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2017年5月 8日 (月)

新潟サンプリング(糸魚川~柏崎)2017

一ヶ月ほど更新が開きましたが、
GWを利用して新潟に海岸生物の採取に行ってきました

今回の主目的地の新潟県糸魚川市能生(のう)です。

_01

写真の島は弁天島。
周辺は能生海水浴場になっていて防波堤があるため、
波の心配はありません。
防波堤の内側は藻場が発達しています。

今回は糸魚川市~柏崎市で採取を行いました。
2014年には柏崎市、2016年に新潟市~出雲崎市で
採取を行っていて、今回は最も西側のエリアです。

道中の妙高市 いもり池でミズバショウを見ました。
_02

初めてミズバショウを見ました。
思ったより小さいですね。
腰の高さくらいまであるものだと思っていました。
皆さん写真が上手いから大きく見えるのかな。

さて代表的な海岸生物と言えば、
フナムシ(Ligia 属)ですね。


_03_

ダンゴムシやワラジムシと並んで
目に付きやすい等脚類だと思うのですが、
あんまり人気がないですね。
ダイオウグソクムシと同じ等脚類なのですが。

_04_

さらに近くに寄ってみました。
触角を畳んでいるので警戒しているのかもしれません。
ただ、じっくりと近づけばフナムシは逃げません。

_042_


さらに近くから。
フナムシへの愛が感じられる写真です。
ただ、汎用型のデジカメで撮影しているので、
被写体深度が甘いです。
こういうときは一眼レフとかが欲しいですね。
フナムシの他の写真は下記のページをどうぞ。

フナムシの画像集
http://plankton.image.coocan.jp/Crustacea3-2-1-4-090.html

フナムシは採取しませんでしたが、
ヨコエビは採取しました。

今回の目的の一つはこのヨコエビです。
データ整理中なのでスケールの準備ができていません。

_05_hyale

モクズヨコエビ科の第3尾肢と尾節板を確認して、
属レベルの分類を行うことが目標でした。
今回、複数のモクズヨコエビ科を解剖しましたが、
全ての個体で第3尾肢は単枝、尾節板は双葉でした。
写真の種も含めモクズヨコエビ属(Hyale属)と思われます。
尾節板はかなり小さく、解剖が難しかったです。
詳細は後ほど記載したいと思います。

こちらのヒゲナガヨコエビも目的の一つです。
_06_peramphithoe


このヨコエビは下記のページで記載していました。

http://plankton.image.coocan.jp/Crustacea3-2-1-3-1-360.html
掲示板(今は廃止)でイッケヒゲナガヨコエビ属(Peramphithoe sp.)と
教えて頂いたのですが、今回、確定のために解剖を行いました。

_062_peramphithoe_4

第4脚の基節が楕円形なので、
イッケヒゲナガヨコエビ属(Peramphithoe sp.)で間違いないようです。

あとはこちら。
_07_palinnotus_thomsoni_japonicus

ミノガサヨコエビ科だとは思っていたのですが、
属レベルでの同定はできていませんでした。

http://plankton.image.coocan.jp/Crustacea3-2-1-3-1-310.html

このヨコエビも解剖を行いました。
第4底節板や、第7胸脚を観察した結果、
ゴクゾウヨコエビ(Palinnotus thomsoni japonicus)と
同定できました。

これまでの同定ミスも見つけました。
_08_harpiniopsis_sp

このヨコエビはマルソコエビ(ツノヒゲソコエビ科)と
思っていたのですが、頭部と第5胸脚を詳しく観察した結果、
ヒサシソコエビ科のスナカキソコエビ(Harpiniopsis sp.)
であることが分かりました。
_08_harpiniopsis_sp2

頭部の額角がひさし状に尖っています。


_09_harpiniopsis_sp3

第5胸脚もスナカキソコエビに似ています。
この種類は下記のページでマルソコエビとして紹介していましたが、
修正が必要です。

http://plankton.image.coocan.jp/Crustacea3-2-1-3-1-090.html

やや珍しいヨコエビとしては、
ホソヨコエビ(Ericthonius sp)を見つけました。
第2胸脚の構造が特殊なので分かりやすいですね。
_10_ericthonius_sp


