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2018年8月12日 (日)

昔話:Shionodiscus biporusと博士論文


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何の変哲もない珪藻ですが、
私にとっては思い入れのある種です。
博士課程の学生だった頃に新種記載した化石珪藻で
Shionodiscus biporus (Shiono) Alverson, Kang et Theriotという学名です。
当時はThalassiosira bipora Shionoという名前でした。
深海底掘削コア試料(DSDP580-16-2_83-84cm)から見つけました。

Thalassiosira trifultaという珪藻の分類に混乱があるかもしれない”
という当時の担当教官のカンにより始まった研究でした。
実際に何がどうということも分からなかったので、
とりあえず光学顕微鏡とSEM(走査型電子顕微鏡)で
色々な年代の試料(深海掘削試料)を観察していきました。
すると、ある試料において光学顕微鏡ではThalassiosira trifultaが見つかるのに、
SEMでは見つからないという壁にあたりました。

Thalassiosira trifultaは殻の中央部に数個の小さな穴が並んでいて、
SEMで細胞の内側方向から観察すると、
その穴は有基突起という1μmよりも小さな構造に繋がっています。
この有基突起と殻の接合部に3個の微細孔があり、
さらに有基突起自体にも3本の支持構造があることが
Thalassiosira trifultaの特徴です。
なお、有基突起を学名でfultoportulaと呼ぶのですが、
3個の(tri)支持構造を持つfultoportula(fulta)というのが
trifultaの学名の由来です。

ちょっと話がそれましたが、Thalassiosira trifultaに特徴的な
3個の穴と3個の支持構造を持つ有基突起が見つからない、
ということが博士論文の最初の壁でした。

逆に変な珪藻も見つかっていました。
その珪藻は4個の微細孔に囲まれた有基突起を1個だけ持っているのですが、
そのとなりに変なスペースがあり、
そこに暗い影がありました。

そして深夜の電子顕微鏡室で何かの拍子にふと思ったのです。
“光学顕微鏡で見つかるThalassiosira trifultaと、
SEMで見つかる【変な珪藻】は同じものなのではないか”
もちろん、Thalassiosira trifultaは間違いなく存在しますので、
この【変な珪藻】は光学顕微鏡ではThalassiosira trifultaに酷似している
別の珪藻ということになります。

ただ、それにしては光学顕微鏡とSEM観察で穴=有基突起の数が異なります。
光学顕微鏡で【変な珪藻】を観察すると必ず2個の穴が見つかるのですが、
SEM見つかる有基突起の数は1個です。
この矛盾を突破する鍵が有基突起の隣にある変な暗い影でした、
暗い影は内部に空洞があることを示しています。
つまり、【変な珪藻】は2個の穴を持っているが、
その内の1個だけが有基突起に繋がっていて、
もう1個の穴は塞がれている、というアイデアが浮かびました、

このことは後々、色々な方法で証明したのですが、
このような特徴の珪藻が存在しなかったので、
新種記載することになりました。
話が長くなりましたが、
これがThalassiosira biporaです。
biporaという学名は2個(bi)の穴(pora)に由来します。
学名はラテン語なので英語とはちょっとスペルが違います。

12_im180707_dsdp580162_8384cm_shion

これはShionodiscus biporus(= Thalassiosira bipora)の殻の中央部を拡大した画像です。
中央部に2個の穴がありますが、
右側【F】が有基突起で、左側【O】が塞がっている穴(occluded areola)です。
この2個の穴の違いは慣れると光学顕微鏡でも識別できます。
さらに、少し離れたところに唇状突起【R】という別の構造があるのですが、
必ず唇状突起【R】→塞がっている穴(occluded areola)【O】→有基突起【F】という順番に並びます。

さて、Thalassiosira biporaを新種記載できたことで
一気に研究は加速しました。
(以下の文章はややこしいので流し読みしてください)
Thalassiosira biporaに似た種を複数記載していたのですが、
その中に、本来塞がっているoccluded areolaに小さな穴が開いている種が見つかりました。
さらに時代が古くなると、この穴が大きくなることも分かりました。
このことは起源種から【小さな穴が開いているoccluded areolaを持つ種】を経て、
Thalassiosira biporaが進化したことを示しています。

ではThalassiosira trifultaはどうなったかというと、
T. biporaの全盛期(500万年間~350万年間)にはT. trifultaは誕生していないことがわかりました。
実はT. trifultaは中新世と鮮新世の境界を決める年代指標種のひとつだったですが、
中新世と鮮新世の境界頃にはT. trifultaは生まれておらず、
そこには生まれたてのT. biporaがいたのです。
T. trifultaT. biporaが混同されていたので当然のことです。
つまり担当教官のカンは当たりました。
ただ、起源種は一緒なので遠い昔に分かれた親戚の間柄であることも分かりました。
起源種とT. trifultaの中間の特徴を持つ種(T. praeoestrupii)も存在していました。
起源種もたった一つの種であることもわかり、鮮新世初期の百万年ほどの間(570万年間~480万年間)に、
爆発的に種数を増やしていたこともわかりました。

博士論文ではT. biporaT. trifultaの仲間たちが起源種からどのように進化したのかを議論しました。
このグループの種にとって条件の良いときに変異が大きくなり、
条件が厳しくなったときに変異とのところどころが断絶して多数の種が生まれる、
というイメージです。
実際の博士論文では、別の珪藻グループの進化過程との比較も行いました。
論文も複数かけたので、割とすんなり博士論文は通りました。

