フォト
無料ブログはココログ

« 昔話:Shionodiscus biporusと博士論文 | トップページ | このヨコエビの種名を教えてください! »

2018年8月25日 (土)

石灰質ナノ化石(石灰質ナンノ化石)の偏光顕微鏡写真

1im180602___calcidiscus_17


この画像、なんでしょう?
実は生物の化石です。
円石藻類という単細胞藻類の化石なのですが、
これが細胞本体なのではなく、
細胞を取り囲むように形成される鱗片の化石です。
石灰質(炭酸カルシウム)でできているので、
石灰質ナノ化石(石灰質ナンノ化石)と呼ばれます。
コッコリスまたはココリス(coccolith)とも呼ばれます。

さて、右側の写真は普通の光学顕微鏡写真に見えますが、
(それにしては対象物が小さいので分解能的にギリギリの画像ですが)
左側は背景は暗いし、換気扇みたいな感じに見えるし変ですよね?
実はこれは、同じ石灰質ナノ化石を偏光顕微鏡で見た写真です。
石灰質ナノ化石のように
放射状に結晶が配列した物体を偏光顕微鏡で観察すると
十字型に暗い部分が現れます。
石灰質ナノ化石だけでなく、
放射状の構造を持つ鉱物(球晶)もこんな風に見えます。

ねこのしっぽラボは本格的な偏光顕微鏡を持っていないのですが、
東急ハンズで数百円で買った偏光フィルムを
コンデンサーの上と、対物レンズの上に載せたら、
1000倍でも偏光画像が見えました。
なんと安上がりな!!

さて、画像の種はCalcidiscus sp.と思われます。
円石藻の化石を用いた年代決定には種レベルの同定が必要ですが、
今回は分解能が不足しているので属レベルの同定にとどめておきます。
採取地は千葉県勝浦市、6.4-3.5Ma(Maは百万年前の意味です)の年代の試料から見つけました。
年代は珪藻層序から求めています。

2im180623__calcidiscus_23

上の写真もCalcidiscus sp.と思われます。
ただし最初の写真の種とは別種です。
こちらの種は左側の偏光顕微鏡(クロスニコル)が暗く見えます。
採取地は千葉県旭市、2.4-2.2Ma(Maは百万年前の意味です)の年代の試料から見つけました。

3im180623__calcidiscus_25__2

こちらもCalcidiscus sp.と思われます。
生物顕微鏡の画像(実際には上側の偏光板が入っている状態です)で
放射状、または渦巻き状の構造が見えます。
この構造は炭酸カルシウムの結晶が規則的に配列して出来ているのですが、
もっとよく観察するには電子顕微鏡が必要ですね。
採取地は千葉県旭市、2.4-2.2Ma(Maは百万年前の意味です)の年代の試料から見つけました。
もしかしたら2番目の種と同種かもしれないです。

4im180526__reticulofenestra_4_

この種はReticulofenestra sp.と思われます。
ただ、私の知識は20年前のものなので同定が怪しいかも、です。
偏光顕微鏡の画像は扇風機とか換気扇に似ています。
もっとも分かりやすいナノ化石です。
Calcidiscusと違ってココリスの輪郭が楕円形です。
採取地は神奈川県横須賀市、6.4-3.5Ma(Maは百万年前の意味です)の年代の試料から見つけました。

51im180623__reticulofenestra_21_

ココリスは細胞を取り囲むように形成される鱗片の化石と書きましたが、
希に生きている状態のままで化石になることもあります。
上の写真を見ると、ココリスが球形の殻条に配列していることがわかります。
これが本来の円石藻類の形態です。
おそらくReticulofenestra sp.です。
採取地は千葉県旭市、2.4-2.2Ma(Maは百万年前の意味です)の年代の試料から見つけました。
下記のページに生きている状態の円石藻類の写真があるので参考にしてください。

http://plankton.image.coocan.jp/algae4-3.htm

52im180623__reticulofenestra_21_


こちらは偏光顕微鏡で見た画像です。
色彩は派手ですが、ちょっと分かりにくいですね。

6im180623__coccolithus_30_

こちらはCoccolithus sp.です。
Coccolithus pelagicusかもしれません。
ココリスとしては大型なので構造がわかりやすいです。
私見ですが、10μm以上の大きさのココリスは大型と言っていいと思います。
外側に放射状の構造があって、内側に不規則な構造があります。
採取地は千葉県旭市、2.4-2.2Ma(Maは百万年前の意味です)の年代の試料から見つけました。

7im180616__coccolithus_2

こちらもCoccolithus sp.です。
Coccolithus pelagicusかもしれません。
中央部に細長い穴があります。
採取地は千葉県南房総市、6.4-3.5Ma(Maは百万年前の意味です)の年代の試料から見つけました。

8im180616__helicosphaera_18_

こちらは巻き貝のような変な形をしていますが、
こんな形のココリスもあります。
Helicosphaera sp.です。
ナノ化石を見慣れた人でないと見逃してしまうかもしれません。
採取地は神奈川県三浦市、中期中新世~後期中新世の年代の試料から見つけました。

9im180526__spenolithus_21

こちらも非常に分かりにくいナノ化石です。
というよりも小さいです。
生物顕微鏡ではゴミにしか見えませんが、
偏光顕微鏡で見ると特徴的な形状が見えるのでナノ化石とわかります。
Spenolithus sp.です。
採取地は神奈川県横須賀市、6.4-3.5Ma(Maは百万年前の意味です)の年代の試料から見つけました。

10im180616__discoaster_5_

こんな形の石灰質ナノ化石もあります。
Discoaster sp.です。
絶滅したグループであり、
しかも細胞の形を保存した化石が見つかっていないので
円石藻であるかも怪しいと聞いたことがあります。
ただ、地質年代ごとに形状が変化していくので示準化石としては有用だそうです。
第三紀の示準化石です。
採取地は千葉県南房総市、6.4-3.5Ma(Maは百万年前の意味です)の年代の試料から見つけました。

11im180616__discoaster_20

こちらもDiscoaster sp.です。
雪の結晶みたいですね。
採取地は神奈川県三浦市、中期中新世~後期中新世の年代の試料から見つけました。

ナノ化石は専門家でないと種レベルの同定が難しいですが、
写真を撮るだけならなんとかなるので、
徐々にデータを蓄えたいと思います。

« 昔話:Shionodiscus biporusと博士論文 | トップページ | このヨコエビの種名を教えてください! »

微化石」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/604078/67092363

この記事へのトラックバック一覧です: 石灰質ナノ化石(石灰質ナンノ化石)の偏光顕微鏡写真:

« 昔話:Shionodiscus biporusと博士論文 | トップページ | このヨコエビの種名を教えてください! »