、鞭部は4節ですね。

5_im180107__44_2_x5_1mm

こちらは第2触角です。
第2触角は長いです。
スナハマトビムシ属(Talorchestiaでは
第2触覚柄部の第3節に突起があります。

6_im180107__44__x40_200m

こちらは口器の一部の顎脚です。
あまり分類には使いませんが、一応写真を撮っておきました。

7_im180107__44__x40_200m

口器の一部の下唇です。

8_im180107__44__x40_200m

たぶん第1小顎です。

9_im180107__44__x40_200m

こちらが第2小顎だと思います。

92_

大顎です。

10_im180107__44_1_x40_500m

こんどは胸脚です。
まず第1胸脚です。
第1胸脚にはこぶ状の突起があります。
第1胸脚の構造は雄と雌で異なります。
写真の個体は雄です。
雌にはこぶ状の突起がありません。

12_im180107__44_1_x100_200m

第1胸脚の拡大画像です。

13_im180107__44_22_x40_500m

第2胸脚(咬脚)です。
雄の第2咬脚は大きいです。
雌は形が異なります。
オカトビムシを含むヒメハマトビムシ属(Platorchestia属)は
第2咬脚の掌部(鎌の部分が合わさる部分)の構造が大事です。
ヒメハマトビムシ(Platorchestia platensisには2個の突出があり、
ニホンヒメハマトビムシ(Platorchestia pachypusは緩く波打ちます。

14_im180107__44_2_x100_200m

第2咬脚第7節の拡大画像です。
第2咬脚の先端部分が細くなっています。
これはオカトビムシ(Platorchestia humicola)の特徴です。

15_im180107__44_3_x40_500m

第3脚です。
分類にはあまり関わりが無いですが、
一応写真を撮っておきました。

16_im180107__44_4_x40_500m

第4脚です。
ヨコエビは第3脚と第4脚が似ていることが普通です。

17_im180107__44_5_x40_500m

第5脚です。
ヨコエビの種類によっては第5脚の形状観察も大事です。

18_im180107__44_6_x4_1mm

第6脚です。
ハマトビムシ科(Talitridae)は第6脚の観察が重要になります。
とはいっても、脚の本体ではなく、
第6脚の基節と鰓の形状観察が大事になります。

19_im180107__44_6__x40_500m

こちらが第6脚の基節です。
矢印の部分の形状を観察します。
ヒメハマトビムシ属(Platorchestia属)は
この部分が“直角、または突起がある”そうです。
写真のオカトビムシの形状は直角に相当するようです。
ハマトビムシ科のほかの分類群は
この部分が滑らかに湾曲します。

20_im180107__44_6__x40_500m

こちらは鰓です。
ホソハマトビムシ属、ヒメトビムシ属、ヤエヤマオカトビムシ属、
ミズホトビムシ属は、第6脚の鰓が分類に重要です。

21_im180107__44_3_x40_500m

第3腹肢です。
第1,第2腹肢は同じ形状なので省略しました。
オカトビムシ(Platorchestia humicola)は
内枝・外枝の長さが柄部の70%以下、
ニホンオカトビムシ(Platorchestia japonica)は
内枝・外枝の長さが柄部とほぼ同長です。
この写真の場合、内枝・外枝の長さが柄部の70%以下なので、
オカトビムシ(Platorchestia humicola)で間違いないです。

22_im180107__44_1_x40_500m

こんどは尾部の構造です。
まず、第1尾肢です。
オカトビムシ(Platorchestia humicola)など、
ヒメハマトビムシ属(Platorchestia属)の多くは
第1尾肢の外枝に棘が無いですが、
ミナミオカトビムシだけは外枝に棘を持ちます。
また、幾つかの属では側端棘が他の棘よりも長いか、
あるいは短いか、同じ長さかが重要なポイントになります。
側端棘の形状も大事です。
ツメオカトビムシ属(Talitroides topitotum)では
側端棘がS字型になります。

