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2019年3月16日 (土)

高崎観音山丘陵の土壌ダニ:2019年2月

高崎観音山丘陵の土壌(腐植)のダニ分析結果です。
例によって簡易ツルグレン装置でダニの抽出を行いました。

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ユメダニ属(Epicrius sp.)と思われます。
ヤマトユメダニ(Epicrius nemorosus)かもしれません。
オモゴユメダニ(Epicrius omogoensis)の背板はもう少し丸いようです。

ユメダニ属ユメダニ科(Epicriidae)に属しています。
日本ダニ類図鑑によれば“顆粒突起から成る網目状紋理と
顕著な側方の隆起顆粒をもち”とあります。
また、第1脚に先端が球状の感覚毛を持つことも特徴とのことです。
腹面には、顕著な前胸板があり、後胸板はありません。
生殖板と腹板が融合しています。
雄と思われる個体も見つけました。
珍しいトゲダニなので解剖はせずに、
エタノール標本にしました。

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アトツノダニ属(Asca sp.)と思われます。
クモマアトツノダニ(Asca nubes)かもしれません。
アトツノダニ属はマヨイダニ科(Ascidae)に属しています。
後縁に顕著な突起を持つことが特徴です。
後縁の突起から伸びる毛は羽毛状です。
生殖板の後縁は直線的で腹肛板が広いところなど、
細かな特徴も日本産土壌動物の記載と一致します。

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ツヤトゲダニ属(Gamasiphis sp.)と思われます。
日本産土壌動物の“ツヤトゲダニ属の1種”のイラストに良く似ています。
ツヤトゲダニ属はツブトゲダニ科(Ologamasidae)に属しています。
背板は1枚で、周気管板と側胸板が融合しているように見えます。
背板と腹肛板が後縁で融合する様子は確認できていませんが、
ツヤトゲダニ属で間違いないと思います。
同じツブトゲダニ科のマルツヤトゲダニ属(Stylochirus 属)は
周気管板と側胸板が融合しません。

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モリチョウコクダニ(Discourella silvestrisa)と思われます。
Discourella 属はイトダニ科に属しています。
背板中央の縦長の構造や、腹肛板の2対の網状彫刻肥厚域、
背板板の後端が左右離れて間に柔皮域がある特徴は
日本ダニ類図鑑の記載に一致します。
ただ、背板の3対の凹没部と外縁の毛の並びは確認できませんでした。
高崎観音山丘陵の試料からは複数個体が見つかっています。

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ササラダニだと思います・・・。
ヒワダニに似ているのですが、背面の皺が不明瞭です。
かなり派手な特徴を持っているので、
当初は楽に同定できそう、と思っていたのですが苦戦しています。
見当違いの分類群なのか、珍しい種類なのか、
いつかは同定できるのでしょうか。

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こちらも未同定のササラダニです。
タマゴダニの仲間に似ているのですが、
何しろ小さいので特徴がつかめていません。
未同定のササラダニが増えてきました。

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体長0.92mm、大型のササラダニです。
ヨロイジュズダニ(Tectodamaeus armatus)と思われます。
日本産土壌動物の記載によれば、
ヨロイジュズダニの体長は0.94mmなので一致しています。
太い棘状の背毛が特徴的です。
後縁の背毛は前方の背毛よりも細いです。

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ジュズダニ科の1種です。
ジュスダニ科を属レベルで確定するには肩突起の有無と、
脚の護毛の有無を調べる必要があるそうです。
次回、ジュズダニを見つけたら詳しく見てみることにします。
ただ、脚の脚の護毛の有無を判断するのは難しそうですね・・・。

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コナダニです。
コナダニは勉強不足で科レベルでの分類が難しいです。
もうちょっと目が慣れないといけないですね。

とりあえず、高崎観音山のサンプリングでは
新たにダニを5属見つけることができました。
もう少し腐植が残っているので再チャレンジできそうです。

2019年3月10日 (日)

高崎観音山丘陵(板鼻層)の巡検

先月の初めの事ですが、群馬県の高崎観音山に行ってきました。
山名八幡宮に参拝することが目的です。
以前にここで参拝してから腰痛が良くなったので、
毎年お参りしています。

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良い天気でした!