ところが、就職が難航しました。
あまりにも古典的で地味な基礎研究だったので、
他の研究への波及効果もなく、
流行の研究対象でもなく、
当時進み始めたIODPにも絡むことができす、
この研究を武器に就職はできませんでした。
結局は別分野の研究テーマでポスドクになり、
一般企業に就職することになりました。
当時は、珪藻の進化の研究なんて何の役にも立たないと言われて落ち込むこともありましたが、
今となっては、この研究ができて良かった、と思います。
財政事情もありますから、将来的に発展や経済効果が見込めるような研究でないと
予算獲得は難しいでしょう。
そのような中で地味な基礎研究に没頭できたことは幸せなことです。

この話には後日談があります。
日本では評判の良くなかった研究ですが、
海外ではそれなりに評価されたようでした。
というのも海外の研究者によってThalassiosira属から
T. biporaT. trifultaの仲間たちが分離されたときに、
新しい属名に私の苗字が使われました。
私が珪藻研究の世界からある日突然消えたので、
もしかしたら“Shionoが死んだ”、と思って謹呈したのかも知れないです。

折角なのでShionodiscus biporusのほかの写真も載せておきます。
最初の写真と同じく、昔の深海掘削計画(DSDP580-16-2_83-84cm)の試料です。
写真をいっぱい並べて共通の特徴を抽出するのが私の研究スタイルでした。

2im180707_dsdp580162_8384cm_shionod

分類   :Shionodiscus biporus
       (Shiono) Alverson, Kang et Theriot 
倍率  :1000倍 
採取  :深海底掘削コア試料(DSDP580-16-2_83-84cm) 
① 直径:28.5μm
② 胞紋密度
    中心域:6/10μm、周辺域:14/10μm
③ 有基突起と唇状突起の距離
    胞紋数:3、長さ:6.4μm
中心域の2個の細孔構造のうち、右側は有基突起、
左はoccluded areola。

3im180707_dsdp580162_8384cm_shionod

分類   :Shionodiscus biporus
       (Shiono) Alverson, Kang et Theriot 
倍率  :1000倍 
採取  :深海底掘削コア試料(DSDP580-16-2_83-84cm) 
① 直径:45μm
② 胞紋密度
    中心域:5/10μm、周辺域:10~12/10μm
③ 有基突起と唇状突起の距離
    胞紋数:4、長さ:4.4μm
中心域の2個の細孔構造のうち、右側は有基突起、
左はoccluded areola。
中心域の左側に唇状突起がある。

4im180707_dsdp580162_8384cm_shionod

分類   :Shionodiscus biporus
       (Shiono) Alverson, Kang et Theriot 
倍率  :1000倍 
採取  :深海底掘削コア試料(DSDP580-16-2_83-84cm) 
① 直径:40μm
② 胞紋密度
    中心域:5~6/10μm、周辺域:12/10μm
③ 有基突起と唇状突起の距離
    胞紋数:3、長さ:6.3μm
中心域の2個の細孔構造のうち、左側は有基突起、
右はoccluded areola。
中心域の右側に唇状突起がある。

5im180707_dsdp580162_8384cm_shionod

分類   :Shionodiscus biporus
       (Shiono) Alverson, Kang et Theriot 
倍率  :1000倍 
採取  :深海底掘削コア試料(DSDP580-16-2_83-84cm) 
① 直径:46.3μm
② 胞紋密度
    中心域:5~6/10μm、周辺域:12/10μm
③ 有基突起と唇状突起の距離
    胞紋数:6、長さ:14μm
中心域の2個の細孔構造のうち、左側は有基突起、
右はoccluded areola。
中心域の右側に唇状突起がある。

こちらは陸上の露頭(崖)で採取したShionodiscus biporusです。

6im180624__shionodiscus1_x1k_2560_2

分類   :Shionodiscus biporus
       (Shiono) Alverson, Kang et Theriot 
倍率  :1000倍 
採取  :鮮新統 名洗層(千葉県) 
① 直径:30μm
② 胞紋密度
    中心域:5~6/10μm、周辺域:12~13/10μm
③ 有基突起と唇状突起の距離
    胞紋数:3、長さ:6.8μm
典型的なShionodiscus biporus
中心域の2個の細孔構造のうち、右下側は有基突起、
左上側はoccluded areola。
中心域から少し左上側に離れたところに唇状突起がある。

2018年8月 3日 (金)

タカノケフサイソガニ(Hemigrapsus takanoi):多摩川河口干潟 2017年11月採取

Im171125__1_x067_2560x1920

去年11月に多摩川河口の干潟で採取した
タカノケフサイソガニ(Hemigrapsus takanoi)です。
どこにでもいる珍しくないカニ(駄ガニ)です。

実体顕微鏡で複数枚撮影してつなぎ合わせた画像です。
多分、20枚くらい重ねています。
つなぎ合わの精度を良くするために、
視野の9割程度をオーバーラップさせるという
非常に手間のかかる方法で撮影しています。

