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2017年8月

2017年8月27日 (日)

万石浦と牡鹿半島のヨコエビ

宮城県牡鹿半島と万石浦周辺サンプリングの続きです。
今回はヨコエビの採取報告です。

01

こちらはケナガブラブラソコエビ(Aoroides longimerus)です。
解剖して第1咬脚、第2咬脚、第3尾肢の形状から確認しました。
牡鹿半島で2匹採取できました。

Photo

ハマトビムシ科です。
海岸から2km内陸の道路沿いの土壌から採取しました。
体長1cm程度です。
日本産土壌動物のマトリックス検索によれば、
オオハマトビムシ(Traskorchestia ochotensis)に近いのですが、
分布域や大きさなどに、かなり疑問が残ります。
ただ、1点、マトリックス検索の分岐を変えるとオカトビムシ
Platorchesita humicola)になります。
こちらのほうが安心感があります(^_^)

その分岐ポイントなのですが、
下の写真をご覧ください。

1

これは第6脚 基節板の写真なのですが、
わかりやすいように基節板だけを外したものが
さらに下の写真になります。

2

矢印の部分を“直角または突起がある”と解釈すると、
オカトビムシに流れて、“滑らかに湾曲する”と判断すると、
最終的にオオハマトビムシに流れます。

そこで、今度は絵合わせで確認するのですが、
日本産土壌動物のハマトビムシの図は詳細なので分かりやすいです。
日本産土壌動物のオカトビムシ(Platorchesita humicola)の
全体図から、第6脚 基節板に着目してみると、
上の写真に似ています。
今回採取したハマトビムシはオカトビムシ(Platorchesita humicola)と
同定して良さそうです。
ただ、日本産土壌動物の記載よりも若干大きいのが気になります。

一方の、オオハマトビムシ(Traskorchestia ochotensis)の図とも
比較してみると第6脚 基節板の形状が違います。

Photo_2

こちらはヒゲナガヨコエビです。
ヒゲナガヨコエビ属(Ampithoe sp.)で良いと思います。

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こちらは万石浦の干潟で採取したメリタヨコエビです。
メリタヨコエビは小川 洋氏の“東京湾のヨコエビガイドブック”が詳しいです。

解剖してみたところ、第1触覚の副鞭は3節、第3腹側板は角張っていて、
第1咬脚は前節の上縁と下縁が突出していて、
第2尾節の背面に6本の棘があり、そして何より、
第2触覚鞭部に剛毛が多いので
ヒゲツノメリタヨコエビ(Melita setiflagella)でよさそうです。

02

こちらも万石浦の干潟で採取したメリタヨコエビです。

第1触覚の副鞭は1節で痕跡的、第3腹側板は丸みを帯びていて
小さな歯状突起が並び、第2尾節の背面に4本の棘があります。
“東京湾のヨコエビガイドブック”と第3腹側板の形状に違いがあるのですが、
シミズメリタヨコエビ(Melita shimizui)に近いです。
シミズメリタヨコエビ?(Melita cf. shimizui)としておきます。

03

こちらも万石浦の干潟で採取したメリタヨコエビです。
雌の個体した見つからなかったので詳細な同定ができないのですが、
第3尾肢の外枝が2節なのでヤシャヒメヨコエビ属(Abludomelita sp.)
としておきます。

キタヨコエビ科のようです。

トゲオヨコエビ属(Eogammarus sp.)に似ていますが調査中です。

Photo_3

こちらは牡鹿半島で採取した所属不明のヨコエビです。
一見、モクズヨコエビ科に似ているのですが、
第3尾肢が完全に双葉で、尾節板に切れ込みが無く、
カマボコ型をしてるところなどが異なります。

そのうち詳細な解剖結果をブログに載せたいと思います。

2017年8月21日 (月)

宮城県(万石浦、牡鹿半島)の微小甲殻類2017年8月

宮城県の牡鹿半島と万石浦周辺にサンプリングに行ってきました。
万石浦には干潟が発達していたそうですが、
東日本震災後は地盤沈下で干潟が水没してしまったそうです。
現在の干潟の微小甲殻類がどうなっているのか気になったので調べてみました。
また、牡鹿半島の海岸生物も調べました。

Dscf3566

万石浦に流入する小河川の河口に生じた三角州です。
前日が大雨だったので流量が増えている可能性があります。
写真は干潮時で、小さな干潟が現れています。

行ってみると小さなカニがたくさんいました。
カニは顕微鏡で観察するには大きすぎるので、
普段は採取しないのですが、
この場所で最も目立つ生き物を調べないのもどうなのか、
と思ったので数匹採取して調べてみました。

01

ハサミに毛の房があるので、どうやらモクズガニ科の幼体のようです。

02

こちらもモクズガニ科の幼体と思われます。
甲羅の模様が違っているのですが、同種かもしれないですね。
この種類が優占種になっていました。

Photo

こちらはコブシガニ科と思われます。
マメコブシガニに似ていますが、甲羅の輪郭が少し異なります。
幼体だからかもしれません。

今回のサンプリングではカニの他にも、多くの甲殻類を採取できました。

今回採取したヨコエビのリストを紹介します。

メリタヨコエビ属(Melita)2種、ヤシャヒメヨコエビ属(雌)(Abludomelita)、
ヒゲナガヨコエビ属(Ampithoe)2種、ケナガブラブラソコエビ(Aoroides longimerus)、
ドロソコエビ属(雌)(Grandidierella sp.)、カマキリヨコエビ属(雌)(Jassa)、
トゲホホヨコエビ(Paradexamine barnardi)、タテソコエビ科、アゴナガヨコエビ科、
フサゲモクズ(Hyale barbicornis)、所属不明種1種、ハマトビムシ科(土壌性)
大雨でなければもう少し頑張れたのですが、
こればかりは仕方がないですね。
写真は次回の更新で紹介します。

その他、ユビナガホンヤドカリ、ワレカラ、イソコツブムシ(Gnorimosphaeroma rayi)、
シリケンウミセミ(Dynoides dentisinus)、スナホリムシ科、
ヘラムシ2種、メガロパ、ゾエア、テッポウエビ科、スジエビモドキ、フジツボ
などを採取しました。

カニとスジエビモドキが1cmを超えるくらいで、
他は数mmの小さな甲殻類です。

さて、今回撮影した最大の甲殻類はこれです。

Dscf3544

どうやらイシガニ(Charybdis japonica)のようです。

Dscf3551

マジックペンに攻撃しています。
普段、顕微鏡サイズのものしか見ていないので恐ろしく大きく見えます。

Dscf3541

写真を撮ろうとすると威嚇してくるので、
なかなか普通の写真が撮れません。

Dscf3539

背後に回っても仰け反って攻撃してきます。

イシガニはワタリガニやガザミの仲間で、美味しいカニらしいのですが、
食べるには小さいし、顕微鏡で撮影するのは大きいし、
大雨が降っていてそれどころでは無かったので、
早々に海にお帰り頂きました。
海に帰ってからも威嚇していました。

そういえば、今回出会った最大の生物は鹿でした。
夜間のネットサンプリングの時に遭遇しました。
イノシシでなくてよかったです。

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