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2019年3月

2019年3月16日 (土)

高崎観音山丘陵の土壌ダニ:2019年2月

高崎観音山丘陵の土壌(腐植)のダニ分析結果です。
例によって簡易ツルグレン装置でダニの抽出を行いました。

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ユメダニ属(Epicrius sp.)と思われます。
ヤマトユメダニ(Epicrius nemorosus)かもしれません。
オモゴユメダニ(Epicrius omogoensis)の背板はもう少し丸いようです。

ユメダニ属ユメダニ科(Epicriidae)に属しています。
日本ダニ類図鑑によれば“顆粒突起から成る網目状紋理と
顕著な側方の隆起顆粒をもち”とあります。
また、第1脚に先端が球状の感覚毛を持つことも特徴とのことです。
腹面には、顕著な前胸板があり、後胸板はありません。
生殖板と腹板が融合しています。
雄と思われる個体も見つけました。
珍しいトゲダニなので解剖はせずに、
エタノール標本にしました。

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アトツノダニ属(Asca sp.)と思われます。
クモマアトツノダニ(Asca nubes)かもしれません。
アトツノダニ属はマヨイダニ科(Ascidae)に属しています。
後縁に顕著な突起を持つことが特徴です。
後縁の突起から伸びる毛は羽毛状です。
生殖板の後縁は直線的で腹肛板が広いところなど、
細かな特徴も日本産土壌動物の記載と一致します。

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ツヤトゲダニ属(Gamasiphis sp.)と思われます。
日本産土壌動物の“ツヤトゲダニ属の1種”のイラストに良く似ています。
ツヤトゲダニ属はツブトゲダニ科(Ologamasidae)に属しています。
背板は1枚で、周気管板と側胸板が融合しているように見えます。
背板と腹肛板が後縁で融合する様子は確認できていませんが、
ツヤトゲダニ属で間違いないと思います。
同じツブトゲダニ科のマルツヤトゲダニ属(Stylochirus 属)は
周気管板と側胸板が融合しません。

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モリチョウコクダニ(Discourella silvestrisa)と思われます。
Discourella 属はイトダニ科に属しています。
背板中央の縦長の構造や、腹肛板の2対の網状彫刻肥厚域、
背板板の後端が左右離れて間に柔皮域がある特徴は
日本ダニ類図鑑の記載に一致します。
ただ、背板の3対の凹没部と外縁の毛の並びは確認できませんでした。
高崎観音山丘陵の試料からは複数個体が見つかっています。

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ササラダニだと思います・・・。
ヒワダニに似ているのですが、背面の皺が不明瞭です。
かなり派手な特徴を持っているので、
当初は楽に同定できそう、と思っていたのですが苦戦しています。
見当違いの分類群なのか、珍しい種類なのか、
いつかは同定できるのでしょうか。

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こちらも未同定のササラダニです。
タマゴダニの仲間に似ているのですが、
何しろ小さいので特徴がつかめていません。
未同定のササラダニが増えてきました。

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体長0.92mm、大型のササラダニです。
ヨロイジュズダニ(Tectodamaeus armatus)と思われます。
日本産土壌動物の記載によれば、
ヨロイジュズダニの体長は0.94mmなので一致しています。
太い棘状の背毛が特徴的です。
後縁の背毛は前方の背毛よりも細いです。

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ジュズダニ科の1種です。
ジュスダニ科を属レベルで確定するには肩突起の有無と、
脚の護毛の有無を調べる必要があるそうです。
次回、ジュズダニを見つけたら詳しく見てみることにします。
ただ、脚の脚の護毛の有無を判断するのは難しそうですね・・・。

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コナダニです。
コナダニは勉強不足で科レベルでの分類が難しいです。
もうちょっと目が慣れないといけないですね。

とりあえず、高崎観音山のサンプリングでは
新たにダニを5属見つけることができました。
もう少し腐植が残っているので再チャレンジできそうです。

2019年3月10日 (日)

高崎観音山丘陵(板鼻層)の巡検

先月の初めの事ですが、群馬県の高崎観音山に行ってきました。
山名八幡宮に参拝することが目的です。
以前にここで参拝してから腰痛が良くなったので、
毎年お参りしています。

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良い天気でした!

