フォト
無料ブログはココログ

2017年10月15日 (日)

東京湾サンプリング 2017年9月 お台場

9月に東京湾(お台場)で夜間サンプリングを行いました。
金曜の夜のお台場はカップルでいっぱいでしたが、
そこに作業服+ヘッドライト姿で乗り込みました。

プランクトンネットではゾエアが大量に採取できました。
少数ですが、ウオジラミも採取できました。
ウオジラミを採取したのは初めてです。

岩の上には大きなフナムシ、
波打ち際にはヨコエビ(フサゲモクズ)がいました。

さて、ウオジラミです。


01

金魚などの淡水魚に寄生するチョウという甲殻類も
“ウオジラミ”の別名をもっているので紛らわしいですが、
今回紹介するウオジラミは海水魚に寄生するカイアシ
(Calididae;カリグス科)のなかまです。
ウオジラミは普通は魚の体表に寄生して体表から
粘液や血液を食べています。
なので、プランクトンとして見つかることは希だと思うのですが、
今回は複数個体見つかりました。

02

こちらもウオジラミです。
種や属レベルの同定は不勉強でよく分からないです。

03

こちらもウオジラミです。
上の写真のウオジラミと形態が異なっているので
最初は雌雄の差かと思ったのですが、
どうやら種が違うようです。
Nob!!氏のブログ、“Nob!!の勝手に甲殻類 ~ミジンコからタカアシガニまで~
続・ウオジラミ のページで紹介されている
Caligus undulatus Shen & Li, 1959に形態が良く似ています。
Nob!!氏は東京湾でプランクトンとして採取したそうなので、
採取場所も、採取したシチュエーションも良く似ています。

031

こちらはCaligus undulatusと思われるウオジラミの先端部分です。
眼のように見えるのは吸盤なんだそうです。

032

こちらは裏側の顎脚を拡大した画像です。
これで魚にしがみついたりするのでしょうか。

04

こちらは同時に採取したウオジラミの幼生(Copepodid)です。
幼生まで見つかったので、ウオジラミがこのあたりで
繁殖しているのは間違いないでしょう。

Photo

さて、こちらはウオジラミと同時に採取したゾエアです。
というか、お台場の海はゾエアだらけでした。
近場でカニの産卵があったのでしょう。

_

こちらは岩の上で採取したフサゲモクズ(Hyale barbicornis)の雄です。
まとまった数が採取できたので雄雌の解剖もできました。

__2

こちらはフサゲモクズの雌です。
雄と比較すると第2咬脚が小さいです。

次回は葛西臨海公園です。

2017年10月 1日 (日)

宮城県牡鹿半島と万石浦周辺サンプリングの続き

ずいぶん間が開きましたが、宮城県牡鹿半島と万石浦周辺サンプリングの続きです。

まずヨコエビの続きです。


01

ヒゲナガヨコエビ属(Ampithoe sp.)と思います。
わりとよく見つかるヨコエビです。

02

小型ですが、フサゲモクズ(Hyale barbicornisと思います。
第2触角に剛毛が密生していることが特徴です。
こちらも、わりとよく見つかるヨコエビです。
奥松島で採取したのですが、大型の個体は見つからず、
小型のものだけが採取できました。

03

アゴナガヨコエビ科(Pontogeneiidae)です。
遊泳力の強いヨコエビで、夜間のネットサンプリングでもよく見つかります。
昼間は海藻に付着しているようで、海藻をパシャパシャすると採取できます。
第2触角の柄部には青色の模様がありますが、
このタイプのアゴナガヨコエビは日本各地から見つかります。
体が透明で生きているときは内蔵が透けて見えます。
眼が大きいことも特徴です。

次はエビです。

01_2

小型のテッポウエビです。
干潮時の干潟で採取しました。
テッポウエビを採取したのは実は初めてです。

02_2

スジエビモドキ(Palaemon serrifer)です。
牡鹿半島で採取しました。
関東周辺では三浦半島に生息しています。
近縁種にイソスジエビ(Palaemon pacificus)がいますが
共存することは少ないようです。

