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2018年9月19日 (水)

男鹿半島サンプリング(2018年8月13日~16日)

8月13日から8月16日にかけて
秋田県男鹿半島周辺に小さな生物の採取に行きました。
神奈川県から秋田県に行くには新幹線、自家用車(高速道路)など、
幾つかのルートがありますが、
今回は自家用車+フェリー(新潟-秋田)を選択しました。

まず8月13日に自家用車で新潟港に向かいました。
環8号線で雷雨に見舞われたり、
先行きが不安になるような天候でしたが、
夜11時くらいには無事にフェリーに乗船。
翌朝6時(8月14日)には秋田港に到着しました。

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写真は早朝の秋田港です。
停泊中のフェリーは大きな建物みたいですね。
ここから男鹿半島に向かいました。

まずは男鹿半島南部の鵜ノ崎海岸に向かいました。
鵜ノ崎海岸は「日本の渚百選」に選ばれるほどの美しい海岸で、
鬼の洗濯板と呼ばれる筋状の地層を見ることができます。
男鹿半島はジオパークに選定されるくらい地質的にも面白い場所なのですが、
今回は小さな生物の調査に集中します。

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鵜ノ崎海岸の海は透明度が高く、
波もほとんどありませんでした。
少ないですが海藻もあります。

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ここでは、ヒメハマトビムシ
P. parapacificaP. joiP. pacificaのどれか、どれもなんだか微妙です・・・)、
ナガタメリタヨコエビ(Melita nagatai)、モズミヨコエビ(Ampithoe valida)、
ニッポンドロソコエビ(Grandidierella japonica)、
ハマトビムシ科のヨコエビ、イソコツブムシ(Gnorimosphaeroma rayi)、
ケフサイソガニ(Hemigrapsus penicillatus)を採取しました。

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次に潮瀬岬に行きました。
ここはゴジラ岩という奇岩があることで有名です。
広い範囲に浅いタイドプールができていますが、
海藻はあまりありません。

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男鹿半島・大潟ジオパークのページには、
ゴジラ岩は「3,000万年前の火山の噴出物である火山礫凝灰岩」で
できていると書かれていました。
タイドプールのある平坦面は泥岩か凝灰岩でできています。

男鹿半島には25年前、大学3年生のときに、
大巡検という泊まりがけの地質巡検で来ました。
この時に学んだ記憶によれば
日本列島が大陸から分離し、日本海ができるまでの地質が
男鹿半島には残されているのだそうです。
ゴジラ岩を作った火山活動は日本海形成初期か形成前ですね。

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写真はケフサイソガニか、タカノケフサイソガニです。
ここではモズミヨコエビ(Ampithoe valida)、
ニッポンドロソコエビ(Grandidierella japonica)、
スジエビモドキ(Palaemon serrifer)を採取しました。

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続いて戸賀湾に移動しました。
戸賀湾は単成火山の爆裂火口です。
近くには一ノ目潟、二ノ目潟、三ノ目潟があります。
写真の場所は戸賀湾の南部です。
波が弱いのか、このあたりには海藻があります。

ここではナガタメリタヨコエビ(Melita nagatai)、
ヒゲナガヨコエビの1種(validaではない)を採取しました。

戸賀湾で昼食を頂きました。
サザエの壺焼きと岩ガキが美味しかったです。

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続いて男鹿半島の北側に移動しました。
写真は西黒沢海岸です。
ここには大きなタイドプールがありました。

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カモメでしょうか?
眼が怖いです。

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ヒザラガイです。
代表的な磯の生物ですね。

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こちらはカメノテです。
こう見えて甲殻類です。
三浦半島のものよりも大型です。

http://plankton.image.coocan.jp/Crustacea2-3-030.html

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西黒沢は「西黒沢層」と呼ばれる有名な地層の模式地だったと記憶しています。
重要な場所なので25年前の地質巡検でも来ていたはず。
・・・とはいえ、周りを見渡しても当時の記憶はないですね。
崖から落ちてきたのか、葉っぱの化石がありました。
西黒沢層は第三期中期中新世の地層で、
秋田・山形の日本海側の油田地域に分布するので石油資源的に有名ですね。

さて、この場所では通常の昼の採取の他に、
夜間採取も行いました。

昼、夜合わせて下記の生物を採取しました。

カイアシ:
ヒラアシヨコミジンコ属(Syngastes sp.)、
カラヌス目のカイアシ(ポンテラ科と思われる種と不明種)、
ニセボカシソコミジンコ属(Paralteutha sp.)、
ハルパクチクス目の1種

ミオドコパ

アミ:
オカダヨアミ(Siriella okadai)

ヨコエビ:
タテソコエビ科(Stenothoidae)
アゴナガヨコエビ科(Pontogeneiidae)
トゲホホヨコエビ(Paradexamine barnardi)、
フクスケヨコエビ科(Synopiidae)
ドロクダムシ科(Corophiidae)
ゴクゾウヨコエビ(Palinnotus thomsoni japonicus
クチバシソコエビ科(Oedicerotidae )
*ねこのしっぽラボでは初記載です。