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さて、山名八幡宮は高崎観音山丘陵の東縁にあります。
高崎観音山丘陵は平野からの高さは100~150m程度のなだらかな丘です。
白衣大観音や、観音山ファミリーパークが有名で、
南側はゴルフ場など開発が進んでいます。
一方で、雁行川などの小河川沿いでは板鼻層(新第三紀層)の露頭をみることができます。

まず、雁行川上流の“千人隠れ”というポイントに行ってみました。

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落石防止のため近くに寄ることができず、
遠景写真になります。
分かりにくいですが、浸食によって下層がえぐられ小さな洞窟状になっています。
落ち武者が隠れたことが名の由来だとか。

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立ち入り禁止外の場所です。
凝灰岩層が浸食されて礫岩層が残っているようです。

この部分は渓谷になっていて冷たい風がながれています。
当日は暖かい陽気でしたが、谷底までは暖まらないみたいですね。
あるいは雁行川の冷水の影響かもしれません。

雁行川の川底には赤茶色の珪藻コロニーができていたので、
採取して顕微鏡で観察してみました。Planothidium lanceolatum(syn: Achnanthidium lanceolatum)や、
Ulnaria ulna(syn: Synedra ulna)などのおなじみの渓流生珪藻に混じって、
珍しい珪藻が見つかりました。

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Entomoneis sp.です。
生細胞なので細かな構造が見えにくいですが、
特徴的な形状なので属レベルでは間違いないと思います。
この珪藻のコロニーを見たのは初めてです。
今までは桧原湖で遺骸を数個体と海生の個体を見ただけでした。
こんなところに生息しているのですね。

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雁行川を下っていくと立派な露頭がありました。
工事現場を避けて近くに寄ってみます。

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浸食が続いているようです。
こういう場所では落石に注意が必要です。
新鮮な新第三紀層の露頭に近ずくと硫黄の匂いのような独特の匂いがします。
黄鉄鉱(FeS2)が風化して褐鉄鉱(FeO(OH)・nH2O )に変質するときに
硫黄が析出すると聞いたことがあります。
この硫黄が酸化して硫酸になると酸性土壌になったりするらしいですね。

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貝化石層がありました!
白く見えるところが貝化石です。

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少し近くに寄った画像です。
貝化石は断面で見えています。
風化が進んでいて取り出すのは難しそうです。
こういうところでは、化石の産状を観察することにしましょう。

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まず分かることは二枚貝の貝殻が1枚ずつ分離していることですね(離弁)。
貝が死んだ後に、水流にのって貝殻が移動したことを示しているので、
異地性の貝化石ということになります。
また、貝殻の凸面が下向きになっていることも
堆積環境を考える上でのポイントになります。
また、貝殻以外に目を向けると、砂から礫まで堆積粒子の粒が不均質であることが分かります。
地学では淘汰が悪いなどと表現します。

海岸や河原を見てみれば分かりますが、
一定の流れが続いているようなところは粒子の大きさが均質になります。
これは流速によって運ばれる粒子の大きさが決まっているからですね。
一般に流速の大きいところから運ばれた堆積物は
流速が遅くなるにつれて大きな粒子を落としていくので堆積粒子の粒が均質になります。

逆に、土石流などのように大量の土砂が一気に流れてきて、
イベントが一瞬で終わるときなどは
体積粒子の大きさが不揃いになるでしょう。
なのでこういった淘汰度も過去の環境を推測するための重要な指標になります。

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さて露頭を見上げてみると
層理面が張り出しているところがあり、
そこに葉の化石が露出していました。

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ここも落石の危険があるので写真を撮るだけにしておきます。
広葉樹の葉みたいですね。
葉の隣に“穂”のほうな化石もあります。

この近辺で土壌(腐植)を採取できました。
次回は観音山丘陵のダニのまとめを行います。

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