ヤドカリです。

01_3

ユビナガホンヤドカリ(Pagurus minutus)と思われます。
普段、ヤドカリはあまり採取しないのですが、
たくさんのヤドカリがいたので採取したところ本種でした。
採取時はホンヤドカリ(Pagurus filholiだと思っていました。

Photo

カニ類のメガロパ幼生です。
種の同定は難しいです。

続いて等脚目です。

01_4

スナホリムシです。
遊泳力が強くピペットなどでの採取は難しいです。
夜間のネットサンプリングで採取できます。
珍しいものでは無いと思うのですが、採取は久しぶりです。
砂浜で採取しないからかもしれないですね。

02_3

イソコツブムシ(Gnorimosphaeroma rayi)です。
普通種ですが、大きなものはそれなりに少ないです。

03_2

シリケンウミセミ(Dynoides dentisinus)の雄です。
雄は腹部背面中央に突起がありますが、雌にはありません。
イソコツブムシよりは数が少ないです。

04

ヘラムシです。
種類までは分かりません。

宮城県サンプリングはこれで最後です。
次回、東京お台場サンプリングです。

2017年9月10日 (日)

甲殻類と土壌生物の画像集を更新しました。

1年3ヶ月ぶりに“ねこのしっぽ 小さな生物の観察記録”を更新しました。
今回は2015年~2016年に撮影した甲殻類と土壌生物の画像を追加しました。

甲殻類の画像集は全般的に新しい画像を追加していますが、
特に鰓脚綱と軟甲綱 端脚目 ヨコエビ亜目のデータが増えています。

鰓脚綱はミジンコや、カイエビ、それにホウネンエビを追加しました。

1im160326__2_x5_2560x1920_500m_02

ミジンコ(Daphnia pulexです。
スケールは500μmです。

2im150812_1_x40_2560x1920_01_500m
オオメミジンコ(Polyphemus pediculusです。
スケールは500μmです。

3im160625__19_1_x2_2560x1920_1mm_01
トゲカイエビ(Leptestheria kawachiensisです。
スケールは1mmです。

4im160708__26_2_x1_2mm
ホウネンエビ(Branchinella kugenumaensisです。
スケールは2mmです。

ヨコエビ亜目は、ヒゲナガソコエビ科、ユンボソコエビ科、メリタヨコエビ科、
ハマトビムシ科で、属レベルで同定できた分類群が増えました。

5im160916__1_x1_2560x1920_2mm
ヒゲナガソコエビ科のヒゲナガヨコエビ属(Ampithoe sp.)です。
スケールは2mmです。
ヒゲナガソコエビ科は他にイッケヒゲナガヨコエビ属(Peramphithoe sp.)
を追加しています。

6im160814__1_x2_2560x1920_1mm
ユンボソコエビ科のブラブラソコエビ(Aoroides curvipesです。
スケールは1mmです。
ユンボソコエビ科は他にもケナガブラブラソコエビ(Aoroides longimerus)、
ニホンドロソコエビ(Grandidierella japonicaなどを追加しています。

7im160716__1_x2_2560x1920_1mm
メリタヨコエビ科のメリタヨコエビ属(Melita sp.1)です。
スケールは1mmです。
ヤシャヒメヨコエビ属(Abludomelitaも追加しています。

8160502_42901__18_x1_2560x1920_2mm
ハマトビムシ科のニッポンスナハマトビムシ(Talorchestia nipponensisです。
スケールは2mmです。
ヒメハマトビムシ(Platorchestia platensis)、
ニホンヒメハマトビムシ(Platorchestia pachypus)、
ホソハマトビムシ(Paciforchestia sp.)も追加しています。

甲殻類の画像集では他にもアミやカイミジンコの解剖なども追加しています。

9im160814__2_x2_2560x1920_1mm
アミ目ヒペレリスロプス属(Hypererythrops sp.)です。
スケールは1mmです。

10crustacea2201010_0002

カイミジンコの解剖です。
詳細はホームページでご確認ください。

土壌生物の画像集は未だ試作段階です。
次の更新くらいで形になると思います。

今のところ、ササラダニトゲダニケダニトビムシのデータがほとんどです。
ただカニムシのデータを入れることができたのは良かったです。

11150523__1_x40_2560x1920_500m_03
カニムシの画像です。
スケールは500μmです。

画像の使用方法は今までと変わらずです。

よろしくお願いします。

2017年8月27日 (日)