23_im180107__44_2_x40_500m

第2尾肢です。
あまり重要ではないですが一応写真を撮っておきました。

24_im180107__44_3_x40_200m

第3尾肢です。
多くのヨコエビの分類で重要なパーツになります。
ハマトビムシ科でも、
オオハマトビムシ(Traskorchestia ochotensis)で
第3尾肢柄節の下縁に棘が無いことに対し、
ホッカイハマトビムシ(Traskorchestia ditmari)には
第3尾肢柄節の下縁には棘があるなど、重要なパーツです。
オカトビムシ(Platorchestia humicola)の場合は、
第3尾肢柄節の下縁に棘が無いようです。

25_im180107__44__x40_200m

尾節板です。
多くのヨコエビの分類で重要なパーツになりますが、
ハマトビムシ科ではそれほど重要ではないようです。

以上、オカトビムシ(Platorchestia humicola)の解剖でした。
ヨコエビの分類は面白いけど大変ですね。

2017年1月29日 (日)

カマキリヨコエビ 2016年9月北海道

今回はカマキリヨコエビ(Jassa 属)です。
カマキリヨコエビの雄は第2咬脚が大きくて、
かっこよいです。

かっこよいのですが、
何しろ昆虫のカマキリに比べると小さいので(3mmくらい)
男の子たちの興味を引くことはないでしょう・・・。

今回解剖する個体はこちらです。
北海道で採取しました。
第2触覚柄部は第1触覚よりも長いことが特徴です。
第2咬脚が大きいので雄です。
体長は3.4mm、スケールは200μmです。

Im160919___80_x3_2560x1920_500m

まずは第3尾肢です。

Im160919___80_3_x100_2560x1920_100m

スケールは100μmです。
先端にカギ爪のような構造があります。
日本海岸動物図鑑[II]のカマキリヨコエビ
Jassa slatteryi)のイラストに似ています。

次に第1咬脚です。
スケールは200μmです。

Im160919___80_1_x40_2560x1920_200m

掌部に2個の膨らみがあります。
これも特徴かもしれません。

第2咬脚です。
スケールは200μmです。

Im160919___80_2_x40_2560x1920_200m

第6節(前節)の基部近くの突出部(矢印の部分)が
棒状に伸びています。
これはカマキリヨコエビの特徴です。

次は第3胸脚です。
スケールは200μmです。

Im160919___80_3_x100_2560x1920_200m

分かりにくい特徴ですが、
第4節(長節)の末端(矢印の部分)が第5節(腕節)の
先端付近まで伸張しています。
この特徴は日本海岸動物図鑑[II]のカマキリヨコエビ
Jassa slatteryi)の記載に一致します。

次は第4胸脚です。
スケールは200μmです。

Im160919___80_4_x100_2560x1920_200m

第3胸脚と同じく、
第4節(長節)の末端(矢印の部分)が第5節(腕節)の
先端付近まで伸張しています。

第5胸脚です。
スケールは200μmです。

Im160919___80_5_x40_2560x1920_200m

第6胸脚です。
スケールは200μmです。

Im160919___80_6_x40_2560x1920_200_2

第7胸脚です。
スケールは200μmです。

Im160919___80_7_x40_2560x1920_200m

今回は同定が上手くいった方だと思います。
日本海岸動物図鑑[II]のおかげですね。

2017年1月22日 (日)

ハマトビムシ上科 2016年4月 新潟県柏崎市

今回は久しぶりにヨコエビです。
2016年4月に新潟県柏崎市で採取しました。
この種は触覚の柄部や第1咬脚に特徴があります。

 

160505_43004__63_x1_2560x1920_2mm

 

スケールは2mmです。
ハマトビムシ上科(Talitroodae)なのは間違いないと思います。
モクズヨコエビ科(Hyalidae)に似ているのですが、
詳細な同定には第3尾肢や尾節板を確認する必要があるらしいです。
とりあえず、今年のサンプリングでこの種が見つかったら
忘れずに第3尾肢と尾節板を確認しましょう。
今年はハマトビムシ上科の同定を進めたいです

 