モクズヨコエビ科(Hyalidae)
モズミヨコエビ(Ampithoe valida)
不明種1

その他のフクロエビ上目:
クーマ(3種類)、ワレカラ、コツブムシ亜目、
タナイス、

十脚目:
ゾエア、メガロパ、
スジエビモドキ(Palaemon serrifer)、
イワガニ(Pachygrapsus crassipes)、
イソガニ(Hemigrapsus sanguineus)

その他:
有孔虫2種類

ちなみにこの日は男鹿日本海花火でした。
花火にしても、夜間サンプリングにしても
天気が良くて良かったですね。

さて、夜間サンプリングから時間を戻って、
昼の西黒沢サンプリングの後は、
休憩も兼ねて入道岬に行きました。

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昼下がりの入道岬はちょっと暑かったですね。
入道岬は北緯40°にあることでも有名です。
写真は北緯40°のモニュメントです。

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入道岬のあとは夜間サンプリングまでの時間つぶしということで、
寒風山に行きました。
寒風山は標高355mの小さな成層火山です。
写真は第二火口です。

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こちらは第1火口だったと思います・・・。
大きな火口です。
火山地形が良く保存されているので、
てっきり活火山かと思ったのですが、
気象庁のホームページを見ても活火山ではないみたいですね。

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寒風山から見下ろした八郎潟です。
多角形の輪郭の湖が見えますが、これが八郎潟。
正確には調整池です。
かつては国内2番目の面積の湖だったということです。
この日の調査はこれで終了。
2日目に続きます。

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2日目は八郎潟の河口部からスタートです。
正確には船越水道です。
ここは水門の河口側なので汽水環境です。
潮の満ち引きを確認したわけではないですが
小規模な干潟ができているようです。

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水の透明度は良くありません。
長靴で調査を行っていますが、
深いところでは足下が見えなくなります。
深みにはまらないように注意して活動します。
この場所では、下記の甲殻類が見つかりました。
ハマトビムシ科(Talitridae)
マルソコエビ科(Urothoidae)
スジエビ属(Palaemon sp.)

マルソコエビ科を採取できたのは6年ぶりで、
きちんと解剖して付属肢の構造を確認したかったので、
ありがたかったです。

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秋田県の沿岸は大小様々な風車が多く、
独特の景観を作っています。
秋田的な光景ですね。

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昨日、見ていなかった場所として目潟に行きました。
写真は二ノ目潟です。
遠くに見える戸賀湾と同じく、
目潟も単成火山の爆裂火口(マール)です。
一ノ目潟、二ノ目潟、三ノ目潟まであります。
かつて、一ノ目潟周辺は橄欖岩が採取できる場所として有名でした。
ただ25年前の時点でも取り尽くされたような話を聞いていました。

地下深部、マントルには橄欖岩がたくさんあって、
その部分からマグマが勢いよく上昇してくると
橄欖岩を捕獲して地上まで持ってきます。
そういったものを捕獲岩(ゼノリス)と呼びます。
確か、一ノ目潟では地殻下部由来の花崗岩の捕獲岩も見られたはずですが、
花崗岩はその辺で普通に見られるので、
話題にはならないですね。

ちなみに橄欖岩の主要構成鉱物はカンラン石(olivine)です。
カンラン石の美しい結晶はペリドット、
つまり宝石ですね。

こういった事が理由かどうかは不明ですが、
今は目潟のそばには立ち入れないようです。
なので、目潟は見るだけです。

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二ノ目潟を撮影した場所は八望台という展望台で、
ここからは写真のように寒風山を見ることもできます。
この辺りは火山地域なんですね。

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再び戸賀湾にやってきました。
場所は戸賀海水浴場です。
ここでは、大きなヒゲナガヨコエビの1種を採取しました。
一応、解剖も行ったのですが、
ニッポンモバヨコエビ(Ampithoe japonica)とも、
モズミヨコエビ(Ampithoe valida)とも違う感じです。
もう少し調べてみましょう。
男鹿半島にはどうやら2種類のヒゲナガヨコエビがいるようですね。
(もっといるかもしれません。)
あとは、
アゴナガヨコエビ科(Pontogeneiidae)
モクズヨコエビ科(Hyalidae)
ハマトビムシ科(Talitridae)
メリタヨコエビ科(Melitidae)
ニホンコツブムシ(Cymodoce japonica
ヘラムシ、
ヒライソガニ(Gaetice depressus)を採取しました。

121_gao

続いてやってきたのは男鹿水族館GAOです。
というか、水族館前の磯の観察に夢中になってしまって、
閉館時間になってしまうという・・・。

131_

宿泊先の秋田市に戻りつつ、
八郎潟の調整池に立ち寄りました。
今でも十分広い湖ですが、
昔はもっと広大だったと思うと不思議な感じです。

さて、これで男鹿半島サンプリングは終了です。
後々、ヨコエビなどの顕微鏡写真を載せていきます。

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