万石浦と牡鹿半島のヨコエビ

宮城県牡鹿半島と万石浦周辺サンプリングの続きです。
今回はヨコエビの採取報告です。

01

こちらはケナガブラブラソコエビ(Aoroides longimerus)です。
解剖して第1咬脚、第2咬脚、第3尾肢の形状から確認しました。
牡鹿半島で2匹採取できました。

Photo

ハマトビムシ科です。
海岸から2km内陸の道路沿いの土壌から採取しました。
体長1cm程度です。
日本産土壌動物のマトリックス検索によれば、
オオハマトビムシ(Traskorchestia ochotensis)に近いのですが、
分布域や大きさなどに、かなり疑問が残ります。
ただ、1点、マトリックス検索の分岐を変えるとオカトビムシ
Platorchesita humicola)になります。
こちらのほうが安心感があります(^_^)

その分岐ポイントなのですが、
下の写真をご覧ください。

1

これは第6脚 基節板の写真なのですが、
わかりやすいように基節板だけを外したものが
さらに下の写真になります。

2

矢印の部分を“直角または突起がある”と解釈すると、
オカトビムシに流れて、“滑らかに湾曲する”と判断すると、
最終的にオオハマトビムシに流れます。

そこで、今度は絵合わせで確認するのですが、
日本産土壌動物のハマトビムシの図は詳細なので分かりやすいです。
日本産土壌動物のオカトビムシ(Platorchesita humicola)の
全体図から、第6脚 基節板に着目してみると、
上の写真に似ています。
今回採取したハマトビムシはオカトビムシ(Platorchesita humicola)と
同定して良さそうです。
ただ、日本産土壌動物の記載よりも若干大きいのが気になります。

一方の、オオハマトビムシ(Traskorchestia ochotensis)の図とも
比較してみると第6脚 基節板の形状が違います。

Photo_2

こちらはヒゲナガヨコエビです。
ヒゲナガヨコエビ属(Ampithoe sp.)で良いと思います。

01_2

こちらは万石浦の干潟で採取したメリタヨコエビです。
メリタヨコエビは小川 洋氏の“東京湾のヨコエビガイドブック”が詳しいです。

解剖してみたところ、第1触覚の副鞭は3節、第3腹側板は角張っていて、
第1咬脚は前節の上縁と下縁が突出していて、
第2尾節の背面に6本の棘があり、そして何より、
第2触覚鞭部に剛毛が多いので
ヒゲツノメリタヨコエビ(Melita setiflagella)でよさそうです。

02

こちらも万石浦の干潟で採取したメリタヨコエビです。

第1触覚の副鞭は1節で痕跡的、第3腹側板は丸みを帯びていて
小さな歯状突起が並び、第2尾節の背面に4本の棘があります。
“東京湾のヨコエビガイドブック”と第3腹側板の形状に違いがあるのですが、
シミズメリタヨコエビ(Melita shimizui)に近いです。
シミズメリタヨコエビ?(Melita cf. shimizui)としておきます。

03

こちらも万石浦の干潟で採取したメリタヨコエビです。
雌の個体した見つからなかったので詳細な同定ができないのですが、
第3尾肢の外枝が2節なのでヤシャヒメヨコエビ属(Abludomelita sp.)
としておきます。

Photo_3

こちらは牡鹿半島で採取した所属不明のヨコエビです。
一見、モクズヨコエビ科に似ているのですが、
第3尾肢が完全に双葉で、尾節板に切れ込みが無く、
カマボコ型をしてるところなどが異なります。

そのうち詳細な解剖結果をブログに載せたいと思います。

2017年8月21日 (月)

宮城県(万石浦、牡鹿半島)の微小甲殻類2017年8月

宮城県の牡鹿半島と万石浦周辺にサンプリングに行ってきました。
万石浦には干潟が発達していたそうですが、
東日本震災後は地盤沈下で干潟が水没してしまったそうです。
現在の干潟の微小甲殻類がどうなっているのか気になったので調べてみました。
また、牡鹿半島の海岸生物も調べました。