海岸ではイソテングダニ(Neomolgus littoralis)を見つけました。
_11_neomolgus_littoralis

テングダニを見たのは初めてなので嬉しいです。
海岸動物図鑑によれば海岸に生息するテングダニは
岩の上で見られるそうですが、
今回は砂浜で打ち上げられた海藻周辺で見つかりました。
周辺ではハマトビムシなども見つかりました。

同定を確実にするために鋏角も観察しました。
尖った口の先端に鋏角のハサミがあります。
_12_neomolgus_littoralis2

1000倍で拡大観察すると分かりやすいです。
_12_neomolgus_littoralis3

可動指が尖っていて不動指よりも長いので、
ヒメイソテングダニから区別できます。

土壌生物も採取しましたが、
観察はこれからです。
目視ではこんな大きなヤスデもいましたので、
観察が楽しみです。

_13_

2017年4月 9日 (日)

イレコダニ科とタテイレコダニ科とヘソイレコダニ科

今回も焼津市のダニの話題です。
ササラダニを採取できたことは前に書きましたが、
紛らわしい名前の種類をまとめて採取できたので
ダニ初心者にとっては非常に助かりました。

なかでも、紛らわしい、というかややこしいのは
イレコダニの仲間です。

今回見つかったのは、
イレコダニ科(Phthiracaridae)と
タテイレコダニ科(Oribotritiidae)と、
ヘソイレコダニ科(Euphthiracaridae)です。

これらのササラダニに共通するのは、
体を丸めることができること。
脚も引っ込めることができます。
前回のフリソデダニと同じく、
捕食者からの防御に関係しているのでしょう。

さて、順に見ていきます。
まず側面から見た全体像です。

イレコダニ科(Phthiracaridae)です。
1_01

左側が前体部、右側が後体部です。

こちらも、イレコダニ科(Phthiracaridae)です。
2_01
2_02

前体部と後体部の間に脚があります。
防御時には前体部を折り曲げて、蓋のように閉じて
丸くなります。

タテイレコダニ科(Oribotritiidae)です。
_01

右側が前体部、左側が後体部です。
なんだか名前だけでなく、形もイレコダニ科に似ていますね。

こんどはヘソイレコダニ科(Euphthiracaridae)です。
1_01_2
側面からではイレコダニ科と区別できません。

こちらもヘソイレコダニ科(Euphthiracaridae)です。
2_01_2

上のヘソイレコダニと違うように見えますが、
これもヘソイレコダニ科です。
脚を伸ばしている状態です。

このように側面からでは、はっきり言って区別できません。

では、今度は腹面を見てみましょう。
まずイレコダニ科(Phthiracaridae)です。

1_02
1_03

田の字のような構造があります。
これは性肛門域(性殖門と肛門)で、
イレコダニ科の性肛門域は田の字になることが特徴です。

こちらは2番目のイレコダニ科(Phthiracaridae)の腹面です。
2_03
2_04
上の写真と同じく、性肛門域が田の字になっています。

今度はタテイレコダニ科(Oribotritiidae)です。
_02
_03
基本的には田の字型なのですが、
細長く伸びています。

ヘソイレコダニ科(Euphthiracaridae)です。
1_02_2
1_03_2

田の字型の構造が無く、
性肛門域の中央に小さな三角形の構造があります。
ヘソイレコダニの“へそ”ですね。

2番目のヘソイレコダニも見てみます。
2_02_2
2_03_2

やはり“へそ”があります。
側面からの形は違っていても同じヘソイレコダニということがわかります。

今回も日本産土壌動物を参考にしました。
イレコダニグループには他にもフシイレコダニ科や、
ニセイレコダニ科がいるそうです。
いつか、他のイレコダニも見てみたいですね。

2017年4月 1日 (土)

