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2018年3月12日 (月)

ハマトビムシ科:オカトビムシ(Platorchestia humicola)雄の解剖

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今年の正月に茨城県で採取したオカトビムシ(Platorchestia humicola)です。
オカトビムシはヨコエビのなかまですが、
森林の落ち葉の下などに生息しています。

ヨコエビは普通、水中で一生を過ごしますが、
オカトビムシを含むハマトビムシ科(Talitridae)は海岸や、
土壌など、陸域に生息します。
砂浜に打ち上げられた海藻を持ち上げると、
ピョンピョンと跳びはねる虫がいますが、
あの虫がハマトビムシ科のヨコエビです。

土壌に生息するハマトビムシは、
オカトビムシの他にも幾つかいるので
詳細な分類のために解剖を行いました。
分類には“日本産土壌動物 分類のための図解検索 【第2版】 青木淳一編著”
を使用しました。

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こちらは頭部の拡大画像です。
ハマトビムシ科の特徴は第1触角が短いことです。
昆虫もそうですが、陸域で生息するには
2対の触角は邪魔なのかもしれません。
オカトビムシは大きな眼を持っていますが、
洞窟に住むハマトビムシ科(イワヤトビムシ属)は
眼を失っています。
また、キタオカトビムシ属(Orchestia属)、
ヒゲナガハマトビムシ属(Trinorchestia属)、
オオハマトビムシ属(Traskorchestia属)の同定には、
第2触角の柄部に対して、
第1触角がどのくらいの長さがあるかも見ておく必要があります。

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いきなりショッキングな画像ですが、
矢印の部分の顎(喉)の輪郭も見ておく必要があります。
普通、顎(喉)の輪郭は底節板に隠れているので、
よく観察するには頭を分離する必要があります。
ホソハマトビムシ属(Paciforchestia属)は矢印の部分が、
緩く突出するそうです。

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こちらは第1触角です。
柄部は3節、鞭部は4節ですね。

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こちらは第2触角です。
第2触角は長いです。
スナハマトビムシ属(Talorchestiaでは
第2触覚柄部の第3節に突起があります。

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こちらは口器の一部の顎脚です。
あまり分類には使いませんが、一応写真を撮っておきました。

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口器の一部の下唇です。

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たぶん第1小顎です。

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こちらが第2小顎だと思います。

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大顎です。

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こんどは胸脚です。
まず第1胸脚です。
第1胸脚にはこぶ状の突起があります。
第1胸脚の構造は雄と雌で異なります。
写真の個体は雄です。
雌にはこぶ状の突起がありません。

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第1胸脚の拡大画像です。

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第2胸脚(咬脚)です。
雄の第2咬脚は大きいです。
雌は形が異なります。
オカトビムシを含むヒメハマトビムシ属(Platorchestia属)は
第2咬脚の掌部(鎌の部分が合わさる部分)の構造が大事です。
ヒメハマトビムシ(Platorchestia platensisには2個の突出があり、
ニホンヒメハマトビムシ(Platorchestia pachypusは緩く波打ちます。

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第2咬脚第7節の拡大画像です。
第2咬脚の先端部分が細くなっています。
これはオカトビムシ(Platorchestia humicola)の特徴です。

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第3脚です。
分類にはあまり関わりが無いですが、
一応写真を撮っておきました。

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第4脚です。
ヨコエビは第3脚と第4脚が似ていることが普通です。

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第5脚です。
ヨコエビの種類によっては第5脚の形状観察も大事です。

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第6脚です。
ハマトビムシ科(Talitridae)は第6脚の観察が重要になります。
とはいっても、脚の本体ではなく、
第6脚の基節と鰓の形状観察が大事になります。

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こちらが第6脚の基節です。
矢印の部分の形状を観察します。
ヒメハマトビムシ属(Platorchestia属)は
この部分が“直角、または突起がある”そうです。
写真のオカトビムシの形状は直角に相当するようです。
ハマトビムシ科のほかの分類群は
この部分が滑らかに湾曲します。

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こちらは鰓です。
ホソハマトビムシ属、ヒメトビムシ属、ヤエヤマオカトビムシ属、
ミズホトビムシ属は、第6脚の鰓が分類に重要です。

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第3腹肢です。
第1,第2腹肢は同じ形状なので省略しました。
オカトビムシ(Platorchestia humicola)は
内枝・外枝の長さが柄部の70%以下、
ニホンオカトビムシ(Platorchestia japonica)は
内枝・外枝の長さが柄部とほぼ同長です。
この写真の場合、内枝・外枝の長さが柄部の70%以下なので、
オカトビムシ(Platorchestia humicola)で間違いないです。

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こんどは尾部の構造です。
まず、第1尾肢です。
オカトビムシ(Platorchestia humicola)など、
ヒメハマトビムシ属(Platorchestia属)の多くは
第1尾肢の外枝に棘が無いですが、
ミナミオカトビムシだけは外枝に棘を持ちます。
また、幾つかの属では側端棘が他の棘よりも長いか、
あるいは短いか、同じ長さかが重要なポイントになります。
側端棘の形状も大事です。
ツメオカトビムシ属(Talitroides topitotum)では
側端棘がS字型になります。

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第2尾肢です。
あまり重要ではないですが一応写真を撮っておきました。

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第3尾肢です。
多くのヨコエビの分類で重要なパーツになります。
ハマトビムシ科でも、
オオハマトビムシ(Traskorchestia ochotensis)で
第3尾肢柄節の下縁に棘が無いことに対し、
ホッカイハマトビムシ(Traskorchestia ditmari)には
第3尾肢柄節の下縁には棘があるなど、重要なパーツです。
オカトビムシ(Platorchestia humicola)の場合は、
第3尾肢柄節の下縁に棘が無いようです。

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尾節板です。
多くのヨコエビの分類で重要なパーツになりますが、
ハマトビムシ科ではそれほど重要ではないようです。

以上、オカトビムシ(Platorchestia humicola)の解剖でした。
ヨコエビの分類は面白いけど大変ですね。

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