まず第1触覚です。
柄部は濃い色で太くなっています。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63_1_x5_2560x1920_500

 

続いて第2触覚です。
第2触覚も柄部は濃い色で太くなっています。
鞭部は12節です。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63_2_x5_2560x1920_500

 

こんどは第1咬脚です。
ゲンコツのような形で特徴的です。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63_12_x40_2560x1920_5

 

第2咬脚です。
よく発達しているの雄の個体と思います。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63_2_x5_2560x1920_5_2

 

第3胸脚です。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63_3_x5_2560x1920_500

 

第4胸脚です。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63_4_x5_2560x1920_500

 

第5胸脚です。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63_5_x5_2560x1920_5_2

 

第6胸脚です。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63_6_x4_2560x1920_500

 

第7胸脚です。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63_7_x4_2560x1920_500

 

最後に尾肢です。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63__x5_2560x1920_500

 

残念ながら、側面からでは内枝、外枝の構造が分かりにくいです。
特徴を調べるには正面から観察する必要がありそうです。
第2尾肢、第3尾肢に棘がありますが、
これは同定に有効な特徴かもしれません。

2016年12月 5日 (月)

イッケヒゲナガヨコエビ属(Peramphithoe sp.) 千葉県2015年3月

今回もヨコエビです。

ヨコエビの脚をバラバラにして撮影するのは
残酷に思えるかもしれません。
なので、ヨコエビのデータ収集を始めた当初は
全体写真しか撮影しませんでした。
ところが、全体写真だけでは種レベルの同定はおろか、
科レベルの同定も難しい!
これではせっかくの標本も無駄になってしまうので、
去年あたりから積極的に解剖を行うことにした次第です。
そこまでして名前を調べることに意味があるのかという
哲学的問題もありますが。

死んでいると思ったヨコエビから脚を外すと、
どういうわけか脚が動き出したり、
1cm程度の大きさのヨコエビでも結構臭いがあったり
リアルに生死を感じる世界なのですが、
スーパーに並ぶカニの脚を見ていると思えば
無心になれるかもしれません。

さて前置きが長くなりましたが、
今回のヨコエビです。
2015年3月に房総半島先端の野島崎で採取しました。

写真1
150324__26_1280x960_x2

写真2
150324__26_1280x960_x40_


写真1は上から照明をあてた画像、
写真2は下から照明をあてた暗視野画像です。

このヨコエビは以前に掲示板でHo(No67)さんに
「ヒゲナガヨコエビ科のようです。
Peramphithoeだと思います。」とコメントを頂いていました。
ただ、そのときは全体写真だけだったので
今回は細部まで詳細に見ておきたいと思います。

Peramphithoeは日本海岸動物図鑑[II]では
イッケヒゲナガヨコエビ属と和名が付けられています。
日本海岸動物図鑑[II]によれば、
近縁のヒゲナガヨコエビ属(Ampithoe)とは、
「第1底節は前方に進展しない、
第3、第4胸脚の基節は膨れて楕円形」
であることで区別されています。

残念ながら、第1底節がよく見える写真がなかったので、
まずは第3胸脚から見ていきます。
150324__26_31_25601920_x40

たしかに「基節は膨れて楕円形」です。
もうこれだけでもPeramphithoeとして良さそうです。

次に第4胸脚です。
150324__26_41_25601920_x40

「基節は膨れて楕円形」です。

第5胸脚です。
150324__26_51_25601920_x40

基節はむしろ円形です。
日本海岸動物図鑑[II]のトウヨウヒゲナガ
(Peramphithoe orientalis)の第5胸脚のイラストに似ています。

第6胸脚です。
150324__26_61_25601920_x40

第7胸脚です。
150324__26_71_25601920_x40

変則的ですが第1咬脚です。
150324__26_11_25601920_x40

第2咬脚です。
150324__26_21_25601920_x40


日本海岸動物図鑑[II]のトウヨウヒゲナガ
(Peramphithoe orientalis)のイラストよりも
指節が短いです。
トウヨウヒゲナガではなさそうです。