フリソデダニとフリソデダニモドキ

今回も焼津市で採取したダニの話題です。
焼津市では、たくさんのササラダニを採取できました。
そのなかの、フリソデダニ(Galumnidae)と
似た名前のフリソデダニモドキ(Galumnellidae)を紹介します。

まずフリソデダニです。
_01

正確にはフリソデダニ科(Galumnidae)の不明種です。
日本産土壌動物によればフリソデダニ科は世界で30属以上、
400種以上含む大きな科なので詳細な分類は難しいです。

形態的な特徴は、体の両側に翼状突起があること。
フリソデダニの名前の由来は“この翼状突起を振り袖に見立てた”
とのことです。

この翼状突起は可動式で、驚いたときなどに、
翼状突起の内側に脚を引っ込めて丸くなることができます。
島野 智之氏の書籍“ダニマニア”によれば、
ササラダニは堅い殻を持っているものの、
脚などの関節部分がウィークポイントなので隠す必要があるとのことです。
土壌生物の生存競争もなかなか厳しそうです。

ついでにフリソデダニの裏側です。
_02

ちょっと分かりにくいですね。

次はフリソデダニモドキです。
_01_2

前の写真のフリソデダニよりも立派な翼状突起を持っています。
日本産土壌動物によれば、特徴は、

“フリソデダニ科よりも前体部の幅が狭く、後体部の幅が広い”こと。

_02_2

こちらのほうが形が分かりやすいでしょうか。
なんとなく富士山型をしています。
フリソデダニは丸い感じですが、
フリソデダニモドキは多角形な感じがしますね。


_03

こちらの写真は表面に焦点を合わせて撮影した画像です。
フリソデダニもフリソデダニモドキも光を通さないし、
光を当てても黒いので、写真に写すのが難しいです。
通常の暗視野照明の他に、横方向から照明で照らして観察しました。

さて、上の写真では殻の中央部に編目模様があります。
この形状は日本産土壌動物のフリソデダニモドキ
Galumnella nipponica)に似ています。
日本には他にオキナワフリソデダニモドキも分布しますが、
大きさと編目模様の形状が異なります。
今回の種はフリソデダニモドキ(Galumnella nipponica)としてよさそうです。

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上の2枚はフリソデダニモドキを裏側から見た画像です。
裏側からの方が翼状突起が分かりやすいかもしれないですね。

2017年3月20日 (月)

ホコダニ科(Parholaspididae) カマゲホコダニ属? 2017年3月焼津市

前回のブログで3月始めに静岡市~焼津の駿河湾で
海岸生物の採取を行ったことを書きましたが、
その時に土壌サンプルも採取していました。

採取地点は焼津市で、枯れ葉の下の腐葉土を採取しました。
ワラジムシやダンゴムシがいたので、
まあダニもいるかな、と思っていたのですが大漁でした。

今のところ、写真を撮っただけで分類していないのですが、
ササラダニの多様性が大きいようです。
トゲダニも1種類とれたので解剖を行いました。

今回はトゲダニの分類の報告です。
日本産土壌動物 分類のための図解検索に従って記載してみました。
長文です。
食事中の方は見ない方が良い写真があります。
もっとも、このブログと本体の“ねこのしっぽ 小さな生物の観察記録”を
食事中に見る方はあまりいないのでは無いかと思いますが・・・。

20170320_1
表側から見た全体像の写真です。
これだけで種類を調べるのは難しいですが、
背面の毛のパターンが分類の決め手になる場合もあるので、
毛が見えるような拡大画像も必要です。

20170320_2
背板前端の画像です。
j1というのは背板中央列の毛の再先端につけられた名前
(背板剛毛式)で、内側からj列、z列、s列、r列となっています。
つまりj1はj列の再前方ですね。
ポイントとしては再前方の毛はj1のみで、z1がないことです。
これが後で重要な情報になります。

20170320_3
裏側の写真です。
トゲダニの裏側を見ると、ところどころ色の濃い部分がありますが、
この部分を肥厚板と呼びます。
この肥厚板のパターンも重要な情報です。

20170320_4
肥厚板に焦点を合わせた画像です。
後から、腹肛板、生殖板、胸板を確認できます。
生殖板と胸板の間に点状の後胸板がありますが、
この倍率では分かりにくいです。