この方法は仕上がりは綺麗なのですが、
効率が悪すぎるので
今後はOLYMPUS Tough TG-5に移行する予定です。

Im171125__1_x067_2560x1920_2

腹面を観察した画像です。
腹部が狭いので雄の個体ですね。
口の周りに黒点がありますが、
腹部にはありません。
これはタカノケフサイソガニの特徴です。

タカノケフサイソガニは近縁種のケフサイソガニ(Hemigrapsus penicillatus )と
よく似ていますが、
「海辺のエビ・ヤドカリ・カニ・ハンドブック」によれば
ケフサイソガニは腹部にも黒点があるので識別できるそうです。

タカノケフサイソガニは十数年前に
ケフサイソガニから分離された非常に新しい『新種』です。
近年になるまでタカノケフサイソガニとケフサイソガニは混同されてきたということなので、
それだけ良く似ている種ということなのでしょう。

Im171125__1_x1_2560x1920_3

こちらはハサミの拡大画像です。
ハサミの外面の毛の房が特徴的です。
モクズガニと似ていますね。
(タカノケフサイソガニはモクズガニ科に属しています)

ハサミの外側にも黒点があり、
タカノケフサイソガニの黒点はケフサイソガニの黒点よりも小さいということですが、
これは同じくらいの大きさの個体を並べてみないと識別が難しいかもしれません。

2018年7月17日 (火)

トゲダニ亜目 ホコダニ科 ヘラゲホコダニ属(Holaspulus属) 茨城県2018年1月

少し前のデータになりますが正月に採取したトゲダニの同定記録です。


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3月に書いたホコダニ属(Holaspina属) に似ていますが、
ホコダニ属よりも背毛が太いように見えます。
少し拡大しましょう。

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背中には背板と呼ばれる硬い殻があります。
背板の最前方にある毛がj1で、
その斜め下にある毛がz1です。

ホコダニ科にはz1を欠くものがいるので、
最初の同定に役に立ちます。
カマゲホコダニ属(Gamasholaspis属)、ホコダニモドキ属(Euparholaspulus属)、
はz1を欠くとされています(日本産土壌動物)。

ヘラゲホコダニ属(Holaspulus属)、コシビロホコダニ属(Naparholaspis属)、
ダルマホコダニ属(Proparholaspulus属)、ホコダニ属(Holaspina属)、
ヤリゲホコダニ属(Parholaspis属)
はj1とz1を持ちます。
写真の種はz1がないので、カマゲホコダニ属か、ホコダニモドキ属ということになります。

ただ、注意したいのが日本ダニ類図鑑や日本産土壌動物のイラストを見てみると
ヘラゲホコダニのz1は非常に短いようです。
なので、今回の種がヘラゲホコダニ属であった場合、
z1の存在に気がついていない可能性があります。

次に腹面から観察した画像です。

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腹肛板が生殖版と周気管板と融合しています。
この特徴はヘラゲホコダニ属またはコシビロホコダニ属に似ています。
ヘラゲホコダニ属とコシビロホコダニ属は鋏角固定背毛の形状が異なります。
ですので、次は鋏角の観察です。

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固定指背毛は毛束の反対側にあります。
毛束があるほうのハサミが動指、反対側が固定指です。
この倍率では観察が難しいので、もう少し拡大してみます。

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固定指背毛はやや曲がっていますが単純な形であることが分かります。
コシビロホコダニ属の固定背毛は楔型で変わった形なので、
コシビロホコダニ属の可能性は無さそうです。

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念のために他の個体の鋏角も観察してみます。
こちらのほうが固定指背毛が観察しやすいです。
矢印の先の固定脂背毛は少し曲がった単純毛です。
ここまで来れば、この種はヘラゲホコダニ属と考えて良いでしょう・・・ふう。

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こちらは何の部分か分かりにくいですが顎体突起です。
ホコダニのなかまは顎体突起にも特徴が出るのですが、
ヘラゲホコダニ属はあまり特徴がありません。
ギザギザしていて、中央に長い突起がないことが特徴です。

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こちらは気門です。
周気管の後端部はまっすぐで湾曲しません。
ハエダニ科は周気管の後端部が湾曲しているので、
この部分を見ればハエダニ科とホコダニ科を識別できます。

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後胸板です。
ここも見ておいたほうが良い部分です。

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最後に背毛の拡大画像です。
確かにヘラのような形です。
ヘラ毛ホコダニですね。

2018年7月 9日 (月)

カニとガタガール ~OLYMPUS Tough TG-5テスト撮影レポート~

少し間が開いてしまいましたが、
この間にパソコンが壊れていました。
いつものようにデータ整理中に突然ブラックアウトしてフシュ~と落ちてしまいました。
2年しかたってないのに。
ノートパソコンだと、この場合マザーボードごと交換の必要があるようで、
修理代金もそこそこすることから買い換えを決断しました。

こんどのPCはちゃんと保険に入っておこう。。

ちなみに顕微鏡のデータは普段から外付けハードディスクに入れて
作業しているので全て無事でした。

さて、ノートパソコンを買ったついでに
前々から購入検討していたコンパクトデジタルカメラを買いました。

というのも、2cmより大きい生物を撮影するときは
これまでは実体顕微鏡で複数視野撮影し、
つなぎ合わせるという面倒な作業を行っていたのです。

なので、マクロ撮影が得意なコンパクトデジタルカメラがほしかったのです。
一眼レフカメラを使うほどのスキルもないので、
ネットの評判を元に購入したのが OLYMPUS Tough TG-5 です。