あまり同定の役にはたちませんが口器の部分も見ましょう。
顎脚です。
150324__26__25601920_x40

大顎です。
150324__26__25601920_x40_2

小顎です
150324__26_1_25601920_x40

やはり、Ho(No67)さんの見立て通り、
イッケヒゲナガヨコエビ属(Peramphithoe sp.)で良さそうです。
無事に名前が付きました。

2016年11月28日 (月)

ユンボソコエビ科 新潟県2016年4月

今回もヨコエビですが、
写真少なめです。

そういえば、このブログに掲載されている写真の
半分くらいはヨコエビの脚かもしれません。
カニの脚と思えば美味しそうかも?

今回のヨコエビはこれです。
160503_430__32_x3_2560x1920

GWに新潟で採取したヨコエビです。
第1咬脚が大きいのでユンボソコエビ科だとは思います。

ユンボソコエビ科には、
ドロソコエビ属とユンボソコエビ属があって、
第3尾肢が単枝か、双枝かが決め手なのですが、
03174146
この写真では角度が悪い・・・。
単枝か、双枝か、これでは判断できません。
GWの時の私は経験が浅かった・・・。

今回はユンボソコエビ科にとどめておきましょう。

とりあえず、第1咬脚です。
160503_430__32_12_x40_2560x1920

第2咬脚です。
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教訓としては、
第3尾肢と底節板は、どんなヨコエビでも確認すること、
ですね。

2016年11月20日 (日)

ヤシャヒメヨコエビ属(Abludomekita) 北海道2016年9月

ここのところヨコエビブログになっていますが、
今回もヨコエビです。
ヨコエビ以外に好きなものというと、
最近ではダニ(ササラダニ)とかも面白いですね。

今回はこのヨコエビです。
Im160919___69_x1_2560x1920

北海道の積丹半島で採取しました。
メリタヨコエビと思いますが、よく観察して見ましょう。

まずは第3尾肢です。
Im160919___69_3_x40_2560x1920

内枝が小さいです。
鱗状と言うよりは突起状ですが、
少なくとも外枝よりも内枝がはるかに小さいので、
メリタヨコエビ属(Melita)か、ヤシャヒメヨコエビ属
(Abludomekita)だと思います。

さらに第3尾肢を追求します。
先ほどの写真では分かりにくかったですが、
こちらの違う向きで本体とつながっている写真をみると、
先端に小さな節があるように見えます。
Im160919___69__x40_2560x1920

さらに拡大します。
Im160919___69__x100_2560x1920


第3尾肢の外枝の先端部に小さな先端節があることがわかります。
日本海岸動物図鑑[II]によれば、これは
ヤシャヒメヨコエビ属(Abludomekita)の特徴とのことです。

写真を撮っていたときには先端節に気がつかなかったのですが、
写真はできるだけ色々なアングルで撮っておくものですね。

では他の特徴もみます。

まず第1触覚の副鞭です。
Im160919___69__x100_2560x1920_2

副鞭は4節あります。

第1咬脚です。
Im160919___69__x40_2560x1920_2

Im160919___69__x100_2560x1920_3

不思議な構造をしていますが、
メリタヨコエビ属(Melita)とヤシャヒメヨコエビ属
(Abludomekita)と共通の特徴と思います。

第2咬脚です。
Im160919___69_2_x40_2560x1920

メリタヨコエビ属(Melita)と同じく棘が密生しています。

第3胸脚です。
Im160919___69_3_x40_2560x1920_2

細くて長いですね。

第4胸脚です。
Im160919___69_4_x40_2560x1920

第3胸脚と似ています。

第5胸脚です。
Im160919___69_5_x40_2560x1920

棘が多いです。

第6胸脚
Im160919___69_6_x40_2560x1920

しっかりとした歩脚です。

第7胸脚
Im160919___69_7_x40_2560x1920

第6胸脚と似ています。

総合的に今回のヨコエビはヤシャヒメヨコエビ属
(Abludomekita)でよさそうです。

なお、日本海岸動物図鑑[II]によれば、
メリタヨコエビ属(Melita)とヤシャヒメヨコエビ属
(Abludomekita)はよく似ていて、
近い将来に再統合される可能性があるとのことです。
実際、フトメリタヨコエビは、
Abludomelita rylovaeでも、Melita rylovaeでも
検索に引っかかります。
シノニムですね~。

