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2016年12月

2016年12月26日 (月)

ウミクワガタのプラニザ幼生(Praniza)

今週はこんな生物です。

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ウミクワガタのプラニザ幼生(Praniza)と思われます。
ただ、資料が少なく詳細な分類はわかりません。
ウミクワガタは等脚類の一種でダンゴムシに近い仲間です。
その名の通り、雄の成体はクワガタのような
立派な大顎を持ちます。
雌は雄とは異なり、大顎は小さく、
胸部が大きく膨らんでいます。
雄と雌、それにプラニザ幼生は
形が全く異なるので分類が難しいようです。

ネット(Wikipedia)の情報によれば、
ウミクワガタのプラニザ幼生は魚類の体液を吸うようです。
そうであれば胸部内が赤色(血液の色)なのは理解できるのですが、
たまに緑色の個体もいるので、やや謎です。
吸血前なのでしょうか?

いつか立派な大顎をもつ成体のウミクワガタを
観察したいですね。

*写真のスケールは200μmです。

2016年12月18日 (日)

最近見つけたカイアシ類

今回は最近採取したカイアシ類のまとめです。
カイアシ類は淡水産のケンミジンコを含む仲間で、
淡水よりも海にたくさんいます。
非常に素早く泳ぐものから、
海藻などに付着しているもの、
寄生性のものなど、たくさんの種類がいます。

まずは、こちら。
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三浦半島先端の城ヶ島で夜に
プランクトンネットで採取しました。
ポエキロストム目(Poecilostomatoida)
サフィリナ科(Sapphirinidae)、
コピリア属(Copilia)の1種です。

スケールは500μmです。


このなかまは雄、雌で体の形がかなり違います。
写真の個体は雌で、雄はダンゴムシのような形です。
体が透明なので探しにくいですが、
内蔵が透けて見えたり、
2個の透明な眼があったりするので、
カイアシ好きには人気があるようです。
海洋プランクトン検索図説で同定しました。

つぎは海洋の代表的なカイアシの
カラヌス目(Calanoida)から。
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スケールは500μmです。
カラヌス目(Calanoida)、
ポンテラ科(Pontellidae)の1種と思われます。
1対のレンズ眼を背面に持っています。
眼の外側には頭側鉤と呼ばれる突起があります。
カラヌス目は非常に多様性に富んでいて、
科レベルの同定も容易ではないのですが、
ポンテラ科(Pontellidae)は2個のレンズ眼という、
わかりやすい特徴を持っているので同定しやすいです。
ちなみに普通のカラヌスの眼は1個です。
このポンテラも三浦半島先端の城ヶ島で夜に
プランクトンネットで採取しました。
こちらも海洋プランクトン検索図説で同定しました。

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スケールは500μmです。
こちらもポンテラ科(Pontellidae)の1種と思われます。
北海道紋別市で夜にプランクトンネットで採取しました。

こんどはカラヌスに似ているけど、
ケンミジンコに近いという仲間です。
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スケールは500μmです。
カラヌスはカラヌス目(Calanoida)ですが、
ケンミジンコはキクロプス目(Cyclopoida)に属します。
写真のカイアシは、
キクロプス目(Cyclopoida)
オイトナ科(Oithonidae)に属しているので、
目レベルでの親戚です。
オイトナは羽毛のような棘を持っているので、
こちらもカイアシ好きに人気があります。
このオイトナも三浦半島先端の城ヶ島で夜に
プランクトンネットで採取しました。

次はまたカラヌス目です。
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スケールは500μmです。
頭部の形がイカの頭みたいです。
このカイアシは
カラヌス目(Calanoida)、
ユウカラヌス科(Eucalanidae)の1種と思われます。
頭部先端が菱形に突き出ることが特徴のようです。
こちらも三浦半島先端の城ヶ島で夜に
プランクトンネットで採取しました。
同定は海洋プランクトン検索図説を参考にしました。

最後に寄生性のカイアシです。
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スケールは1mmです。

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スケールは500μmです。

このカイアシは、モンストリラ目(Monstrilloida)
モンストリラ科(Monstrilloidae)に属しています。
海洋プランクトン検索図説によれば、
モンストリラはノープリウス1期と成体以外の時期に、
海産無脊椎動物の体内に寄生しているそうです。
成体は第2触覚や口器付属肢がないので、
他のカイアシ類とは異質なイメージで同定も容易です。
ここでは黄色い種類と、緑色の種類を掲載しましたが、
色鮮やかなことでも異質なカイアシです。