トゲダニの種類によって腹肛板、生殖板、胸板の形状は様々ですが、
今回のトゲダニの肥厚板のパターンは“ホコダニ型”です。
この時点でホコダニ科を意識することになります。

胸板の毛が何対あるかも重要なようです。
この個体は胸板に2対の毛を持つので、
毛が4対のヨコスジムシダニ科、コシボソダニ科、
ツブトゲダニ科が除外されます。

20170320_5
鋏角を観察するために、口器周辺を取り外したようすです。
あまり意識しないで撮影したのですが、
小角がよく見えるような向きで撮影した方が良かったです。

20170320_6
鋏角の拡大画像です。
鋏角は動く“可動指”と動かない“固定指”でできていますが、
可動指の付け根に毛束と呼ばれる構造があります。
毛束は羽毛状で、この時点でホコダニ科とハエダニ科に絞られます。

また、可動指に樹枝状突起があるかどうかも重要です。
この個体には樹枝状突起はありません。

20170320_7
毛束の拡大画像です。
1000倍で撮影した画像です。
ダニの撮影は40倍~1000倍まで幅広い倍率が必要なので大変です。

20170320_8
鋏角可動指です。
複雑な突起(歯)を持ちますが、
これも分類に重要な情報かもしれません。

20170320_9
20170320_10
こちらは鋏角固定指です。
突起(歯)の形が可動指とは異なりますね。

20170320_11
いきなりグロイ画像で申し訳ありませんが、
胴体部分の観察も続けなければなりません。
これは鋏角を取り外した後の胴体部分ですが、
透過光で観察すると、気門と周気管を観察できます。
周気管の形態も分類に重要です。

20170320_12
周気管と気門の拡大画像です。
周気管は気門周辺で湾曲せず真っ直ぐに伸びているので
ハエダニ科も除外できます。
残ったのはホコダニ科(Parholaspididae)です。

20170320_13
さらに周気管と気門を拡大した画像です。
これで1000倍です。

20170320_14
反対側の周気管と気門を撮影しました。
周気管内に空気が残留しているためにコントラストが高くなっています。

20170320_15
少しフォーカスを奥に持って行くと、
複雑に入り組んだ気管を観察できます。

さて次にホコダニ科内の詳細な分類に入ります。
まず、役立つのが先に観察した背板前端の画像です。

20170320_2_2
背板毛z1がなく、j1だけなので
カマゲホコダニ属か、ホコダニモドキ属に絞られます。

20170320_16
こちらは生殖板を中心に拡大した画像です。
画像左端は胸板、右端は腹肛板です。
矢印の先に小さな後胸板を確認できます。
ホコダニモドキ属には後胸板がないので、
カマゲホコダニ属(Gamasholaspis sp.)としてよいかもしれません。

ただし背板毛の数など、今回記載しなかった重要な情報が他にもあるので、
ここではホコダニ科(Parholaspididae)、カマゲホコダニ属?
(cf. Gamasholaspis sp.)としておきます。
なにしろ超初心者なので属レベルの同定は怖いです。

2017年3月12日 (日)

駿河湾(静岡市~焼津)の海岸生物

更新があいてしまいました。
この間に、静岡市~焼津の駿河湾で海岸生物の採取を行いました。


Dscf3296

写真は焼津港の親水公園 ふぃしゅーな です。
この場所は人工の潮だまりで、写真は干潮時の様子です。
人工海岸とはいえ駿河湾の北側は磯がなく砂浜が多いので
このような場所は助かります。

親水公園“ふぃしゅーな”では潮だまりの岩の上に堆積した泥の中から、
ブラブラソコエビ(Aoroides curvipes)、
アリアケドロクダムシ(Corophium acherusicum)、
トゲワレカラ(Caprella scaura)
などが見つかりました。