Dscf3566

万石浦に流入する小河川の河口に生じた三角州です。
前日が大雨だったので流量が増えている可能性があります。
写真は干潮時で、小さな干潟が現れています。

行ってみると小さなカニがたくさんいました。
カニは顕微鏡で観察するには大きすぎるので、
普段は採取しないのですが、
この場所で最も目立つ生き物を調べないのもどうなのか、
と思ったので数匹採取して調べてみました。

01

ハサミに毛の房があるので、どうやらモクズガニ科の幼体のようです。

02

こちらもモクズガニ科の幼体と思われます。
甲羅の模様が違っているのですが、同種かもしれないですね。
この種類が優占種になっていました。

Photo

こちらはコブシガニ科と思われます。
マメコブシガニに似ていますが、甲羅の輪郭が少し異なります。
幼体だからかもしれません。

今回のサンプリングではカニの他にも、多くの甲殻類を採取できました。

今回採取したヨコエビのリストを紹介します。

メリタヨコエビ属(Melita)2種、ヤシャヒメヨコエビ属(雌)(Abludomelita)、
ヒゲナガヨコエビ属(Ampithoe)2種、ケナガブラブラソコエビ(Aoroides longimerus)、
ドロソコエビ属(雌)(Grandidierella sp.)、カマキリヨコエビ属(雌)(Jassa)、
トゲホホヨコエビ(Paradexamine barnardi)、タテソコエビ科、アゴナガヨコエビ科、
フサゲモクズ(Hyale barbicornis)、所属不明種1種、ハマトビムシ科(土壌性)
大雨でなければもう少し頑張れたのですが、
こればかりは仕方がないですね。
写真は次回の更新で紹介します。

その他、ユビナガホンヤドカリ、ワレカラ、イソコツブムシ(Gnorimosphaeroma rayi)、
シリケンウミセミ(Dynoides dentisinus)、スナホリムシ科、
ヘラムシ2種、メガロパ、ゾエア、テッポウエビ科、スジエビモドキ、フジツボ
などを採取しました。

カニとスジエビモドキが1cmを超えるくらいで、
他は数mmの小さな甲殻類です。

さて、今回撮影した最大の甲殻類はこれです。

Dscf3544

どうやらイシガニ(Charybdis japonica)のようです。

Dscf3551

マジックペンに攻撃しています。
普段、顕微鏡サイズのものしか見ていないので恐ろしく大きく見えます。

Dscf3541

写真を撮ろうとすると威嚇してくるので、
なかなか普通の写真が撮れません。

Dscf3539

背後に回っても仰け反って攻撃してきます。

イシガニはワタリガニやガザミの仲間で、美味しいカニらしいのですが、
食べるには小さいし、顕微鏡で撮影するのは大きいし、
大雨が降っていてそれどころでは無かったので、
早々に海にお帰り頂きました。
海に帰ってからも威嚇していました。

そういえば、今回出会った最大の生物は鹿でした。
夜間のネットサンプリングの時に遭遇しました。
イノシシでなくてよかったです。

2017年7月 8日 (土)

“ガタガール”

Photo

小原ヨシツグさんの書かれた“ガタガール”面白かったです。
干潟に甲殻類の採取に行きたくなる漫画です。
ねこのしっぽラボは磯を主な採取ポイントにしているので、
干潟の経験は少ないのですが、干潟にも進出したくなりました。

 

あまりネタばれするのも何なんですが、
印象深いところをコメントします。

 

二巻の第11話の“遭遇”のところで小型甲殻類の夜間サンプリングの話がありました。
お話の中では生物を採取できなかったのですが、
これは実は理由があるかも知れません。

 

汐ちゃんは普段使いよりも目の細かい3mm目の網を用意しましたが、
実はこれでも目が大きすぎると思います。
夜間に泳ぎだすヨコエビやクーマ、アミ、ワレカラといった生物は、
大きいもので長さは数mmから1cm程度になりますが、
何しろ細いので3mm目の網は通過してしまうと思います。
いわゆるプランクトンネットのほうが良かったですね。
金魚用のアミでも代用できると思います。