さっそく、ゴールデンウィークに三番瀬で採取したヤマトオサガニ(Macrophthalmus japonicus)のアルコール標本でテスト撮影しました。

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期待通りの画像です。
これなら画像データベース用に使えます。

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これは今まで使用していたFUJIFILM FinePix A800の画像です。
スタンドを使用したこともあって、手ぶれなく撮影できていて、
焦点深度も問題ないのですが解像度が劣ります。
ちょっとザラッとした感じもします。
これだと実体顕微鏡のつなぎ写真の代替には厳しいですね。

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こちらはTG-5をスタンドに取り付けて撮影している状態です。
マクロ撮影は手ぶれが大敵ですのでスタンドや三脚はあったほうがよいですね。

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こちらは室内照明だけで撮影した画像です。
TG-5には深度合成モードが付いているので、これを利用しています。

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深度合成モードをしないで撮影するとこんな感じです。
焦点深度が意外に浅いですね。
深度合成モードは必須の機能だとわかりました。

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こちらは3月に伊豆大島で採取したヒライソガニ(Gaetice depressus )です。
この大きさのものが1度の作業で撮影できるのは嬉しい。
深度合成モードも上手く機能しています。

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こちらは深度合成モードを使用しないで撮影した画像。
簡単に深度合成できる機能があって良かったです。

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こちらは三番瀬で採取したコメツキガニ(Scopimera globosa)です。
この大きさになると実体顕微鏡でも一回で撮影可能ですが、
焦点深度のことを考えると、どちらも撮っておいたほうが良さそうです。
照明の当て方に改善の余地がありますが立体的に撮れていると思います。

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カニにくっついて来てしまったヨコエビも撮影してみました。
顕微鏡を使わずにヨコエビの写真が撮れるとは驚きですね。
カメラをヨコエビに近づけるなどすれば、もっと綺麗な写真になるとは思いますが、
ヨコエビの写真は実体顕微鏡で撮影するので、これはこれでOKです。

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次に乾き物のテスト撮影を行ってみます。
サンプルはガタガール1巻です。

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表紙はこんな感じで綺麗に撮れます。
汐ちゃんの持っているヤマトオサガニのハサミに接写してみます。

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こんな感じで印刷のドットもはっきりわかります。
周辺に収差があるようですが、トリミングして中央部分だけを使えば問題ないでしょう。

ちなみに「ガタガール sp.~阿比留中生物部活動レポート~」第1巻は7月9日発売です。
発注済みなので明日には届くかな。

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こちらはOLYMPUS Tough TG-5で撮影したNikon ECLIPSE E55iです。
この顕微鏡は購入してから15年くらいですが、まだまだ現役ですね。

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こちらが実体顕微鏡 Nikon SMZ745T です。
ステージに乗っているのは暗視野照明装置です。
さきほどのガタガール表紙のヤマトオサガニのハサミの画像は、
暗視野照明装置を使用しています。

さて、良いカメラが手に入ったので大きなカニの写真も撮っていきましょう。
フィールドでの生態写真も撮れるかな?

2018年6月16日 (土)

KAWAII系の生物(マルトビムシ亜目)

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前回の線虫がアレ系な生物だったので、
KAWAII系の生物を上げておきます。
マルトビムシ亜目の1種です。
うさぎさんみたいで可愛いですよね!?
脚が3対有りますが、それも萌ポイントですよね。

マルトビムシ亜目はかなり大きな分類群なので、
詳細な分類はできていません。
ミジントビムシ亜目と似ていますが、
触覚が頭の長さより長いことから区別できます。

正月に茨城県で採取したものです。
マルトビムシは小さいので肉眼で識別できるかどうか、
実体顕微鏡がお勧めです。

2018年6月 2日 (土)

ふなばし三番瀬海浜公園の線虫

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ふなばし三番瀬海浜公園で採取した線虫(センチュウ)です。
細かな分類はさっぱり分かりませんが、
線形動物門 線虫綱に属していると思われます。
干潟の泥のなかで生活しているようです。
甲殻類のサンプルに線虫がたくさん混入していたので、
干潟には大量に生息しているのかもしれません。

なんだか寄生虫に似ていますが、
それもそのはずでギョウチュウや回虫、アニサキスも
線形動物門のなかまです。

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今回撮影した線虫は卵を持っていました。
右下方向に7個の楕円形の卵があります。
ちなみに右上の先端が頭です。

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頭の拡大画像です。
種類によっては口壁の内壁に歯があったり、
口針があるようですが、よく分かりませんでした。
口から左側に向かって食道が伸びています。

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食道と腸の境界付近です。
ここには食道腸間弁という構造があるそうです。
(参考:日本産土壌動物)

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卵の拡大画像です。

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尾部の拡大画像です。
肛門は先端部から少し離れたところに開口しています。
先端には尾腺口があるそうです。

こんどは土壌中の線虫も観察しようと思います。

2018年5月19日 (土)

三番瀬サンプリング 2018年4月28日

GW初日の4月28日にふなばし三番瀬海浜公園に行きました。
三番瀬は千葉県(東京湾)の干潟で、
ふなばし三番瀬海浜公園は都心に最も近い潮干狩り場として有名です。

潮干狩り場に行って、小さな甲殻類の採取を行いました。
貝を捕らないのなら有料の潮干狩り場に入る意味はないですが、
土地勘が無いので有効利用させてもらいました。
現地にカメラを持って行くのを忘れたので、
干潟の写真がありませんが、すごく賑わっていました。