_3_x2

ブラブラソコエビ(Aoroides curvipes)です。
強大な第1咬脚が特徴です。

_7_x2

アリアケドロクダムシ(Corophium acherusicum)です。
腹節や第2咬脚の形状から同定しました。
詳細は後に報告します。

静岡市でも干潮時の泥の中から海岸生物を採取しました。
清水港~由比の近辺では
アリアケドロクダムシ(Corophium acherusicum)、
カマキリヨコエビ(Jassa 属)、
ヒゲナガヨコエビ属(Ampithoe 属)
などが見つかりました。

_41_x2
カマキリヨコエビ(Jassa 属)です。

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ヒゲナガヨコエビ属(Ampithoe 属)です。
種不明です。胸脚などの詳細は後ほど。

特筆すべきなのは
三保でプランクトンネット採取を行ったところ、
ウミグモが採取されたことです。
ウミグモは浮遊生ではないと思いますが、
小さいので流されてしまったようですね。

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今回採取されたウミグモです。
分類はまだ検討していません。
右側が頭だと思っていたのですが、左側が頭のようです。
不思議な生物です・・・。

_1_x4_02

こちらは同じウミグモが何かの拍子に脚を全部伸ばしたところです。
胸部が小さくてクモとはかなり形が違いますね。

静岡では、サクラエビと生しらすを食べました。
乾燥サクラエビのかき揚げも美味しいですが、
生サクラエビのかき揚げも美味しいですね。

2017年2月19日 (日)

トゲダニの鋏角(きょうかく)

もうすぐ海岸サンプリングも始まるのですが、
今年の花粉症もスタートしました。
週明けにも耳鼻科に行って薬をもらわなければなりません。

さて、日本産土壌動物 分類のための図解検索によれば、
トゲダニの分類には腹面の胸板、生殖腹板、肛板の観察の他に
鋏角の観察も必要とのことです。

鋏角(きょうかく、と読みます)とは
カブトガニ、ウミグモ、クモ、ダニ、ザトウムシ、サソリ、カニムシなどの
鋏角亜門の節足動物が持つハサミ状の口器です。
よく、間違われやすいのですが、
サソリやカニムシの大きな鋏脚は鋏角ではなく、触肢です。
鋏角は頭の先の一対の角のような部分です。
とはいえサソリやカニムシの鋏角は大きいので観察は容易なのですが・・・。

ダニ(トゲダニ)の鋏角は下の写真の矢印の先にあります。
先端が少しオレンジ色になっている部分です。
そのままの状態では詳細な観察はできません。
解剖して鋏角を取り出す必要があります。

1

このダニは今月はじめに川崎市で採取したトゲダニですが、
未成熟個体なのか胸板、生殖腹板、肛板を観察できませんでした。
したがって細かな分類は不明なのですが、
解剖して鋏角を取り出すことにします。

まず、下の写真の緑色の位置で切断します。
2

このダニの鋏角は収納可能らしく、
上側の鋏角が顎体部に引っ込んでいます。
細かな作業は実体顕微鏡を見ながら行いました。
メスの代わりに昆虫採集用の虫ピンを使用します。
乾くと変形してしまうので、水滴の中で作業します。

3

取り出した鋏角です。
この画像を撮影した倍率は100倍なのですが、
高倍率用のレンズとコンデンサーに切り替えます。

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500倍で観察した鋏角です。
鋏角は可動の“可動指”と不動の“固定指”でできています。
可動指の付け根には毛束と呼ばれる細かな棘の束があります。
この毛束の構造も分類に重要なようです。

5

上の写真は固定指に焦点を合わせた画像です。

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上の写真は可動指を1000倍で観察した画像です。
歯が3個有りますね。

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上の写真は固定指を1000倍で観察した画像です。
三角形の歯が2個と、四角形?の歯が2個有ります。

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固定指の焦点を変えてみると、10μm程度の長さの
短い棘が見えてきました。
感覚毛かもしれません。
あるいは他の機能があるのかも?