 

ねこのしっぽラボはストッキングで作ったランクトンネットを使用しています。
プランクトンネットなら1mm程度の貝虫や、カイアシ、ゾエア、メガロパ、
コツブムシやキクイムシも採集できたことでます。
ウオノエなどの寄生性甲殻類の幼生も採取できます。
砂浜が近くにあるような環境ならばスナホリムシやコノハエビが稀に見つかります。

 

あと、干潟に潮が満ちた場所で採取していましたが、
経験的には港湾のような水深の深い場所や、
少なくとも干潮時でも水没している場所のほうが多く採取できるようです。
あと、街灯の近くであれば懐中電灯で海面を照らす必要もないかも、です。

 

そうはいっても本当に何も採取できないこともあるので、
汐ちゃんには何回かトライしていただいて、
良い採取ポイントを見つけてもらいたいです。

 

やっぱり長期連載が必要ですね。
期待しています!

2017年5月 8日 (月)

新潟サンプリング(糸魚川~柏崎)2017

一ヶ月ほど更新が開きましたが、
GWを利用して新潟に海岸生物の採取に行ってきました

今回の主目的地の新潟県糸魚川市能生(のう)です。

_01

写真の島は弁天島。
周辺は能生海水浴場になっていて防波堤があるため、
波の心配はありません。
防波堤の内側は藻場が発達しています。

今回は糸魚川市~柏崎市で採取を行いました。
2014年には柏崎市、2016年に新潟市~出雲崎市で
採取を行っていて、今回は最も西側のエリアです。

道中の妙高市 いもり池でミズバショウを見ました。
_02

初めてミズバショウを見ました。
思ったより小さいですね。
腰の高さくらいまであるものだと思っていました。
皆さん写真が上手いから大きく見えるのかな。

さて代表的な海岸生物と言えば、
フナムシ(Ligia 属)ですね。


_03_

ダンゴムシやワラジムシと並んで
目に付きやすい等脚類だと思うのですが、
あんまり人気がないですね。
ダイオウグソクムシと同じ等脚類なのですが。

_04_

さらに近くに寄ってみました。
触角を畳んでいるので警戒しているのかもしれません。
ただ、じっくりと近づけばフナムシは逃げません。

_042_


さらに近くから。
フナムシへの愛が感じられる写真です。
ただ、汎用型のデジカメで撮影しているので、
被写体深度が甘いです。
こういうときは一眼レフとかが欲しいですね。
フナムシの他の写真は下記のページをどうぞ。

フナムシの画像集
http://plankton.image.coocan.jp/Crustacea3-2-1-4-090.html

フナムシは採取しませんでしたが、
ヨコエビは採取しました。

今回の目的の一つはこのヨコエビです。
データ整理中なのでスケールの準備ができていません。

_05_hyale

モクズヨコエビ科の第3尾肢と尾節板を確認して、
属レベルの分類を行うことが目標でした。
今回、複数のモクズヨコエビ科を解剖しましたが、
全ての個体で第3尾肢は単枝、尾節板は双葉でした。
写真の種も含めモクズヨコエビ属(Hyale属)と思われます。
尾節板はかなり小さく、解剖が難しかったです。
詳細は後ほど記載したいと思います。

こちらのヒゲナガヨコエビも目的の一つです。
_06_peramphithoe


このヨコエビは下記のページで記載していました。

http://plankton.image.coocan.jp/Crustacea3-2-1-3-1-360.html
掲示板(今は廃止)でイッケヒゲナガヨコエビ属(Peramphithoe sp.)と
教えて頂いたのですが、今回、確定のために解剖を行いました。

_062_peramphithoe_4

第4脚の基節が楕円形なので、
イッケヒゲナガヨコエビ属(Peramphithoe sp.)で間違いないようです。

あとはこちら。
_07_palinnotus_thomsoni_japonicus

ミノガサヨコエビ科だとは思っていたのですが、
属レベルでの同定はできていませんでした。

http://plankton.image.coocan.jp/Crustacea3-2-1-3-1-310.html

このヨコエビも解剖を行いました。
第4底節板や、第7胸脚を観察した結果、
ゴクゾウヨコエビ(Palinnotus thomsoni japonicus)と
同定できました。

