2019年8月19日 (月)

井の頭公園と昭和記念公園、水の華(アオコ):2019年7月

7月に、井の頭公園と、昭和記念公園に行ってきました。

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井の頭池です。
綺麗な風景ですね。
でも何かが変です。
何が変かと言うと・・・。

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水の色が、緑色過ぎますよね。
まるで絵の具を垂らしたようです。
透明度は低く、水の中は全く見えません。
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場所によっては水面に緑色の模様が見えます。
緑色の墨流しのようです。

この緑色の正体は、このプランクトンの大発生が原因です。
このプランクトンはミクロキスチス(Microcystis cf. aeruginosa)と思われます。

下の写真は実際に井の頭池で採取したミクロキスチスです。

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ミクロキスチスは藍藻の1種で、水に匂いを付けることから嫌われています。
ミクロキスチスなどの藍藻が大発生すると、
先ほどの写真のように水面が緑色になります。
この状態を“水の華”と呼びます。
綺麗な名前ですね。
この状態の水をよく観察すると、水面に無数の緑色の粉が漂っているように見えます。
これを“アオコ”と呼びます。

夏期の高水温期に富栄養化した池や沼で多く発生するので、
水質悪化の指標にもなります。

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こちらは昭和記念公園の水鳥の池です。
見たところ、アオコも水の華も発生していないようでした。
ただ、プランクトンネットで水を濃縮すると・・・。

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こちらが低倍率で見た昭和記念公園、水鳥の池のミクロキスチスの群体です。
右側の写真では、2種類のミクロキスチスを見ることができます。

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こちらの写真はMicrocystis wesenbergiiと思われます。
細胞の集まり(群体)を包む寒天質の層をはっきり見ることができるのが特徴です。

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こちらはMicrocystis aeruginosaです。
群体を包む寒天質の層が不明瞭です。
日本水道協会の“日本の水道生物 -写真と解説- ”によれば、
Microcystis aeruginosaの仲間は動物に対して毒性のあるものがあり、
濃厚な水の華を飲んだ牛や馬が死亡した事例が外国で報告されているそうです。
ただ、日本ではそのような現象は起きていないとのこと。
とはいえ、水の華が発生すると青草臭が発生するので、
観光地にミクロキスチスの大発生はない方が良いですね。

今後の水質浄化に期待です。

2019年8月 5日 (月)

ヒラタオニダニ(Platynothrus peltifer):2019年3月 伊豆半島

夏休みですね!
自由研究のテーマに土壌生物などいかがでしょうか?

こちらは2019年3月に伊豆半島で採取したヒラタオニダニ(Platynothrus peltifer)です。

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ヒラタオニダニはオニダニ科に属しています。
日本土壌動物によれば、体長0.77mm、前体部に明瞭な穴刻印、背板に浅い穴刻印、
背板上には1対のツヤのある畝が走る、と記載されています。

日本産のものは亜種、japonensisとされ、背板上の穴刻印は不明瞭だそうです。

写真の個体の体長は0.72mm、日本産土壌動物ではヒラタオニダニの体長は、
0.77mmとされているのでほぼ一致します。

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こちらは100倍の画像です。
畝状の構造を明瞭に観察できます。

2019年7月28日 (日)

トゲダニとケダニの画像集を更新しました

トゲダニの画像集と、ケダニの画像集を更新しました。
どちらも掲載種数は少ないですが、体裁は整ってきました。

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こちらはトゲダニの1種のハエダニです。
トゲダニの色はこのような黄色~茶色のことが多いです。
分類学的には第IIからIV脚基節外側方に気門を持つことで、
ほかのダニ類から区別されています。

トゲダニは一般には線虫や、トビムシ、ハエの卵や幼虫、
さらに他のダニなどを食べています。
土壌生物の生態系のなかでは捕食者に相当します。

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こちらはケダニの1種のイソテングダニです。
ケダニは赤や黄色など目立つ色のものが多いです。
分類学的には気門が胴部の前端部近くにあることが特徴です。
大部分が捕食者です。
土壌生物には珍しく、眼がある種類が多いです。

今回の更新ではコナダニマダニも追加しました。
ただ掲載種数はごく少数です。

 