今回はなんとか鋏角を観察できましたが、
かなり細かな作業でした。
毎回成功する自信はないですね。

2017年2月12日 (日)

土壌昆虫(コウチュウ目) 2017年1月群馬県

今年の1月に群馬県藤岡市で土壌を採取しました。
トビムシやササラダニに混じって多数のコウチュウを採取できました。
厳冬期なので土壌中で冬眠していたのかもしれません。

オサ堀に近い方法です。オサ堀と違うのは獲物のサイズかもです。
今回はツルグレン装置を使ったので獲物は数mm以下のサイズです。

1
このコウチュウはハネカクシ科(Staphylinidae)と思われます。
ハネカクシ亜科(Staphylininae)まで絞れるかもしれません。
羽が小さいのでコウチュウらしくないですね。
“日本産土壌動物 分類のための図解検索”によれば、
日本にはハネカクシ科2262種、ハネカクシ亜科が288種存在するそうです。
全くもって種レベルの同定ができる気がしません!

2
こちらもハネカクシ科(Staphylinidae)と思われます。
前種よりも腹部が太いです。

3
裏側です。

4
なんとなくゾウムシに似ているのですが、確信がないです。
昆虫は難しいです。
立体的なので撮影も難しいです。

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こちらは科レベルでもよくわかりません。
体長1mmくらいなので、ミジンコ並みの大きさです。

昆虫は難しい・・・。

2017年2月 5日 (日)

コナダニモドキとダルマダニとマダニ

先日、日本産土壌動物 分類のための図解検索 [第二版]
青木淳一編著を購入しました。
この図鑑のおかげで今まで分類不明だったダニの幾つかが
科レベルで同定できたので紹介します。

まずはコナダニモドキです。
群馬県中之条町の吾妻川沿いの土からツルグレン装置で抽出しました。
ツルグレン装置といっても簡易的なもので、
プラスチック製容器に水を入れて、ザルを被せただけものものです。
プラスチック製とザルの周りはアルミホイルで遮光しています。
これをベランダに1週間ほど放置しておくと
プラスチック製容器の水の中にダニやトビムシが捕獲されています。

本格的なツルグレン装置は上から白熱電球を照射して、
短時間で土壌動物を抽出するのですが、
白熱電球は発火の危険もあるので簡易的な装置を使っています。

さて、写真のダニはコナダニモドキ科(Malaconothridae)と思われます。
スケールは200μmです。
形態や大きさはオオコナダニモドキ(Trimalaconothrus nipponicus)
に似ていて、ササラダニとしては比較的大きい感じです。
前体部に一対の凹みがありますが、胴感毛を確認できません。
「日本産土壌動物 分類のための図解検索」によれば、
コナダニモドキ科には胴感毛がないとのことなので問題ないと思います。

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こちらは腹面から観察した画像です。
スケールは200μmです。

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160816__5_x100_2560x1920_200m_01

基節板(脚の付け根の板状の部分)が前後に分離しています。
この特徴はコナダニモドキ科に一致します。
腹板は狭いことも特徴です。

コナダニモドキはササラダニの1種で、
土壌中の落ち葉などを捕食しています。

つぎは同じく中之条町から採取したダニです。
ダルマダニ科(Pachylaelapidae)と思われます。
このダニはトゲダニのなかまで、おそらく肉食性です。
生殖腹板はダルマダニ属(Pachylaelaps)に似ています。
スケールは500μmです。

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160816__1_x40_2560x1920_500m_02

ダニは立体的なので、
背中の部分と脚の部分を同時に焦点を合わせられないので
写真撮影は苦労します。

こちらは腹面から観察した画像です。
スケールは500μmです。

160816__1_x40_2560x1920_500m_03

胸板、生殖腹板、肛板の形態はダルマダニ型です。
ダルマダニなどのトゲダニのなかまは、
腹側の模様が分類に重要です。

ちなみに動物の血を吸うのはこのタイプのダニです。
悪名高いマダニです。
種類を調べているところです。

採取地は秘密にしておきましょう。

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2017年1月29日 (日)