これまでの同定ミスも見つけました。
_08_harpiniopsis_sp

このヨコエビはマルソコエビ(ツノヒゲソコエビ科)と
思っていたのですが、頭部と第5胸脚を詳しく観察した結果、
ヒサシソコエビ科のスナカキソコエビ(Harpiniopsis sp.)
であることが分かりました。
_08_harpiniopsis_sp2

頭部の額角がひさし状に尖っています。


_09_harpiniopsis_sp3

第5胸脚もスナカキソコエビに似ています。
この種類は下記のページでマルソコエビとして紹介していましたが、
修正が必要です。

http://plankton.image.coocan.jp/Crustacea3-2-1-3-1-090.html

やや珍しいヨコエビとしては、
ホソヨコエビ(Ericthonius sp)を見つけました。
第2胸脚の構造が特殊なので分かりやすいですね。
_10_ericthonius_sp


海岸ではイソテングダニ(Neomolgus littoralis)を見つけました。
_11_neomolgus_littoralis

テングダニを見たのは初めてなので嬉しいです。
海岸動物図鑑によれば海岸に生息するテングダニは
岩の上で見られるそうですが、
今回は砂浜で打ち上げられた海藻周辺で見つかりました。
周辺ではハマトビムシなども見つかりました。

同定を確実にするために鋏角も観察しました。
尖った口の先端に鋏角のハサミがあります。
_12_neomolgus_littoralis2

1000倍で拡大観察すると分かりやすいです。
_12_neomolgus_littoralis3

可動指が尖っていて不動指よりも長いので、
ヒメイソテングダニから区別できます。

土壌生物も採取しましたが、
観察はこれからです。
目視ではこんな大きなヤスデもいましたので、
観察が楽しみです。

_13_

2017年4月 9日 (日)

イレコダニ科とタテイレコダニ科とヘソイレコダニ科

今回も焼津市のダニの話題です。
ササラダニを採取できたことは前に書きましたが、
紛らわしい名前の種類をまとめて採取できたので
ダニ初心者にとっては非常に助かりました。

なかでも、紛らわしい、というかややこしいのは
イレコダニの仲間です。

今回見つかったのは、
イレコダニ科(Phthiracaridae)と
タテイレコダニ科(Oribotritiidae)と、
ヘソイレコダニ科(Euphthiracaridae)です。

これらのササラダニに共通するのは、
体を丸めることができること。
脚も引っ込めることができます。
前回のフリソデダニと同じく、
捕食者からの防御に関係しているのでしょう。

