« 2018年6月 | トップページ | 2018年8月 »

2018年7月

2018年7月17日 (火)

トゲダニ亜目 ホコダニ科 ヘラゲホコダニ属(Holaspulus属) 茨城県2018年1月

少し前のデータになりますが正月に採取したトゲダニの同定記録です。


_01
_02

3月に書いたホコダニ属(Holaspina属) に似ていますが、
ホコダニ属よりも背毛が太いように見えます。
少し拡大しましょう。

_03
_04

背中には背板と呼ばれる硬い殻があります。
背板の最前方にある毛がj1で、
その斜め下にある毛がz1です。

ホコダニ科にはz1を欠くものがいるので、
最初の同定に役に立ちます。
カマゲホコダニ属(Gamasholaspis属)、ホコダニモドキ属(Euparholaspulus属)、
はz1を欠くとされています(日本産土壌動物)。

ヘラゲホコダニ属(Holaspulus属)、コシビロホコダニ属(Naparholaspis属)、
ダルマホコダニ属(Proparholaspulus属)、ホコダニ属(Holaspina属)、
ヤリゲホコダニ属(Parholaspis属)
はj1とz1を持ちます。
写真の種はz1がないので、カマゲホコダニ属か、ホコダニモドキ属ということになります。

ただ、注意したいのが日本ダニ類図鑑や日本産土壌動物のイラストを見てみると
ヘラゲホコダニのz1は非常に短いようです。
なので、今回の種がヘラゲホコダニ属であった場合、
z1の存在に気がついていない可能性があります。

次に腹面から観察した画像です。

_05
_06
_07

腹肛板が生殖版と周気管板と融合しています。
この特徴はヘラゲホコダニ属またはコシビロホコダニ属に似ています。
ヘラゲホコダニ属とコシビロホコダニ属は鋏角固定背毛の形状が異なります。
ですので、次は鋏角の観察です。

_08
_09

固定指背毛は毛束の反対側にあります。
毛束があるほうのハサミが動指、反対側が固定指です。
この倍率では観察が難しいので、もう少し拡大してみます。

_10


固定指背毛はやや曲がっていますが単純な形であることが分かります。
コシビロホコダニ属の固定背毛は楔型で変わった形なので、
コシビロホコダニ属の可能性は無さそうです。

_11
_12


念のために他の個体の鋏角も観察してみます。
こちらのほうが固定指背毛が観察しやすいです。
矢印の先の固定脂背毛は少し曲がった単純毛です。
ここまで来れば、この種はヘラゲホコダニ属と考えて良いでしょう・・・ふう。

_13


こちらは何の部分か分かりにくいですが顎体突起です。
ホコダニのなかまは顎体突起にも特徴が出るのですが、
ヘラゲホコダニ属はあまり特徴がありません。
ギザギザしていて、中央に長い突起がないことが特徴です。

_14

こちらは気門です。
周気管の後端部はまっすぐで湾曲しません。
ハエダニ科は周気管の後端部が湾曲しているので、
この部分を見ればハエダニ科とホコダニ科を識別できます。

_15

後胸板です。
ここも見ておいたほうが良い部分です。

_16


最後に背毛の拡大画像です。
確かにヘラのような形です。
ヘラ毛ホコダニですね。

2018年7月 9日 (月)

カニとガタガール ~OLYMPUS Tough TG-5テスト撮影レポート~

少し間が開いてしまいましたが、
この間にパソコンが壊れていました。
いつものようにデータ整理中に突然ブラックアウトしてフシュ~と落ちてしまいました。
2年しかたってないのに。
ノートパソコンだと、この場合マザーボードごと交換の必要があるようで、
修理代金もそこそこすることから買い換えを決断しました。

こんどのPCはちゃんと保険に入っておこう。。

ちなみに顕微鏡のデータは普段から外付けハードディスクに入れて
作業しているので全て無事でした。

さて、ノートパソコンを買ったついでに
前々から購入検討していたコンパクトデジタルカメラを買いました。

というのも、2cmより大きい生物を撮影するときは
これまでは実体顕微鏡で複数視野撮影し、
つなぎ合わせるという面倒な作業を行っていたのです。

なので、マクロ撮影が得意なコンパクトデジタルカメラがほしかったのです。
一眼レフカメラを使うほどのスキルもないので、
ネットの評判を元に購入したのが OLYMPUS Tough TG-5 です。

さっそく、ゴールデンウィークに三番瀬で採取したヤマトオサガニ(Macrophthalmus japonicus)のアルコール標本でテスト撮影しました。

11__01

期待通りの画像です。
これなら画像データベース用に使えます。

12__02

これは今まで使用していたFUJIFILM FinePix A800の画像です。
スタンドを使用したこともあって、手ぶれなく撮影できていて、
焦点深度も問題ないのですが解像度が劣ります。
ちょっとザラッとした感じもします。
これだと実体顕微鏡のつなぎ写真の代替には厳しいですね。

13__03

こちらはTG-5をスタンドに取り付けて撮影している状態です。
マクロ撮影は手ぶれが大敵ですのでスタンドや三脚はあったほうがよいですね。

14__

こちらは室内照明だけで撮影した画像です。
TG-5には深度合成モードが付いているので、これを利用しています。

15__

深度合成モードをしないで撮影するとこんな感じです。
焦点深度が意外に浅いですね。
深度合成モードは必須の機能だとわかりました。

21__

こちらは3月に伊豆大島で採取したヒライソガニ(Gaetice depressus )です。
この大きさのものが1度の作業で撮影できるのは嬉しい。
深度合成モードも上手く機能しています。

22__

こちらは深度合成モードを使用しないで撮影した画像。
簡単に深度合成できる機能があって良かったです。

31__

こちらは三番瀬で採取したコメツキガニ(Scopimera globosa)です。
この大きさになると実体顕微鏡でも一回で撮影可能ですが、
焦点深度のことを考えると、どちらも撮っておいたほうが良さそうです。
照明の当て方に改善の余地がありますが立体的に撮れていると思います。

41_

カニにくっついて来てしまったヨコエビも撮影してみました。
顕微鏡を使わずにヨコエビの写真が撮れるとは驚きですね。
カメラをヨコエビに近づけるなどすれば、もっと綺麗な写真になるとは思いますが、
ヨコエビの写真は実体顕微鏡で撮影するので、これはこれでOKです。

51_

次に乾き物のテスト撮影を行ってみます。
サンプルはガタガール1巻です。

52_

表紙はこんな感じで綺麗に撮れます。
汐ちゃんの持っているヤマトオサガニのハサミに接写してみます。

53_

こんな感じで印刷のドットもはっきりわかります。
周辺に収差があるようですが、トリミングして中央部分だけを使えば問題ないでしょう。

ちなみに「ガタガール sp.~阿比留中生物部活動レポート~」第1巻は7月9日発売です。
発注済みなので明日には届くかな。

61_

こちらはOLYMPUS Tough TG-5で撮影したNikon ECLIPSE E55iです。
この顕微鏡は購入してから15年くらいですが、まだまだ現役ですね。

62_

こちらが実体顕微鏡 Nikon SMZ745T です。
ステージに乗っているのは暗視野照明装置です。
さきほどのガタガール表紙のヤマトオサガニのハサミの画像は、
暗視野照明装置を使用しています。

さて、良いカメラが手に入ったので大きなカニの写真も撮っていきましょう。
フィールドでの生態写真も撮れるかな?

« 2018年6月 | トップページ | 2018年8月 »