カマキリヨコエビ 2016年9月北海道

今回はカマキリヨコエビ(Jassa 属)です。
カマキリヨコエビの雄は第2咬脚が大きくて、
かっこよいです。

かっこよいのですが、
何しろ昆虫のカマキリに比べると小さいので(3mmくらい)
男の子たちの興味を引くことはないでしょう・・・。

今回解剖する個体はこちらです。
北海道で採取しました。
第2触覚柄部は第1触覚よりも長いことが特徴です。
第2咬脚が大きいので雄です。
体長は3.4mm、スケールは200μmです。

Im160919___80_x3_2560x1920_500m

まずは第3尾肢です。

Im160919___80_3_x100_2560x1920_100m

スケールは100μmです。
先端にカギ爪のような構造があります。
日本海岸動物図鑑[II]のカマキリヨコエビ
Jassa slatteryi)のイラストに似ています。

次に第1咬脚です。
スケールは200μmです。

Im160919___80_1_x40_2560x1920_200m

掌部に2個の膨らみがあります。
これも特徴かもしれません。

第2咬脚です。
スケールは200μmです。

Im160919___80_2_x40_2560x1920_200m

第6節(前節)の基部近くの突出部(矢印の部分)が
棒状に伸びています。
これはカマキリヨコエビの特徴です。

次は第3胸脚です。
スケールは200μmです。

Im160919___80_3_x100_2560x1920_200m

分かりにくい特徴ですが、
第4節(長節)の末端(矢印の部分)が第5節(腕節)の
先端付近まで伸張しています。
この特徴は日本海岸動物図鑑[II]のカマキリヨコエビ
Jassa slatteryi)の記載に一致します。

次は第4胸脚です。
スケールは200μmです。

Im160919___80_4_x100_2560x1920_200m

第3胸脚と同じく、
第4節(長節)の末端(矢印の部分)が第5節(腕節)の
先端付近まで伸張しています。

第5胸脚です。
スケールは200μmです。

Im160919___80_5_x40_2560x1920_200m

第6胸脚です。
スケールは200μmです。

Im160919___80_6_x40_2560x1920_200_2

第7胸脚です。
スケールは200μmです。

Im160919___80_7_x40_2560x1920_200m

今回は同定が上手くいった方だと思います。
日本海岸動物図鑑[II]のおかげですね。

2017年1月22日 (日)

ハマトビムシ上科 2016年4月 新潟県柏崎市

今回は久しぶりにヨコエビです。
2016年4月に新潟県柏崎市で採取しました。
この種は触覚の柄部や第1咬脚に特徴があります。

 

160505_43004__63_x1_2560x1920_2mm

 

スケールは2mmです。
ハマトビムシ上科(Talitroodae)なのは間違いないと思います。
モクズヨコエビ科(Hyalidae)に似ているのですが、
詳細な同定には第3尾肢や尾節板を確認する必要があるらしいです。
とりあえず、今年のサンプリングでこの種が見つかったら
忘れずに第3尾肢と尾節板を確認しましょう。
今年はハマトビムシ上科の同定を進めたいです

 

まず第1触覚です。
柄部は濃い色で太くなっています。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63_1_x5_2560x1920_500

 

続いて第2触覚です。
第2触覚も柄部は濃い色で太くなっています。
鞭部は12節です。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63_2_x5_2560x1920_500

 

こんどは第1咬脚です。
ゲンコツのような形で特徴的です。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63_12_x40_2560x1920_5

 

第2咬脚です。
よく発達しているの雄の個体と思います。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63_2_x5_2560x1920_5_2

 

第3胸脚です。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63_3_x5_2560x1920_500

 

第4胸脚です。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63_4_x5_2560x1920_500

 

第5胸脚です。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63_5_x5_2560x1920_5_2

 

第6胸脚です。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63_6_x4_2560x1920_500

 

第7胸脚です。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63_7_x4_2560x1920_500

 

最後に尾肢です。
スケールは500μmです。

 

160505_43004__63__x5_2560x1920_500

 

残念ながら、側面からでは内枝、外枝の構造が分かりにくいです。
特徴を調べるには正面から観察する必要がありそうです。
第2尾肢、第3尾肢に棘がありますが、
これは同定に有効な特徴かもしれません。

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