潮干狩り場を退場するときに貝の計量があるのですが、そこで
「貝を捕らないで他の生物を採っていたのですが、確認しますか?」
と聞いたところ、
「一応確認させてください・・・。」
とのことだったので、
“一個体、一個体じっくりと見てもらおう!”
と思い、保冷バックを開けたのですが、
中のガラス瓶の山を見たとたん、
「あ、もういいです!」
と言われました。
そうですよね、忙しいですよね・・・。

そして家に帰ったから気がついたのですが、
すごく日焼けしていました。
というよりも火傷でした。
色白サラリーマンには初夏の日差しは強すぎた・・・。

そんなわけで採取した甲殻類を記載します。

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まずは干潟の代表的なカニ、コメツキガニ(Scopimera globosa)です。
丸っこい形が特徴的です。
一個体だけ見つけました。
目が飛び出しているのですが、上からではよく分かりません。

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この向きからなら目が飛び出していることが分かります。

3_

次は“どこにでもいるカニ”の代表、タカノケフサイソガニ(Hemigrapsus takanoi)です。
ただ、小型個体なのでケフサイソガニ(H. penicillatus)と混同している可能性があります。

4_

こちらは腹側から観察した画像です。
腹面の黒点が小さく、数が少ないのでタカノケフサイソガニと同定しました。

コメツキガニ、ケフサイソガニの他に、
ヤマトオサガニ(Macrophthalmus japonicus )も採取できました。
ただ、一枚の写真に収まらず、複数枚のつなぎ写真で撮影しました。
まだ画像をつなげていないので、こちらはしばらくお待ちください。
あと、マメコブシガニとイシガニもいましたが、
これらは顕微鏡で撮影するには大きすぎるのでお持ち帰りしていません。
現場で大型の生物を撮影できるような良いカメラが必要かも。
といっても今回はカメラそのものを忘れていったので、
根本から失敗しています。

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ユビナガホンヤドカリ(Pagurus minutus )です。
ホンヤドカリに比べて歩脚の指脚が長いことが特徴です。
ユビナガホンヤドカリは干潟、ホンヤドカリは磯に多くいます。

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エビジャコ属(Crangon sp.)と思われるエビです。
東京湾にはカシオペエビジャコとウリタエビジャコが生息してるそうです。
三番瀬にはウリタエビジャコ(Crangon uritai)が生息しているそうなので、
ウリタエビジャコの可能性が高いとは思いますが、
同定ポイントが分かっていないのでエビジャコ属としておきます。

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上から見たところです。
スジエビなどと比較すると額角が短いです。

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エビジャコ属第1胸脚の拡大写真です。
普通のエビ類の鋏脚とは異なり、
ヨコエビのような構造になっています。
このような構造を亜鋏状 (subchelate)と呼ぶそうです。

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こちらはクロイサザアミ(Neomysis awatschensis)です。
外見からはニホンイサザザミ(N. japonica)と区別が難しいですが、
尾節の形が異なるので、尾節をみれば簡単に識別できます。
今回も尾節の形からクロイサザアミと同定しました。
今回の三番瀬サンプリングではニホンイサザザミ(N. japonica)の雌も
1個体だけ採取しました。
ただ、多く見られるのはクロイサザアミのようです。

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続いてヨコエビです。
ヒゲナガヨコエビ属のモズミヨコエビ(Ampithoe valida)です。
実物はこの写真よりも鮮やかな緑色です。
雄の第2咬脚の掌縁には台形の突起があることが特徴です。

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ポシェットトゲオヨコエビ(Eogammarus possjeticus )です。
新鮮な個体はとても綺麗ですね。
三番瀬では普通に見られるヨコエビのようです。
今回のサンプリングでは、モズミヨコエビ、ポシェットトゲオヨコエビのほかに、
シミズメリタヨコエビ、アリアケドロクダムシも採取できました。

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ミツオビクーマ(Diastylis tricincta)です。
葛西臨海公園で最初に見つけて長らく不明種としていたのですが、
ようやく同定できました。
東京湾の干潟では普通に見られるようです。

今回採取した生物は何れも駄種で、レアなものはいないようです。
ただ、潮干狩り中に“何してるの~?”と見に来た方々に
ヨコエビやアミを見せると、“こんな生物がいるんだ~”とびっくりされるんですよね。
カニやエビは見つけても、ヨコエビやアミ、クーマとなると
普通には見つけにくいもかもしれません(小さいので)。

マメコブシガニを捕まえていた子供が多かったですね。
数の上ではタカノケフサイソガニのほうがはるかに多いのに、
無視されていたような・・・?