2016年11月13日 (日)

ハマトビムシ科(2属) 新潟県(出雲崎町)2016年4月

今回もハマトビムシ科(Talitridae)の同定です。
GWに新潟県(出雲崎町)で採取しました。

まず、この個体です。
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第1触覚の拡大画像です。
160502_42901__18_x5_2560x1920_

第1触覚は短く、これはハマトビムシ科の特徴です。

こちらは第2触覚の基部に焦点を合わせた画像です。
160502_42901__18_x5_2560x1920__2

第2触覚の柄部に突出部があります。
これはニッポンスナハマトビムシ(Talorchestia nipponensis)
の特徴です。
ニッポンスナハマトビムシの近縁種に
タイリクスナハマトビムシ(Talorchestia sinensis)があります。

こちらは第1咬脚です。
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こぶ状の突起があります。
これはハマトビムシ科の特徴かもしれません。

第2咬脚です。
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第2咬脚の掌部に突起があります。
この突起の形状は日本海岸動物図鑑のニッポンスナハマトビムシ
のイラストによく似ています。
タイリクスナハマトビムシは2個の突出部があるので、
明瞭に区別できます。

第3胸脚です。
160502_42901__18_3_x3_2560x1920_

短い歩脚です。

第4胸脚です。
160502_42901__18_4_x3_2560x1920_

短い歩脚です。

第5胸脚です。
160502_42901__18_5_x3_2560x1920_
短い歩脚です。

第6胸脚です。
160502_42901__18_6_x2_2560x1920_
やや長い歩脚です。

第7胸脚です。
160502_42901__18_7_x2_2560x1920_
やや長い歩脚です。

最後に尾部です。
160502_42901__18__x5_2560x1920_
第1尾肢に着目します。
タイリクスナハマトビムシの第1尾肢は先端に長い棘があるそうですが、
この個体の第1尾肢には長い棘がありません。

総合的に見て、ニッポンスナハマトビムシ(Talorchestia nipponensis)
で間違いなさそうです。

もうひとつ、こちらのハマトビムシも同定します。
こちらもGWに新潟県(出雲崎町)で採取しました。

全体像です。
160502_42902__21_x1_2560x1920

第1咬脚です。
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第2咬脚です。
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不明瞭ですが、掌部に2つの突出部があります。
これはヒメハマトビムシ(Platorchestia platensis)
の特徴です。
未成熟個体では掌部に2つの突出部は不明瞭とのことです。
(日本海岸動物図鑑)

第3胸脚です。
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短い歩脚です。

第4胸脚です。
160502_42902__21_4_x4_2560x1920
短い歩脚です。

第5胸脚です。
160502_42902__21_5_x4_2560x1920
短い歩脚です。

第6胸脚です。
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やや長い歩脚です。

第7胸脚です。
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やや長い歩脚です。
第7胸脚の長節と腕節が細いので、ニホンヒメハマトビムシ
(Platorchestia pachypus)から区別できます。

最後に触覚です。
160502_42902__21__x5_2560x1920

第1触覚が、第2触覚よりも短いことがわかります。
これはハマトビムシ科(Talitridae)の特徴です。

総合的に見て、ヒメハマトビムシ(Platorchestia platensis)
として問題ないようです。

2016年11月 6日 (日)

ハマトビムシ2種 北海道(石狩市)2016年9月

今回はハマトビムシ科(Talitridae)の同定です。
世界に33属、日本からは7属知られているとのことです。
(日本海岸動物図鑑)

 

特徴は陸域に分布することです。
水際に近い砂浜から、内陸の森林土壌まで、
広範囲に分布します。
形態的には第1触覚が短いことが特徴です。
飛び跳ねるようにジャンプすることも特徴です。

 

