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2019年4月13日 (土)

伊豆半島サンプリング:2019年3月

3月14日~16日に伊豆半島に調査旅行に行きました。
主に下田付近で小さな生物の採取を行いました。
帰りに大室山によって火山巡検も行いました。

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良い天気でした!
ソメイヨシノではないと思いますが、桜も咲いていました。
TG5の深度合成モードで撮影した画像です。
花弁が少し2重になっていますね・・。
術写真じゃないので、まあ良い としましょう。

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まず訪れたのが下田エリアの爪木埼です。
写真の場所は爪木埼の北側エリアです。
とにかく海が奇麗でした。
波も穏やかだったので潮だまりでヨコエビを採取しました。

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こちらは爪木埼の別の場所です。
柱状節理で有名な場所です。
柱状節理を作る岩石は元マグマの火山岩です。
マグマが冷却するときに収縮によって亀裂が発達します。
このような亀裂を節理と呼びます。

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マグマの表面に対して垂直に節理が発達すると柱状節理になります。
6角形に亀裂が入るので柱状になります。
玄武岩質マグマが冷却するときによくみられますが、
ここの岩質は安山岩のようです。
安山岩が地下に板状に貫入した溶岩のようですね。

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この辺りは崩れた柱状節理の岩が転がっていて非常に歩きにくいのですが、
潮だまりでカニダマシなどを採取しました。
テッポウエビもいたのですが捕まえるときに失敗しました・・・。
うっかり鋏をつかんでしまい自切してしまいました。
エビ・カニを採取するときはソフトに扱わないといけないですね。
スナホリムシも捕まえました。
採取した甲殻類は現在冷凍中で観察待ちです。

この日は風が強かったのですが波が穏やかでよかったです。

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遠くに見える島は伊豆大島です。
昨年の調査旅行で行きました。

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右端に見えるのは爪木埼灯台です。
この時点で日が傾いてきて肌寒くなってきたので
1日目は終了しました。

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2日目は下田海中水族館周辺を探索しました。
赤根島の遊歩道を歩きます。
この日も風が強かった!

この辺りの岩質は凝灰岩みたいですね。
光が強くて色がわからないのですが、
淡い緑色をしているかもしれません。
緑色凝灰岩かもです。
層理がはっきりしているので水中堆積物かもしれません。
海底火山活動かな。
高温のマグマが海水に触れると急冷して自破砕溶岩という
特徴的な岩石ができたり、緑色になったりします。
グリーンタフもその一例ですね。

ところで、写真の露頭では断層を観察できます。
複数の断層が生じているので破砕帯といったほうがよいかも知れないです。

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断層を拡大しました。
逆断層かな。

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層理がよく見える場所です。
やはり水中堆積物かな。

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相変わらず波は穏やかで海はきれいです。
この場所でもヨコエビを採取しました。
砂浜でハマトビムシを採取したので、
GWにでも解剖するつもりです。
アミも採取できました。

2日目はここで終了です。

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最終日は火山巡検からです。
写真は大室山です。
夏なら緑色の草原が奇麗なのですが、春なのでしょうがないですね。
近すぎてよく分からないですが奇麗な円錐型をしています。
手前のリフトで登ります。
徒歩での登山は禁止だそうです。

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大室山の山頂火口です。
大室山はスコリア丘で5000年前の一回の噴火活動でできたそうです。
一回の噴火活動といっても数年間くらいは噴火が継続したようです。
伊豆半島北東部にはこのような小さな火山が70くらいも分布していて
東伊豆単成火山群などと呼ばれています。
大室山については様々な論文があると思いますが、私は
「およそ5000年前に東伊豆単成火山地域で起こった大室山噴火の推移と継続時間」
古谷野裕、早川由紀夫、町田洋(1996)地学雑誌、105(4) 475-484
という文献を読みました。
噴火活動の再現も書かれていて面白い論文でした。

ところで火口の中はアーチェリー場になっています。
風がないからかな。

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足元はスコリアがいっぱいです。
スコリア丘だから当然ですが、
昨年、伊豆大島で見た1986スコリア丘よりも規模が大きいですね。

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スコリアの写真です。
伊豆大島で得た知識によれば赤いスコリアは高温で酸化したものらしいです。
火口周辺のスコリアだから、当然といえば当然ですね。
スコリアは緻密で発泡が悪いように思えます。

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大きな岩、火山弾でしょうか。
表面には気泡が見られます。

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この部分はよく発泡していますね。

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これも火山弾でしょうか。
火口を一周する遊歩道に落ちていました。
落下の時にひび割れたように見えますが、
5000年間もここにあったのかな?
なんとなく新鮮そうなので遊歩道を作るときに現れたのかな。

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火山弾?の拡大です。

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見下ろすと伊豆シャボテン動物公園が見えました。
ここは周囲より少し高くなっています。
この部分には溶岩の湧き出し口があって、
ここから溶岩流が流出したそうです。
溶岩流は海まで達したそうですから、
この辺り一面、火の海になったでしょうね。
最近噴火した西ノ島みたいな様子だったのでしょう。

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写真中央に一碧湖(いっぺきこ)があります。
一碧湖も火山地形、というか火口です。
火口の窪地しかないのでマールに分類されています。
昨年、男鹿半島で見た一の目潟と同じですね。
この火口が活動したのは10万年前だそうです。
やはり東伊豆単成火山群の活動です。

なお、東伊豆単成火山群(伊豆東部火山群)の最も最近の活動は
1989年の伊東市沖の海底噴火です。
テレビで見た人も多いかもしれません。
この時の活動が沖合でよかったです。
このときの活動では手石海丘という海底火山ができました。
陸域で噴火が起きていたら激しいマグマ水蒸気爆発を起こして
一碧湖を小さくしたようなマールが誕生していたかもしれません。

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という訳で一碧湖に来ました。
ここではケンミジンコなどを採取しました。
珍しい藻類、ミクラステリアス(Micrasterias sp.)も採取できました。
ツヅミモ類が多数見つかったことから腐食栄養性の湖沼と思われます。

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一碧湖の崖(火口壁)では火山角礫岩の地層を見ることができます。
草が生えないように手入れしてあるみたいです。
ジオパークの見学者のためですね。

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最終日は最後に真鶴岬に行きました。
写真は三ツ石です。

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ここではカニ数種類とヨコエビを採取しました。
これらの甲殻類もGWに解凍して観察を行う予定です。
長期休みが待ち遠しいですね。

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