2018年4月15日 (日)

キタツチカニムシ(Allochthonius borealis ) 茨城県2018年1月

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“カニムシ”という生き物を知っていますか?
大きな鋏を持っていることが特徴です。
サソリに似た形でインパクトがありますが、
大きくても1cm以下なので見たことがある人は少ないと思います。

サソリとの違いは長い後腹部を持たないことです。
サソリの“しっぽ”を切り離したような形に似ています。

今回は今年の正月に茨城県で採取した
キタツチカニムシ(Allochthonius borealis )と思われる
カニムシを紹介します。

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今回採取したカニムシは体長1.5mm、鋏角も加えた体長は1.8mmです。
日本産土壌動物によればキタツチカニムシの体長は1.7~2.4mmですので、
やや小型の個体と言うことになります。

眼(単眼)は体の側面にあります。
単眼は2対、4個有ります。

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側面から見た画像です。
眼は側面からのほうが分かりやすいです。
大きなザリガニのような鋏は蝕肢、眼の少し前方にもう一つの鋏“鋏角”を持ちます。

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蝕肢の拡大画像です。
蝕肢は動指と固定指でできています。
キタツチカニムシ(Allochthonius borealis )は動指の先端付近にだけ
ギザギザの歯が並んでいます。

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別の角度から。
固定指は先端から根元までギザギザの歯が並んでいますが、
動指の歯は中間部よりも先端方向にだけ並んでいます。
ここは近縁種のオウギツチカニムシ(Allochthonius opticus)との
重要な識別ポイントなので念入りに観察します。

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次に腹面からも観察します。
ツチカニムシ上科の歩脚は前2対が6節、
後ろ2対が7節です。
ヤドリカニムシ科は全歩脚が6節、コケカニムシ科などは
全歩脚が7節なので、ここも分類の重要なポイントです。

今回のキタッチカニムシはツチカニムシ上科 オウギツチカニムシ科
(Pseudotyrannochthoniidae)に属しているので、
前2対の歩脚は6節、後ろ2対の歩脚は7節です。
ただ、後ろ2対の歩脚の節の数え方は難しいので後で念入りに見てみます。

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腹面の構造を少し詳しく観察します。
体の最も前方にある鋏は鋏角です。

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鋏角の拡大画像です。
蝕肢と間違えやすいので注意が必要です。
鋏角はクモ、ダニ、サソリ、ザトウムシ、カブトガニなどが持つ共通の口器で、
鋏角を持つ生物をまとめて鋏角亜門と呼びます。
カニムシの鋏角は、鋏顎とも呼ばれます。

_83
次に歩脚の基節部分を観察します。
第1歩脚に棘があります。
これは基節棘と思われます。
ケブカツチカニムシ科は基節棘が第1,第2歩脚にあり、
オウギトゲツチカニムシ科は基節棘が第1歩脚にあり、
ツチカニムシ科は第2歩脚にあるので、
基節棘の位置はツチカニムシ上科の科レベルの分類に重要です。

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では歩脚の後ろ2対の節を数えてみます。
この倍率では難しいですね。

_10
まず根元から、1節目と2節目の境界(1/2)、
2節目と3節目の境界(2/3)、3節目と4節目の境界(3/4)を見ていきます。
3節目と4節目の境界には明瞭なくびれが無いので見逃してしまいそうです。

_11
次に4節目と5節目の境界(4/5)、5節目と6節目の境界(5/6)、
6節目と7節目の境界(6/7)を見てみます。
一応、6節目と7節目の境界(6/7)を確認できたので、
節の数は7節と分かりました。
本当は解剖して脚を切り離した方が変わりやすいかも知れないですね。

2018年4月10日 (火)

モンストリラについての問い合わせの返信

メールでモンストリラの問い合わせを頂いたのですが、
メールで返信してもエラーが起きてしまうのでブログで回答します。
電話は苦手なものですみません。

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モンストリラを昼間に採取した経験は2例しかないので、
基本的には夜行性と思われます。
経験上、日が落ちてから2~3時間程度の間に採取できることが多いです。
懐中電灯で海面を照らし、集まってきた夜行性プランクトンを採取すると
モンストリラも入っています。

潮の満ち引きにはあまり関係がないようです。
宮城県から神奈川県までの太平洋沿岸で採取に成功しています。
新潟県では数回サンプリングを行っていますが採取できていません。
ただし、北海道の日本海側の岩内では見つかっています。
神奈川以西、新潟県以西では採取自体を行っていないので不明です。
季節性はあまり感じられません。
直近では、先月、伊豆大島の波浮港で採取しました。

地味な体色のモンストリラは太平洋沿岸に広く見られますが、
緑色や黄色の派手な色の種は神奈川県三浦市城ケ島や、
千葉県房総半島南房総市など黒潮沿岸域で見つかりました。

プランクトンネットに入ってくる頻度は多いものの、
個体数はあまり多くありません。
少なくともプランクトンネットは必須と思います。
外洋に面した港湾での採取が多いです。

夜間の磯は危険があるので、磯では採取していません。
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2018年4月 1日 (日)

伊豆大島 生物調査と火山巡検

3月20日~22日に伊豆大島に行ってきました。
小さな生物の調査と、火山巡検が目的です。

午前中の便で大島、岡田港に着きました。
現地は生憎の天気でしたが、レンタカーで島北部の野田浜に行きました。

1_dscf3624

海岸で溶岩を見てテンションが上がります。

2_dscf3627

20日は風雨が強い悪天候でしたが、
波が低かったのと、干潮の時間だったので海岸での甲殻類調査を強行しました。
野田浜の周辺では、モクズヨコエビ科の1種(おそらく Protohyale属)、
アリアケドロクダムシ(Monocorophium acherusicum)、
ユンボソコエビ科の1種、ナガタメリタヨコエビ(Melita nagatai)、
ハバヒロコツブムシ(Chitonosphaera lata)、
イソコツブムシ(Gnorimosphaeroma rayi)、
ツツオウミセミ(Cymodocella nipponica)が見つかりました。
甲殻類ではないですが、海岸にはイソテングダニがいました。

