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2017年11月 6日 (月)

ボルボックス(Volvox sp.)の雑学

甲殻類と土壌生物の画像集の更新が終わったので、
最近は藻類のデータ整理を始めました。
去年から今年にかけて撮影した画像です。

 

久しぶりのボルボックス(Volvox sp.)の画像です。


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石田精華園さんで購入した田土から発生しました。
ということは乾いた土の中でもボルボックスは休眠できるのですね。
この土からは他にもシャジクモや、ホウネンエビカイエビが発生しました。

 

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ボルボックスの特徴は緑色の小さな点が集合していることですが、
この点は何なのでしょうか?
拡大してみましょう。

 

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はい、このとおり、緑色の点は個々の細胞です。
日本淡水プランクトン図鑑によれば、
ボルボックスの細胞数は500~20,000だそうです。

 

ボルボックスはこれらの細胞が群体を作っています。
正確には“定数群体”と呼ばれるもので、
生殖細胞が決まった回数だけ分裂して細胞を増やし、群体を作っています。
個々の細胞が適当に分裂して細胞数を増やすのではないところが特徴です。

 

“定数群体”の藻類は、細胞数が2の倍数であることが特徴です。
群体を形成する細胞が同じ回数だけ分裂するので、
細胞数が2の倍数になります。
例えば、クンショウモの細胞数は4, 8,16,32,64であることが多いです。
それぞれ2回分裂、3回分裂、4回分裂、5回分裂、6回分裂でできた群体です。

 

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左は細胞間隔が狭く、右は広くなっています。
細胞の間には橋のような構造がありますが、
右の群体ではこの橋のような構造が長く伸びています。

 

細胞の距離を広げれば群体を大きくできます。
後述するように、ボルボックスは親群体の内部に娘群体を入れているので、
娘群体を複数入れておくには大きな容積が必要です。

 

個々の細胞には他の藻類と同じく葉緑体やピレノイドがあります。


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上の写真は少しずつフォーカスを変えて撮影した画像です。
細胞の中にあるリング状の物体がピレノイドです。
右下の画像でよく見えています。
ピレノイドは藻類の細胞に特徴的な構造です。
二酸化炭素の濃度を高めて、炭素固定を効率的に行うなどの機能があるそうです。

 

ボルボックスの細胞には眼点もあります。

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左右の写真は同じ場所を撮影した画像ですが、
フォーカス位置が異なります。
左の写真のようにフォーカス位置を変えると眼点が見えてきます。
赤~オレンジ色の粒状の構造が眼点です。
ボルボックスは個々の細胞で光を感じています。

 

細胞と細胞の間には寒天質があります。
寒天質は透明ですが、よく観察すると多角形の構造があります。

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この写真はコントラストを高くしたもので、
左の写真をよく見ると細胞の周りに多角形の構造があります。
右の写真は多角形の構造をピンク色の線で上書きしたものです。
日本淡水プランクトン図鑑のVolvox globatorのイラストでは
多角形のイラストが繊細に記載されていて、
“表面から見ると多角形の集まりに見える”との記述もあります。
位相差顕微鏡を用いれば、もっとよく見えるのかもしれません。

 

次にボルボックスを横(断面)から見てみましょう。

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寒天質の皮膜の内側に沿って細胞が並んでいることが分かります。
ボルボックスの細胞は表面に1層あるだけで、
球体の内部には細胞はありません。
(娘細胞の群体はあります。)

 

倍率的にちょっと厳しいですが、
写真をトリミングして個々の細胞を拡大してみました。

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寒天質の表面に近い側に眼点、反対側にピレノイドがあります。
ボルボックスの細胞は、5μm~10μmくらいです。

 

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この写真のボルボックスの中には、やや大きな球状構造が入っています。
これは娘群体(子供の群体)です。

 

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娘群体を拡大した画像です。
群体表面には隙間無く細胞が敷き詰められています。
親群体に見られるような細胞を繋ぐ橋のような構造はありません。

 

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こちらは、もっと小さな娘群体です。
細胞数が少ないです。
群体全体が薄い膜のような構造に包まれています。
これは生殖細胞の細胞膜と思われます。
他の定数群体の藻類でも、例えばイカダモなどでも
親細胞の中で細胞分裂が進みます。

 

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こちらも初期の娘群体を撮影した画像です。
この段階では細胞数を増やすことで群体の大きさが大きくなっていきます。

 

ところで、多くの定数群体の藻類(クンショウモイカダモパンドリナ)は
全ての親細胞の内部で娘群体が作られますが、
ボルボックスでは特定の生殖細胞の中で群体がつくられます。

 

体細胞と生殖細胞を区別することは多細胞化の第一歩かもしれません。
より進化した段階になると、生殖細胞を支援する細胞群が現れます。
次回は、そのような段階のシャジクモを紹介したいと思います。

 

ボルボックスの他の画像は、
ねこのしっぽ内の“ボルボックスの画像集”もご覧ください。

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