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2017年3月20日 (月)

ホコダニ科(Parholaspididae) カマゲホコダニ属? 2017年3月焼津市

前回のブログで3月始めに静岡市~焼津の駿河湾で
海岸生物の採取を行ったことを書きましたが、
その時に土壌サンプルも採取していました。

採取地点は焼津市で、枯れ葉の下の腐葉土を採取しました。
ワラジムシやダンゴムシがいたので、
まあダニもいるかな、と思っていたのですが大漁でした。

今のところ、写真を撮っただけで分類していないのですが、
ササラダニの多様性が大きいようです。
トゲダニも1種類とれたので解剖を行いました。

今回はトゲダニの分類の報告です。
日本産土壌動物 分類のための図解検索に従って記載してみました。
長文です。
食事中の方は見ない方が良い写真があります。
もっとも、このブログと本体の“ねこのしっぽ 小さな生物の観察記録”を
食事中に見る方はあまりいないのでは無いかと思いますが・・・。

20170320_1
表側から見た全体像の写真です。
これだけで種類を調べるのは難しいですが、
背面の毛のパターンが分類の決め手になる場合もあるので、
毛が見えるような拡大画像も必要です。

20170320_2
背板前端の画像です。
j1というのは背板中央列の毛の再先端につけられた名前
(背板剛毛式)で、内側からj列、z列、s列、r列となっています。
つまりj1はj列の再前方ですね。
ポイントとしては再前方の毛はj1のみで、z1がないことです。
これが後で重要な情報になります。

20170320_3
裏側の写真です。
トゲダニの裏側を見ると、ところどころ色の濃い部分がありますが、
この部分を肥厚板と呼びます。
この肥厚板のパターンも重要な情報です。

20170320_4
肥厚板に焦点を合わせた画像です。
後から、腹肛板、生殖板、胸板を確認できます。
生殖板と胸板の間に点状の後胸板がありますが、
この倍率では分かりにくいです。

トゲダニの種類によって腹肛板、生殖板、胸板の形状は様々ですが、
今回のトゲダニの肥厚板のパターンは“ホコダニ型”です。
この時点でホコダニ科を意識することになります。

胸板の毛が何対あるかも重要なようです。
この個体は胸板に2対の毛を持つので、
毛が4対のヨコスジムシダニ科、コシボソダニ科、
ツブトゲダニ科が除外されます。

20170320_5
鋏角を観察するために、口器周辺を取り外したようすです。
あまり意識しないで撮影したのですが、
小角がよく見えるような向きで撮影した方が良かったです。

20170320_6
鋏角の拡大画像です。
鋏角は動く“可動指”と動かない“固定指”でできていますが、
可動指の付け根に毛束と呼ばれる構造があります。
毛束は羽毛状で、この時点でホコダニ科とハエダニ科に絞られます。

また、可動指に樹枝状突起があるかどうかも重要です。
この個体には樹枝状突起はありません。

20170320_7
毛束の拡大画像です。
1000倍で撮影した画像です。
ダニの撮影は40倍~1000倍まで幅広い倍率が必要なので大変です。

20170320_8
鋏角可動指です。
複雑な突起(歯)を持ちますが、
これも分類に重要な情報かもしれません。

20170320_9
20170320_10
こちらは鋏角固定指です。
突起(歯)の形が可動指とは異なりますね。

20170320_11
いきなりグロイ画像で申し訳ありませんが、
胴体部分の観察も続けなければなりません。
これは鋏角を取り外した後の胴体部分ですが、
透過光で観察すると、気門と周気管を観察できます。
周気管の形態も分類に重要です。

20170320_12
周気管と気門の拡大画像です。
周気管は気門周辺で湾曲せず真っ直ぐに伸びているので
ハエダニ科も除外できます。
残ったのはホコダニ科(Parholaspididae)です。

20170320_13
さらに周気管と気門を拡大した画像です。
これで1000倍です。

20170320_14
反対側の周気管と気門を撮影しました。
周気管内に空気が残留しているためにコントラストが高くなっています。

20170320_15
少しフォーカスを奥に持って行くと、
複雑に入り組んだ気管を観察できます。

さて次にホコダニ科内の詳細な分類に入ります。
まず、役立つのが先に観察した背板前端の画像です。

20170320_2_2
背板毛z1がなく、j1だけなので
カマゲホコダニ属か、ホコダニモドキ属に絞られます。

20170320_16
こちらは生殖板を中心に拡大した画像です。
画像左端は胸板、右端は腹肛板です。
矢印の先に小さな後胸板を確認できます。
ホコダニモドキ属には後胸板がないので、
カマゲホコダニ属(Gamasholaspis sp.)としてよいかもしれません。

ただし背板毛の数など、今回記載しなかった重要な情報が他にもあるので、
ここではホコダニ科(Parholaspididae)、カマゲホコダニ属?
(cf. Gamasholaspis sp.)としておきます。
なにしろ超初心者なので属レベルの同定は怖いです。

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