ツツオウミセミ(Cymodocella nipponica)は“ねこのしっぽラボ”では
初めての記載になります。
海岸動物図鑑によれば、紀伊半島、朝鮮半島、南シナ海に分布とあるので、
黒潮系の生物かも知れません。
ナガタメリタヨコエビ(Melita nagatai)も初めてです。

海岸生物の調査は順調だったのですが、
海藻の生えたコンクリートに足を滑らせて、
頭を打って、手のひらに怪我もしたので、
海岸での調査を一旦打ち切りにしました。
次回からヘルメットが必要か・・・。

海岸調査を打ち切った後は火山巡検に切り替えました。
明日(21日)は悪天候が予想されていたので、
まずは三原山に行くことにしました。

3_dscf3630

残念ながら、山頂部は雲の中でした。
かろうじて1986年溶岩流を見ることができました。
天候の回復を待って出直すことにします。

4_dscf3636

次に地層大切断面に行きました。
ここには過去約1万5千年間の噴火記録が地層として残されています。
写真の下部には不整合も見られます。
地層の1枚、1枚が過去の大噴火の堆積物です。
こんな立派な露頭を見ると元地質屋の血が騒ぎます。

5_dscf3631

露頭(地層が現れた崖)の上部にはスコリアの層があります。
スコリアの層は浸食されやすいのか、えぐられています。

6_dscf3639

この付近からは利島が見えました。

この日の火山巡検はこれで終了。

この後、夜に波浮港で夜間ネットサンプリングを行いました。
波浮港にはコマセアミ(Anisomysis ijimai)、
トゲホホヨコエビ(Paradexamine barnardi)、種類不明のヨコエビ、
ウミオオメミジンコ属(Podon sp.)、ナギサスナホリムシ属(Eurydice sp.)、
サザナミクーマ属(Dimorphostylis sp.)、ナンノクーマ属(Nannastacus sp.)、
ウオノエの幼生、カイアシ類、貝虫類(ミオドコパ)が生息していました。

このうち、コマセアミとナギサスナホリムシ属は“ねこのしっぽラボ”では
初めての記載になります。

翌日は天気予報通りの悪天候。
とくに午前中は大荒れの天気でした。

7_dscf3647

島の西側の火山博物館の玄関から海側を見た様子です。
ここでしばらく火山の勉強をしました。
1986年の噴火で元町に温泉が湧いたことを初めて知りました。

8_dscf3650

火山博物館の後は島南部の波浮港に移動、
昨夜は写真が撮れなかったので改めて撮影します。
波浮港の入り江は9世紀中頃の噴火によるマグマ水蒸気爆発でできた火口です。
当初は火口と海の間はつながっていませんでしたが、
津波や工事によって外海とつながったそうです。
この頃には小雨になっていましたが、
風が非常に強い状態でした。

9_dscf3659

波浮港の海岸から見た崖です。
この崖は爆裂火口の火口壁なわけですね。

10_dscf3686

続いて南東部の筆島に行きました。
ごらんの通り、海は大荒れです。

11_dscf3661

筆島は数十万年以前の古い火山の名残だそうです。

12_dscf3683

筆島の近くには磯もありますが、
生物調査は無理そうです・・・。

13_dscf3697

続いて裏砂漠の方面に向かいました。
見ると道路脇には雪が・・・。
きっと午前中は雪だったんですね。

14_dscf3703

月と砂漠ライン入口はご覧の通りです。
砂漠じゃ無くて雪原になっていそうです。
チェーンがかかっていますが、立ち入り禁止ではなく、
車止めだそうです。
足跡が幾つかあります。

15_dscf3704

ただ駐車場がこんな感じで、
砂漠に行って戻ってきたら路面凍結していた、では洒落にならないので、
裏砂漠の散策はあきらめました。
この日はこれで終了。
次の日が最終日なので早めに寝ました。

16_dscf3712

朝食後、速攻でチェックアウトして三原山に来ました。
三原山頂口の駐車場はあいかわらずの天気です。
この場所は三原山の外輪山の縁にあります。

17_dscf3713

駐車場から少し歩くと中央火口丘までのハイキングコースの入り口があります。
そこからの眺めです。
三原山は雲の中です。
一昨日よりも条件が悪そう・・・。

18_dscf3714

気を取り直して、天気予報によれば回復傾向とのことですし、
ハイキングコースを進みます。
少し明るくなってきたかな。

19_dscf3715

突然、霧が晴れて三原山の中央火口丘が現れました。
1986溶岩流もはっきり見えます。

20_dscf3716

遊歩道は舗装されているのですが、
そこにカエルのタマゴがいっぱい落ちていました。
水辺が少ないし、昨日は水がいっぱいあったのかもしれないけど、
オタマジャクシになるのは無理そうですね。

20_dscf3717

退避壕です。
火山弾が飛んできたら隠れましょう。

21_dscf3720

1986年A溶岩の末端です。
このあたりは平坦な地形です。
溶岩流の周囲の植生が回復しているように見えます。
噴火が無ければ森林になるのでしょう。

212_dscf3722

1986年A溶岩の表面です。
溶岩流の表面はガサガサした石で覆われています。
溶岩流の表面は速やかに冷えて薄皮ができるのですが、
内部はまだ流動を続けているので、
薄皮は引き延ばされたり、逆に押されたりして
たくさんのひび割れができれ壊されていきます。
そうしてできた破片がこのような石になります。
この石をクリンカー、このような形態の熔岩をアア溶岩(aa lava)といいます。