カイアシ類は小さい上に種類が膨大なので、
同定がとても難しいです。
ここでは分かりやすいものだけを紹介しましたが、
実際には目レベルでしか同定できないものが多数です。
せめて淡水産のケンミジンコくらいは
ちゃんと同定したいと思っています。

2016年12月11日 (日)

クリスマスカラーのダニ

クリスマスも近くなってきたので、
今回はクリスマスカラーのダニを紹介します。

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このダニは、イソダニ科のワダツミダニ属
(Litarachna sp.)と思われます。
日本海岸動物図鑑[II]によれば、
「沿岸底を中心に生息する特異な海産の1科」
とのことで、海中に生息する変わったダニです。

採取地は北海道の積丹半島で、
海岸の海藻に付着していたものを採取しました。
海藻をプラスチック容器に入れて、
バシャバシャすると、ヨコエビやワレカラ、カイアシが
などの微小甲殻類が採取できるのですが、
そこに混じってワダツミダニも採取できました。

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こちらも同時に採取したワダツミダニですが、
少し小型で色も薄いです。

日本海岸動物図鑑[II]によれば、
成虫は補食性、幼生は海産無脊椎動物に寄生すると
考えられているものの、まだまだ不明のことが多いそうです。

ただ、人には害がなさそうですね。

2016年12月 5日 (月)

イッケヒゲナガヨコエビ属(Peramphithoe sp.) 千葉県2015年3月

今回もヨコエビです。

ヨコエビの脚をバラバラにして撮影するのは
残酷に思えるかもしれません。
なので、ヨコエビのデータ収集を始めた当初は
全体写真しか撮影しませんでした。
ところが、全体写真だけでは種レベルの同定はおろか、
科レベルの同定も難しい!
これではせっかくの標本も無駄になってしまうので、
去年あたりから積極的に解剖を行うことにした次第です。
そこまでして名前を調べることに意味があるのかという
哲学的問題もありますが。

死んでいると思ったヨコエビから脚を外すと、
どういうわけか脚が動き出したり、
1cm程度の大きさのヨコエビでも結構臭いがあったり
リアルに生死を感じる世界なのですが、
スーパーに並ぶカニの脚を見ていると思えば
無心になれるかもしれません。

さて前置きが長くなりましたが、
今回のヨコエビです。
2015年3月に房総半島先端の野島崎で採取しました。

写真1
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写真2
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写真1は上から照明をあてた画像、
写真2は下から照明をあてた暗視野画像です。

このヨコエビは以前に掲示板でHo(No67)さんに
「ヒゲナガヨコエビ科のようです。
Peramphithoeだと思います。」とコメントを頂いていました。
ただ、そのときは全体写真だけだったので
今回は細部まで詳細に見ておきたいと思います。

Peramphithoeは日本海岸動物図鑑[II]では
イッケヒゲナガヨコエビ属と和名が付けられています。
日本海岸動物図鑑[II]によれば、
近縁のヒゲナガヨコエビ属(Ampithoe)とは、
「第1底節は前方に進展しない、
第3、第4胸脚の基節は膨れて楕円形」
であることで区別されています。

残念ながら、第1底節がよく見える写真がなかったので、
まずは第3胸脚から見ていきます。
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たしかに「基節は膨れて楕円形」です。
もうこれだけでもPeramphithoeとして良さそうです。

次に第4胸脚です。
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「基節は膨れて楕円形」です。

第5胸脚です。
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基節はむしろ円形です。
日本海岸動物図鑑[II]のトウヨウヒゲナガ
(Peramphithoe orientalis)の第5胸脚のイラストに似ています。

第6胸脚です。
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第7胸脚です。
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変則的ですが第1咬脚です。
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第2咬脚です。
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日本海岸動物図鑑[II]のトウヨウヒゲナガ
(Peramphithoe orientalis)のイラストよりも
指節が短いです。
トウヨウヒゲナガではなさそうです。

あまり同定の役にはたちませんが口器の部分も見ましょう。
顎脚です。
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大顎です。
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小顎です
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やはり、Ho(No67)さんの見立て通り、
イッケヒゲナガヨコエビ属(Peramphithoe sp.)で良さそうです。
無事に名前が付きました。

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