2019年7月 2日 (火)

ササラダニ画像集の更新とネンネコダニ


ササラダニ画像集を更新しました。
土壌生物画像集の一部(約1/3)ですが、
まとめて更新するのも大変なので部分的に更新しました。

微細藻類の画像集と同じく、
Google Chromeで開けることを確認しています。

ササラダニは土の中で落ち葉などを食べている分解者です。
他のダニや、その他の捕食者に一方的に食べられてしまう生物なのですが、
攻撃能力が無い代わりに、防御に特化しています。
外骨格を硬質化して、さらに弱点となる関節部分に盾などを作っています。
ただ、体を鎧で覆っている代償として動きは遅いです。

非常に多様化した生物であり、形も様々です。
ササラダニ画像集として複数種類をまとめて眺めてみると、
多様性の大きさに感心します。

さて、ついでなので、
伊豆半島で採取したササラダニも紹介しておきます。

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このササラダニはネンネコダニ属(Peloptulus sp.)と思われます。
日本産土壌動物のワダツミネンネコダニ属(Peloptulus wadatsumi)の
イラストに似ています。
日本産土壌動物によれば、ネンネコダニ属はエンマダニ属に似ているものの、
翼状突起の前端が背板前縁より前に突出し、後縁はフリソデダニ科の
ようにたれることが違いとのことです。

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こちらは100倍(x10)の対物レンズで観察した画像です。
分解能は40倍(x4)よりも高いのですが
焦点深度が浅いのが難点ですね。

2019年6月16日 (日)

カニダマシに寄生していたエビヤドリムシ:伊豆半島 2019年3月

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今回もエビヤドリムシの話です。
3月に伊豆半島の下田で採取したカニダマシに
エビヤドリムシが寄生していました。

宿主のカニダマシはおそらくイソカニダマシだと思います。
カニに似ていますが、異尾下目、ヤドカリのなかまです。
ハサミを含めて脚が8本しか見えないですよね。
ヤドカリは十脚目に属していて、
その名の通り脚は10本あるのですが、
尾側の一対の脚は小さくなっていて目立ちません。
また、よく見ると触覚が長く、
カニとは大きく違います。

つまり、カニダマシはカニではなくヤドカリの仲間で、
そこにエビヤドリムシが寄生していました。
カニ、ヤドカリ、エビとややこしいですね・・・。

右側の写真はデジカメ(TG5)でマクロ撮影したエビヤドリムシです。
こんな形をしていますが、
ダンゴムシやダイオウグソクムシと同じ等脚類のなかまです。

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こちらもデジカメで撮影したエビヤドリムシで、
腹側から撮影しています。
体節があるのでかろうじて甲殻類とわかります。

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こちらは寄生されていたカニダマシ。
というか、寄生虫の様子です。
矢印の位置にエビヤドリムシの一部が見えています。
家に持ち帰って詳細に観察してから、
エビヤドリムシの存在に気が付きました。

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こちらは同じエビヤドリムシを実体顕微鏡で撮影した画像です。
少しずつ焦点をずらしながら撮影しました。
前回のモエビに寄生していたエビヤドリムシとは
ずいぶん形が違います。
モエビに寄生していたエビヤドリムシは左右非対称でしたが、
今回のヤドリムシは、ほぼ左右対称です。
体の周囲にひらひらのヒレのような構造があるのも特徴です。
腹部(右側)のヒレ状構造は特に目立ちますね。

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少し拡大した画像です。
体の両側に胸脚があるのがわかります。

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胸脚は斜めから見たほうが分かりやすいかもしれないですね。

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こちらは暗視野照明で撮影した画像です。
暗視野のほうがヒレ状の構造が分かりやすいです。
右下の画像は腹側から観察した画像です。
腹側から見ると左右非対称であることが分かります。

2019年6月 7日 (金)

モエビに寄生していたエビヤドリムシ 2019年3月 伊豆

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エビヤドリムシという生物を知っているでしょうか?
とてもマイナーな生物だとは思いますが、
不思議な魅力のある甲殻類です。