22_dscf3724

1986年A溶岩の末端です。
溶岩流の末端もたくさんのクリンカーに覆われています。
1986年の噴火の時にはクリンカーの隙間から、
真っ赤な熔岩が見えたことでしょう。

23_dscf3725

三原山の中央火口丘を登り始めたところで、
後ろを振り向きました。
遠くに見える連なった丘は外輪山、
外輪山からハイキングコースが延びています。
黒々とした部分が1986年A溶岩です。

24_dscf3731

北西の方向を見ました。
近くに見える丘は1986年B火口列です。
この周辺の火口から激しい割れ目噴火が起きました。

25_dscf3733

三原山の中央火口丘の縁(内輪山)に到着しました。
ここには三原神社の神殿があります。
三原神社の隣には溶岩流が迫っていますが、
溶岩流は神殿を避け両側に分かれて流れていったそうです。
不思議ですね。
御神火のなせる業でしょう。

26_dscf3735

三原山の中央火口丘山頂部平坦面です。
内輪山に囲まれたこの部分は、
1986年の噴火時には溶岩湖になっていました。
黒々とした熔岩は溶岩湖の名残ですね。
噴火から30年が経過した現在では、
植生がわずかに回復しています。

27_dscf3748

三原山の中央火口です。
ほとんど霧に覆われて見えなかったのですが、
霧の隙間からわずかに火口壁を見ることができました。
なんというか“天空の城ラピュタ”のような風景でした。
1986年の噴火直後には熔岩で満たされていましたが、
1987年の噴火によって陥没し、
深さ200メ-トルの竪穴が再生したそうです。

28_dscf3751

中央火口近くの熔岩は滑らかな表面で、
縄状の模様がありました。
パホイホイ溶岩かもしれません。

29_dscf3753

ハイキングコースではアア溶岩(aa lava)の断面も観察できます。
熔岩の上部にはクリンカーの層があり、
内部には緻密な連続体があります。
連続体の下部にもクリンカーの層がありますが、
一連の溶岩流のものなのか、別の熔岩の表面なのか判断できませんでした。

30_dscf3755

内輪山付近では熔岩はアア溶岩になっています。
荒涼とした風景です。

31_dscf3756

内輪山のハイキングコースで平行な地層を見つけました。
火砕サージの堆積物に似ていると思います。
確か蔵王巡検で火砕サージ堆積物の見方を教えてもらったような。

32_dscf3757

近づいて撮影しました。

33_dscf3764

中央火口丘から下山して後ろを振り返った様子です。
1986年A溶岩がよく見えます。

34_dscf3768

こちらも振り返って撮影した画像です。
この頃から天気が悪くなってきました。

35_dscf3769

外輪山に到着する頃にはこんな感じになってしまいました。
霧がかかっているとオートフォーカスが上手く効かないようです。

36_dscf3805

続いて外輪山の外側の割れ目火口列(1986年C火口列)に行きました。
1986年11月21日に外輪山北西で発生した割れ目噴火の跡です。
約1キロメ-トルの間に11個の火口が並んでいるそうです。
ここはその内の1個です。

362_dscf3805

何がどうなっているのか分かりにくいので、
解説図を付けました。
スコリア丘ができていて、中央に火口があります。
右側の自動車と比較するとスケールが分かると思います。

363dscf3771

スコリア丘の火口の内部です。
30年の間にずいぶん木が大きく育っています。

364dscf3771

足下にはスコリアがたくさん落ちています。

37_dscf3783

1986年C火口列の別のスコリア丘の火口縁に立ちました。
向こうに見える崖が火口内壁です。
スコリアが高温で酸化したために赤色に変色しています。

38_dscf3791

別の位置から火口内壁を撮影しました。
30年立っても崩れていないので、
それなりに硬く溶結しているようです。
加工内部の植生は豊かです。

39_dscf3780

足下には大きな溶岩片(スパター)も落ちています。

40_dscf3804

これもスパターかもしれません。
やや発泡しています。

41_dscf3803

誰かが割ったスパターの断面です。
内部は発泡しています。

42_dscf3788

1986年C火口列からは元町がよく見えました。
ということからは元町からも、C火口列の噴火がよく見えたことでしょう。

43_dscf3809

火山巡検を終えて岡田港に戻ると、
良い天気でした。
ここに来て初めて青空を見ました。
綺麗な海です。
場所は日の出浜海水浴場(サンビーチ日の出)で、
ここでは打ち上げられたゴミに付着していたエボシガイの仲間を
見つけました。

44_dscf3816

干潮の時間帯だったので、
磯での生物観察も行いました。
ここでは、ウミミズムシ属(Janiropsis sp.)、
ナガタメリタヨコエビ(Melita nagatai)、イワガニ、
ヒライソガニを見つけました。

45_dscf3823

さて、帰路です。
行きは手前のセブンアイランド愛、帰りは奥のセブンアイランド虹に乗りました。
船と言うよりは飛行機のような感じでした。
帰りはかなり波があったにも関わらず、乗り心地は良好でした。

今回の旅は天候の影響をかなり受けましたが、
楽しめたと思います。
次回は天気の良いときに行きたいですね。

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