さて、順に見ていきます。
まず側面から見た全体像です。

イレコダニ科(Phthiracaridae)です。
1_01

左側が前体部、右側が後体部です。

こちらも、イレコダニ科(Phthiracaridae)です。
2_01
2_02

前体部と後体部の間に脚があります。
防御時には前体部を折り曲げて、蓋のように閉じて
丸くなります。

タテイレコダニ科(Oribotritiidae)です。
_01

右側が前体部、左側が後体部です。
なんだか名前だけでなく、形もイレコダニ科に似ていますね。

こんどはヘソイレコダニ科(Euphthiracaridae)です。
1_01_2
側面からではイレコダニ科と区別できません。

こちらもヘソイレコダニ科(Euphthiracaridae)です。
2_01_2

上のヘソイレコダニと違うように見えますが、
これもヘソイレコダニ科です。
脚を伸ばしている状態です。

このように側面からでは、はっきり言って区別できません。

では、今度は腹面を見てみましょう。
まずイレコダニ科(Phthiracaridae)です。

1_02
1_03

田の字のような構造があります。
これは性肛門域(性殖門と肛門)で、
イレコダニ科の性肛門域は田の字になることが特徴です。

こちらは2番目のイレコダニ科(Phthiracaridae)の腹面です。
2_03
2_04
上の写真と同じく、性肛門域が田の字になっています。

今度はタテイレコダニ科(Oribotritiidae)です。
_02
_03
基本的には田の字型なのですが、
細長く伸びています。

ヘソイレコダニ科(Euphthiracaridae)です。
1_02_2
1_03_2

田の字型の構造が無く、
性肛門域の中央に小さな三角形の構造があります。
ヘソイレコダニの“へそ”ですね。

2番目のヘソイレコダニも見てみます。
2_02_2
2_03_2

やはり“へそ”があります。
側面からの形は違っていても同じヘソイレコダニということがわかります。

今回も日本産土壌動物を参考にしました。
イレコダニグループには他にもフシイレコダニ科や、
ニセイレコダニ科がいるそうです。
いつか、他のイレコダニも見てみたいですね。

2017年4月 1日 (土)

フリソデダニとフリソデダニモドキ

今回も焼津市で採取したダニの話題です。
焼津市では、たくさんのササラダニを採取できました。
そのなかの、フリソデダニ(Galumnidae)と
似た名前のフリソデダニモドキ(Galumnellidae)を紹介します。

まずフリソデダニです。
_01

正確にはフリソデダニ科(Galumnidae)の不明種です。
日本産土壌動物によればフリソデダニ科は世界で30属以上、
400種以上含む大きな科なので詳細な分類は難しいです。

形態的な特徴は、体の両側に翼状突起があること。
フリソデダニの名前の由来は“この翼状突起を振り袖に見立てた”
とのことです。

この翼状突起は可動式で、驚いたときなどに、
翼状突起の内側に脚を引っ込めて丸くなることができます。
島野 智之氏の書籍“ダニマニア”によれば、
ササラダニは堅い殻を持っているものの、
脚などの関節部分がウィークポイントなので隠す必要があるとのことです。
土壌生物の生存競争もなかなか厳しそうです。

ついでにフリソデダニの裏側です。
_02

ちょっと分かりにくいですね。

次はフリソデダニモドキです。
_01_2

前の写真のフリソデダニよりも立派な翼状突起を持っています。
日本産土壌動物によれば、特徴は、

“フリソデダニ科よりも前体部の幅が狭く、後体部の幅が広い”こと。

_02_2

こちらのほうが形が分かりやすいでしょうか。
なんとなく富士山型をしています。
フリソデダニは丸い感じですが、
フリソデダニモドキは多角形な感じがしますね。


_03

こちらの写真は表面に焦点を合わせて撮影した画像です。
フリソデダニもフリソデダニモドキも光を通さないし、
光を当てても黒いので、写真に写すのが難しいです。
通常の暗視野照明の他に、横方向から照明で照らして観察しました。

さて、上の写真では殻の中央部に編目模様があります。
この形状は日本産土壌動物のフリソデダニモドキ
Galumnella nipponica)に似ています。
日本には他にオキナワフリソデダニモドキも分布しますが、
大きさと編目模様の形状が異なります。
今回の種はフリソデダニモドキ(Galumnella nipponica)としてよさそうです。

_04
_05

上の2枚はフリソデダニモドキを裏側から見た画像です。
裏側からの方が翼状突起が分かりやすいかもしれないですね。

2017年3月20日 (月)

ホコダニ科(Parholaspididae) カマゲホコダニ属? 2017年3月焼津市

前回のブログで3月始めに静岡市~焼津の駿河湾で
海岸生物の採取を行ったことを書きましたが、
その時に土壌サンプルも採取していました。

採取地点は焼津市で、枯れ葉の下の腐葉土を採取しました。
ワラジムシやダンゴムシがいたので、
まあダニもいるかな、と思っていたのですが大漁でした。

今のところ、写真を撮っただけで分類していないのですが、
ササラダニの多様性が大きいようです。
トゲダニも1種類とれたので解剖を行いました。

今回はトゲダニの分類の報告です。
日本産土壌動物 分類のための図解検索に従って記載してみました。
長文です。
食事中の方は見ない方が良い写真があります。
もっとも、このブログと本体の“ねこのしっぽ 小さな生物の観察記録”を
食事中に見る方はあまりいないのでは無いかと思いますが・・・。