エビヤドリムシはエビやカニに寄生する甲殻類で、
ダンゴムシ、ワラジムシ、ダイオウグソクムシなどと同じ
等脚類のなかまです。
等脚類のなかにヤドリムシ亜目という分類群がいますが、
これは別の寄生生物で、エビヤドリムシはウオノエ亜目に属しています。
このあたりは最近、分類の亜目、科レベルの分類の再編があったようで、
甲殻類の画像集のページ構成も修正が必要かもしれません。

さて、写真のヤドリムシは伊豆半島で採取したモエビに寄生していました。

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親子みたいに見えますが、
寄生者と宿主です。
哺乳類などの寄生虫と比べて、
宿主に対してとても大きいです。
実際、このモエビは少し弱っていました。

モエビの頭胸部側面が青色に腫れていますが、
この部分には鰓があって、エビヤドリムシはそこに寄生していました。

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これが寄生場所から外れかかっている状態です。
慌てて写真を撮ったので露出不足です。

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この4枚の写真のうち、
右側が腹側、左側が背側なのですが、
ほとんど同じです。
等脚類とは思えないですね。
というか、これだけ見たら甲殻類とも思わないかも。
変形が著しいのが寄生生物の特徴ですね。

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こちらは腹側を暗視野照明と明視野照明で撮影した画像です。
左側が暗視野、右側が明視野です。
明視野のほうが分かりやすいですが、
エビヤドリムシにも一応、脚があります。
矢印の部分です。
他の等脚類と同じく7対の胸脚があるみたいですね。

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こちらの写真は脚の拡大画像です。

さて、このエビヤドリムシ。
エビヤドリムシ科に属しているのは間違いないですが、
属レベルの分類はさっぱりわかりません。
文献もあまりないですし、
そもそもエビヤドリムシに興味のある人が少ないかも。

ただ、寄生生物は面白いですね。

2019年5月26日 (日)

微細藻類の画像(植物プランクトンの顕微鏡写真集)を更新しました。

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約3年ぶりに微細藻類の画像
(植物プランクトンの顕微鏡写真集)を更新しました。

約700枚くらい画像を追加したのですが、
もともと5000枚以上の写真があったので、
10%~20%くらいの更新・追加です。

ここのところ甲殻類とか土壌生物に力を入れていたので、
藻類画像の更新は少なめです。

とはいえ、新しいグループとして
シャジクモの画像集ココリス(円石藻の化石)の画像集を追加しています。
他、ミクロコレウス(藍藻)ファコタス(緑藻)
ビテロクラミス(緑藻)ポリエドリオプシス(緑藻)なども追加しました。

もちろん、ボルボックスミドリムシなど既存のページにも
新しい写真を追加しています。

あと、今回からGoogle Chromeでレイアウトの
チェックを行うことにしました。
いままではIEでした。
Google Chromeで微細藻類の画像のサイトを表示すると、
ときどき文字サイズやフォントがおかしくなるバグがあったので、
これらの修正を行いました。

サラリーマン稼業の合間にちまちまと作業しているので、
なかなかデータベースの構築が進みませんが、
今後とも宜しくお願いいたします。

2019年5月12日 (日)

書評:へんなものみっけ! 著者:早良朋氏

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昨日、国立科学博物館の大哺乳類展2を見学してきました!
鎖骨の有無などに関して骨格を比較してきました。
これだけの標本をまとめて見られるのは科博ならではですね。
スタッフの皆様、ありがとうございます。

さて、博物館の漫画といえば“へんなものみっけ!”です。

博物館で働く人々の日常を描いた作品です!
博物館というと色々な生物、物、資料を展示している場所という
イメージが強いですが、研究施設としての側面も大きいです。

いつ、どこに、何かが生息していた(存在していた)ことを
標本や資料として記録に残して
世界中の研究者や後世の研究者が利用できるようにする、
そういったことが博物館の使命だと思います。
単にコレクションを集めているだけじゃないんですよね~。

自然史系の博物館の基本にあるのは自然科学や分類学です。
最近は必要の無い学問扱いされることも多いですが、
そもそも人間にとっては最も大事な学問です。

例えば縄文人などの狩猟採集時代の人々は、
何が食料になって、何が毒かを知らなければ生きていけないわけで
それって分類学の始まりだと思います。

また、試料採取やコレクションも人間の本能と思います。
昔は昆虫採集で本能を満たしていましたが、
今は「ポケモン」ですね。
ポケモンは現代版の昆虫採集な気がします。