今回同定するハマトビムシは北海道(石狩市厚田区望来)
で採取しました。
望来はもともと海水浴場だったようですが
今ではかなり荒廃していて海岸に近づくのも一苦労でした。

 

まずこちらのヨコエビ(ハマトビムシ科)です。
Im160916__6_x067_2560x1920

ヨコエビとしては大型で2cm近くあります。
海藻の下から、手でつまんで採取しました。
第2触角が長いですね。

 

こちらが、その第2触角です。
Im160916__6_2_x1_2560x1920

第2触角の鞭部が柄部よりも長いことが特徴です。
この特徴は日本海岸動物図鑑のホソハマトビムシ
(Paciforchestia pyatakovi)に似ています。
ホソハマトビムシは北海道から九州までの日本海側と、
北海道から伊豆半島までの太平洋側に分布するそうです。

 

こちらは第1触角です。
Im160916__6__x40_2560x1920

短いです。
ハマトビムシ科(Talitridae)の特徴です。

 

次に第1咬脚です。
Im160916__6_1_x2_2560x1920
Im160916__6_1_x40_2560x1920

こぶ状の突起があります。

 

第2咬脚です。
Im160916__6_2_x2_2560x1920

第2咬脚の掌部は滑らかで、日本海岸動物図鑑の
ホソハマトビムシのイラストに似ています。

 

第3咬脚です。
Im160916__6_3_x2_2560x1920
歩脚状です。

 

第4咬脚です。
Im160916__6_4_x2_2560x1920
歩脚状です。

 

第5咬脚です。
Im160916__6_5_x2_2560x1920
歩脚状です。

 

第6咬脚です。
Im160916__6_6_x1_2560x1920
長い歩脚です。

 

第7咬脚です。
Im160916__6_7_x1_2560x1920
長い歩脚です。

 

日本海岸動物図鑑のホソハマトビムシの記載には、
腹肢の記載もあります。
ホソハマトビムシの腹肢は未発達で、
内枝、外枝は1~2節とのこと。

 

別の個体で確認します。

 

別の個体です。
Im160917__15_x067_2560x1920

ちなみに上から見るとこうです。
Im160917__15_x067_2560x1920_2

第6、第7胸脚が長いことがよくわかります。

 

さて、本題の腹肢です。
Im160917__15_2_x4_2560x1920

これは第1腹肢です。
確かに未発達です。
複数の節があるようにも見えますが、
合体して一枚の板のようにも見えます。
ただ、日本海岸動物図鑑のホソハマトビムシの
腹肢のイラストよりもはるかに複雑です。

 

ついでに顎脚です。
Im160917__15__x40_2560x1920
同定ですが、腹肢の形状に若干の疑義があるので、
今回は、ホソハマトビムシ?(cf. Paciforchestia sp.)
ということにします。

 

今回は2本立てで、次のハマトビムシ(ヨコエビ)も用意しました。
こちらも北海道(石狩市厚田区望来)で採取しました。
1個体だけなので、やや貴重な個体です。

 

このハマトビムシです。
Im160916__10_x1_2560x1920

こちらは明視野像(上からの照明)で観察した画像です。

 

暗視野像もあります。
Im160916__10_x1_2560x19202

暗視野像では、短い第1触覚を確認できます。

 

こちらは第1咬脚です。
Im160916__10__x40_2560x1920

こぶ状の突起があります。

 

こちらは第2咬脚です。
Im160916__10_2_x40_2560x1920

不明瞭ですが、掌部に2つの突出部があります。
これはヒメハマトビムシ(Platorchestia platensis)
の特徴です。
ヒメハマトビムシの近縁種にニホンヒメハマトビムシ
(Platorchestia pachypus)がいますが、
こちらは第2咬脚掌部が波打っていること、
第7胸脚の長節と腕節が肥厚していることから
区別できます。

 

今回は第7胸脚の分離に失敗したのですが、
全体像を見る限り、肥厚しているようには見えないので、
ヒメハマトビムシ(Platorchestia platensis)と
同定して良さそうです。