20170320_1
表側から見た全体像の写真です。
これだけで種類を調べるのは難しいですが、
背面の毛のパターンが分類の決め手になる場合もあるので、
毛が見えるような拡大画像も必要です。

20170320_2
背板前端の画像です。
j1というのは背板中央列の毛の再先端につけられた名前
(背板剛毛式)で、内側からj列、z列、s列、r列となっています。
つまりj1はj列の再前方ですね。
ポイントとしては再前方の毛はj1のみで、z1がないことです。
これが後で重要な情報になります。

20170320_3
裏側の写真です。
トゲダニの裏側を見ると、ところどころ色の濃い部分がありますが、
この部分を肥厚板と呼びます。
この肥厚板のパターンも重要な情報です。

20170320_4
肥厚板に焦点を合わせた画像です。
後から、腹肛板、生殖板、胸板を確認できます。
生殖板と胸板の間に点状の後胸板がありますが、
この倍率では分かりにくいです。

トゲダニの種類によって腹肛板、生殖板、胸板の形状は様々ですが、
今回のトゲダニの肥厚板のパターンは“ホコダニ型”です。
この時点でホコダニ科を意識することになります。

胸板の毛が何対あるかも重要なようです。
この個体は胸板に2対の毛を持つので、
毛が4対のヨコスジムシダニ科、コシボソダニ科、
ツブトゲダニ科が除外されます。

20170320_5
鋏角を観察するために、口器周辺を取り外したようすです。
あまり意識しないで撮影したのですが、
小角がよく見えるような向きで撮影した方が良かったです。

20170320_6
鋏角の拡大画像です。
鋏角は動く“可動指”と動かない“固定指”でできていますが、
可動指の付け根に毛束と呼ばれる構造があります。
毛束は羽毛状で、この時点でホコダニ科とハエダニ科に絞られます。

また、可動指に樹枝状突起があるかどうかも重要です。
この個体には樹枝状突起はありません。

20170320_7
毛束の拡大画像です。
1000倍で撮影した画像です。
ダニの撮影は40倍~1000倍まで幅広い倍率が必要なので大変です。

20170320_8
鋏角可動指です。
複雑な突起(歯)を持ちますが、
これも分類に重要な情報かもしれません。

20170320_9
20170320_10
こちらは鋏角固定指です。
突起(歯)の形が可動指とは異なりますね。

20170320_11
いきなりグロイ画像で申し訳ありませんが、
胴体部分の観察も続けなければなりません。
これは鋏角を取り外した後の胴体部分ですが、
透過光で観察すると、気門と周気管を観察できます。
周気管の形態も分類に重要です。

20170320_12
周気管と気門の拡大画像です。
周気管は気門周辺で湾曲せず真っ直ぐに伸びているので
ハエダニ科も除外できます。
残ったのはホコダニ科(Parholaspididae)です。

20170320_13
さらに周気管と気門を拡大した画像です。
これで1000倍です。

20170320_14
反対側の周気管と気門を撮影しました。
周気管内に空気が残留しているためにコントラストが高くなっています。

20170320_15
少しフォーカスを奥に持って行くと、
複雑に入り組んだ気管を観察できます。

さて次にホコダニ科内の詳細な分類に入ります。
まず、役立つのが先に観察した背板前端の画像です。

20170320_2_2
背板毛z1がなく、j1だけなので
カマゲホコダニ属か、ホコダニモドキ属に絞られます。

20170320_16
こちらは生殖板を中心に拡大した画像です。
画像左端は胸板、右端は腹肛板です。
矢印の先に小さな後胸板を確認できます。
ホコダニモドキ属には後胸板がないので、
カマゲホコダニ属(Gamasholaspis sp.)としてよいかもしれません。

ただし背板毛の数など、今回記載しなかった重要な情報が他にもあるので、
ここではホコダニ科(Parholaspididae)、カマゲホコダニ属?
(cf. Gamasholaspis sp.)としておきます。
なにしろ超初心者なので属レベルの同定は怖いです。

«駿河湾(静岡市~焼津)の海岸生物