さて、話はだいぶ脱線しましたが、
「へんなものみっけ!」には、なりたかった私の理想の人生がありました。

登場人物も魅力的で、キヨス先生をはじめ、海洋生物や植物、
鉱物学などの様々な研究者が登場します。
彼らの楽しいこと、悩んでいること、大事なことに対して
いちいち感情移入してしまいます。
作者の早良朋氏のカバーエリアが非常に広いことに驚きです。

そして忘れてはいけない、薄井君、彼の自分探しも重要なテーマです。
彼の事務能力が私に備わっていたら、
私も研究者として生き残っていたかもしれない・・・。

その他にもポスドク問題なども書かれていて
この本がベストセラーになるような日本なってほしいなあ、と思いました。

個人的には「ツバメの神様」の話が好きです。
中学生のころ河原でシラサギを追い回していたことを思い出しました。

「ねこのしっぽラボ」でも、
たくさんの“いたんだ”を残していきます!

2019年5月 5日 (日)

ノコギリケンミジンコ(Eucyclops serrulatus)一碧湖:2019年3月

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ケンミジンコ第2段です!!
今回はノコギリケンミジンコ(Eucyclops serrulatus)です。
やはり伊豆半島の一碧湖で採取しました。
前回も書いた通りケンミジンコはとにかく動くので
生きている状態での撮影が難しいです。
とはいえ、エタノールで麻酔すると触覚が変な感じに曲がってしまうので、
やはり生きている状態で撮影したいです。

今回は奇跡的にフォーカスを変えての連続撮影に成功しました。
弱っていたのかもしれません。

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背面から同じ個体を撮影した画像です。
左右にある袋状の構造は卵のうです。

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こちらは側面です。
ケンミジンコは水が少なくなると横向きになってしまうので
側面の撮影機会は多いです。

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こちらは腹面です。
背面、側面、腹面の観察が終わったところで、
エタノールで麻酔して解剖します。
解剖は第4胸節と第5胸節の間に針を入れて切断するのですが、
今回はやや狙いを外してしまいました。
関節というよりは、第5胸節に針を刺してしまったようです。

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とりあえず切り離した後体部です。
ノコギリケンミジンコは腹部が長いそうです。
たしかに、前回のアサガオケンミジンコの腹部よりも細長いですね。
ただ、切り方が悪かったのか、受精嚢(貯精嚢)がわかりません。

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ノコギリケンミジンコかな?と思ったら尾叉を観察します。
2本の叉肢の外縁を観察するとギザギザの鋸歯があります。
この叉肢外縁の鋸歯はノコギリケンミジンコの特徴です。
日本淡水プランクトン図鑑のイラストにも一致するので、
この時点でノコギリケンミジンコしました。

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続いて第5脚です。
相変わらず貧弱ですが、
アサガオケンミジンコの第5脚とはかなり違いますね。
日本淡水プランクトン図鑑のイラストにも一致します。

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こちらは第4脚です。
なのですが、第4脚を外すときに第3脚もついてきてしまい、
どちらがどちらか分からなくなってしまいました。
なので第4脚?とします。

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第4脚?の連結板と内肢先端の末節です。
日本淡水プランクトン図鑑の記載と矛盾しません。
内肢先端の太い棘の長さが異なるところは、
日本淡水プランクトン図鑑のイラストに一致します。

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こちらが第3脚?です。
第4脚と第3脚は同じ形なので
はっきり言って区別できません・・・。

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第3脚?の連結板と内肢先端の末節です。
内肢先端の太い棘の長さが異なっていて、
こちらが第4脚だったとしても
日本淡水プランクトン図鑑の記載に一致します。

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ついでに第1触覚です。
アサガオケンミジンコのような膜状の構造はありません。

今回の解剖では残念ながらいくつか失敗をしてしまいました。
要領は分かったので、次は大丈夫だと思いますが、
もう少し練習が必要ですね。

2019年4月21日 (日)

