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2016年10月 8日 (土)

メリタヨコエビ属(Melita) 葛西海浜公園2016年7月採取

7月に葛西海浜公園でヨコエビを採取しました。

Im160716__1
石の下にいました。

第2咬脚が大きい雄を複数採取できて、
付属肢(脚)の解剖もできて、写真も撮れたので、
画像を見ながら種類を同定しようと思います。
目標は属レベルです。

まずは全体の形状です。
尾肢の形状がメリタヨコエビ科に似ているので、
「日本海岸動物図鑑[II] 西村三郎 編著」の
メリタヨコエビ科の記載と比較します。
メリタヨコエビは世界に69属、
日本からは10属が知られているそうです。

最初のポイントは第3尾肢です。

この個体を解剖しましょう。

Im160716__2

左下の2本の棒状の部分が第3尾肢です。

Im160716__2_3_x100_2560x1920

第3尾肢の拡大像です。

ヨコエビの尾肢は内枝と外枝の2本でできていますが、
このヨコエビの外枝は大きい枝が一本です。
ただ、矢印の先に鱗状の構造があります。
どうやらこれが内枝のようです。
「日本海岸動物図鑑」によれば、
「第3尾肢の内枝が鱗状」の属は
メリタヨコエビ属(Melita)と、
ヤシャヒメヨコエビ属(Abludomelita)のようです。

さらに第3尾肢の外枝(太い棒)を続けます。
外枝が1節であればメリタヨコエビ属、
2節であればヤシャヒメヨコエビ属です。

・・・今回のヨコエビの外枝は1節ですね。
切れ目がないです。
なので、メリタヨコエビ属ということになります。

第3尾肢だけであっさりと属レベルの同定ができましたが、
間違いがあるかもしれないし、「日本海岸動物図鑑」に
記載されていない近縁属の可能性もあるので、
もっと詳しく観察しましょう。

Im160716__2_x100_2560x1920_

こちらは第1触覚の副鞭です。
ヨコエビの触覚には小さな枝があることがあって、
これを副鞭と呼びます。
今回のヨコエビの副鞭は3節あります。
メリタヨコエビ属のカギメリタヨコエビ(Melita koreana)の副鞭は
3~5節だそうなので矛盾しません。

Im160716__2_1_x40_2560x1920_

こちらは第1咬脚です。
もっとも前方の脚です。
この先端部の構造がカギメリタヨコエビとナガタメリタヨコエビ
(Melita nagatai)で違うようなのですが、すみません、区別できません。
どちらにも似ているように思えます。
もっと高倍率の画像が必要でした。
ただ、ヤシャヒメヨコエビ属のニッポンメリタヨコエビ
(Abludomelita japonica)の第1咬脚とは明らかに異なります。
少なくともニッポンメリタヨコエビではないようです。

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第2咬脚です。
感覚毛が密生しています。
メリタヨコエビ科のスンナリヨコエビ(Maera)や
イソヨコエビ(Elasmopus)とは形が異なります

分類は「・・・に似ている」、だけでなく
「・・・とは異なる」、という情報も大事ですよね。

Im160716__2_3_x40_2560x1920_

第3胸脚です。
すらりとしています。

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第4胸脚です。
多くのヨコエビと同じく、第3胸脚と第4胸脚が似ています。

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第5胸脚です。
第3,第4胸脚よりも少し太いです。

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第6胸脚です。
カギメリタヨコエビの雌の第6胸脚底節の下部には
特徴的な構造があるそうですが、
このヨコエビは雄なのでないのかもしれません。
・・・今、雌の第6胸脚の画像も見てみましたが、
やはりよくわかりません。
カギメリタヨコエビでないのか、見る場所が間違っているのか、
経験不足で判断不能です。

Im160716__2_7_x40_2560x1920_

第7胸脚です。
第6胸脚と似ています。

Im160716__2__x100_2560x1920_

この構造は尾節板です。
もっとも後方の節です。
尾節板は2枚の板でできています(双葉)。
これはギメリタヨコエビの記載と矛盾しません。
ただ、解剖の過程で壊れた可能性も否定できなかったので、
別の個体の尾節板も観察しました。

Im160716__3_

別の個体です。

Im160716__3__x100_2560x1920_

尾節板を分離しないで観察しました。
やはり双葉で間違いないようです。

全体的に見て、やはり、メリタヨコエビ属(Melita)に最も近いようです。
あとから気がついたのですが、メリタヨコエビ属の同定には
腹部の背面の観察も必要なようです。
次回、チャレンジしましょう。
標本残ってたかな・・・。

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