アサガオケンミジンコ(Mesocyclops leuckarti):一碧湖 2019年3月

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3月に伊豆半島の一碧湖で採取したケンミジンコです。
解剖を行った結果、
アサガオケンミジンコ(Mesocyclops leuckarti)と同定しました。

ケンミジンコは科レベルでの同定は容易なのですが、
属・種レベルでの同定は難易度が高いです。
というのも種レベルの同定には第4脚、第5脚や
受精嚢(貯精嚢)の拡大観察が必要なのですが、
これらの観察には解剖が必要なのです。

具体的には第4胸節と第5胸節の間くらいでケンミジンコを切断し、
第4脚を全体部から分離すればよいだけなのですが、
ケンミジンコ自体が1mm程度の生物なので実体顕微鏡下での解剖が必須です。

技術的には一般的なヨコエビの解剖よりも難易度が高く、
ダニの解剖よりは容易です。

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ケンミジンコは生きている状態での撮影も難しいです。
動きが速いのでフォーカスや位置合わせを行っている間に
どこかに行ってしまいます。
動きを封じるために水の量を少なくすると写真のように横向きになってしまいます。

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こちらは原面から見た画像です。
側面や腹面からケンミジンコを観察すると脚が発達していることがわかります。
この脚を一気に動かして水中をダッシュします。
ピペットで吸い込もうとしても水流に逆らって逃げてしまいます。
ただ、捕まえる方法は意外に単純で、
ケンミジンコが入っているビーカーの水を少しずつ抜いていくと、
水がほとんどなくなって自由に動けなくなるまでビーカーに留まるので
その状態でピペットに吸い込みます。
ケンミジンコの脚力か人間の知恵か、みたいな勝負です。

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さて、こちらは解剖後の結果です。
太い部分は腹部、二股になっている場所は尾叉と呼ばれます。
腹部には幾つかの節がありますが、その中でもっとも長い節は
生殖複合節と呼ばれます。
ここには受精嚢(貯精嚢)があります。

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受精嚢(貯精嚢)の拡大像です。
といっても、この写真ではどこが受精嚢か分からないですね・・・。
写真中央あたりに多角形の構造が多数集まった場所がありますが、
そこが受精嚢で、その輪郭をよく見るとアサガオの葉の形をしています。
つまり、受精嚢の形がアサガオの葉に似ているので
『アサガオケンミジンコ』の名前が付いたわけですね。

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受精嚢よりも頭部側に第5胸節があります。
ここには第5脚があります。
写真は第5脚ですが、非常に貧弱です。
ただ、第5脚は種による違いが大きいので分類的には重要です。
日本淡水プランクトン図鑑のイラストと比較したところ、
羽毛状の棘が見難いもののアサガオケンミジンコとして
矛盾しないことがわかりました。

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こちらは第4脚です。
甲殻類の脚は二肢型といって2本セット
(内肢と外肢)になっているのが基本なので、
左右合わせて4本あります。
第4脚は左右の脚の間の第4脚連結板と、
内肢の先端の末節を観察します。

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第4脚連結板の拡大画像です。
たしか、左右の肢を連動させるための構造と聞いた覚えがあります。
ここも種による違いが大きいそうです。
一応、日本淡水プランクトン図鑑のイラストと同じような形でした。

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こちらは第4脚内肢末節です。
こちらも日本淡水プランクトン図鑑のイラストと同じような形でした。

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さて、最後に唐突ですが、第1触角の先端部です。
今までの解剖と全く関係ないですが、
アサガオケンミジンコ(Mesocyclops leuckarti)の場合、
ここに特徴があります。

すごく不明瞭な写真で申し訳ないのですが、
第1触覚の先端には薄い膜状の構造があり、
一部に半月型の切れ込みがあります。
この構造はアサガオケンミジンコ(Mesocyclops leuckarti)の特徴です。

結局、第1触覚を最初に見ておけばアサガオケンミジンコと
同定できるじゃないか、という話なのですが、
それであっても解剖して確認しなければならないのが分類学なんですよね。
とはいえ、アサガオケンミジンコかな?と思ったら
まずは第1触覚を観察すればよいのかな、と思いました。

 

 

 

 

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