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さて、山名八幡宮は高崎観音山丘陵の東縁にあります。
高崎観音山丘陵は平野からの高さは100~150m程度のなだらかな丘です。
白衣大観音や、観音山ファミリーパークが有名で、
南側はゴルフ場など開発が進んでいます。
一方で、雁行川などの小河川沿いでは板鼻層(新第三紀層)の露頭をみることができます。

まず、雁行川上流の“千人隠れ”というポイントに行ってみました。

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落石防止のため近くに寄ることができず、
遠景写真になります。
分かりにくいですが、浸食によって下層がえぐられ小さな洞窟状になっています。
落ち武者が隠れたことが名の由来だとか。

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立ち入り禁止外の場所です。
凝灰岩層が浸食されて礫岩層が残っているようです。

この部分は渓谷になっていて冷たい風がながれています。
当日は暖かい陽気でしたが、谷底までは暖まらないみたいですね。
あるいは雁行川の冷水の影響かもしれません。

雁行川の川底には赤茶色の珪藻コロニーができていたので、
採取して顕微鏡で観察してみました。Planothidium lanceolatum(syn: Achnanthidium lanceolatum)や、
Ulnaria ulna(syn: Synedra ulna)などのおなじみの渓流生珪藻に混じって、
珍しい珪藻が見つかりました。

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Entomoneis sp.です。
生細胞なので細かな構造が見えにくいですが、
特徴的な形状なので属レベルでは間違いないと思います。
この珪藻のコロニーを見たのは初めてです。
今までは桧原湖で遺骸を数個体と海生の個体を見ただけでした。
こんなところに生息しているのですね。

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雁行川を下っていくと立派な露頭がありました。
工事現場を避けて近くに寄ってみます。

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浸食が続いているようです。
こういう場所では落石に注意が必要です。
新鮮な新第三紀層の露頭に近ずくと硫黄の匂いのような独特の匂いがします。
黄鉄鉱(FeS2)が風化して褐鉄鉱(FeO(OH)・nH2O )に変質するときに
硫黄が析出すると聞いたことがあります。
この硫黄が酸化して硫酸になると酸性土壌になったりするらしいですね。

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貝化石層がありました!
白く見えるところが貝化石です。

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少し近くに寄った画像です。
貝化石は断面で見えています。
風化が進んでいて取り出すのは難しそうです。
こういうところでは、化石の産状を観察することにしましょう。

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まず分かることは二枚貝の貝殻が1枚ずつ分離していることですね(離弁)。
貝が死んだ後に、水流にのって貝殻が移動したことを示しているので、
異地性の貝化石ということになります。
また、貝殻の凸面が下向きになっていることも
堆積環境を考える上でのポイントになります。
また、貝殻以外に目を向けると、砂から礫まで堆積粒子の粒が不均質であることが分かります。
地学では淘汰が悪いなどと表現します。

海岸や河原を見てみれば分かりますが、
一定の流れが続いているようなところは粒子の大きさが均質になります。
これは流速によって運ばれる粒子の大きさが決まっているからですね。
一般に流速の大きいところから運ばれた堆積物は
流速が遅くなるにつれて大きな粒子を落としていくので堆積粒子の粒が均質になります。

逆に、土石流などのように大量の土砂が一気に流れてきて、
イベントが一瞬で終わるときなどは
体積粒子の大きさが不揃いになるでしょう。
なのでこういった淘汰度も過去の環境を推測するための重要な指標になります。

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さて露頭を見上げてみると
層理面が張り出しているところがあり、
そこに葉の化石が露出していました。

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ここも落石の危険があるので写真を撮るだけにしておきます。
広葉樹の葉みたいですね。
葉の隣に“穂”のほうな化石もあります。

この近辺で土壌(腐植)を採取できました。
次回は観音山丘陵のダニのまとめを行います。

2019年2月16日 (土)

土壌生物の採取方法(トゲダニ詰め合わせ):川崎市2019年1月

前回のブログ記事の続きです。
自作の“DIY簡易ツルグレン装置”で採取したダニとトビムシを紹介します。
サンプルの腐植はお正月に近所の公園(川崎市)で採取したものです。
昆虫の幼虫とトビムシ、それにトゲダニ類を採取できました。
ササラダニが少なかったことが今回の土壌群集の特徴ですね。

まず、ハエダニです。
ハエダニ科(Macrochelidae)、ハエダニ属(Macrocheles sp.)と同定しました。
ねこのしっぽラボでは、ハエダニ属は2017年5月の新潟以来、2年ぶり2個体目です。
とはいえ、それほど珍しい種類ではないと思います。

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背板前端が突出しているか、そうでいないかでクチナガハエダニ属(Holostaspella sp.)かハエダニ属(Macrocheles sp.)かが分かれます。
本種の場合、やや判断が難しいのですが、
“日本ダニ類図鑑”と“日本産土壌動物”のイラストと比較すると
背板前端が突出しないハエダニ属(Macrocheles sp.)として良さそうです。

背板前端の背毛が1本失われていますね。
完全な標本はなかなか難しいです。

右下の画像は鋏角ですが、
細長い羽毛状の毛束があります。
“日本産土壌動物”の検索図説ではこの毛束を持つのは
ホコダニ科(Parholaspididae)とハエダニ科(Macrochelidae)になります。

では、ホコダニ科とハエダニ科をどう識別するかというと・・・。

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こちらは周気管後端の気門の拡大写真です。
周気管後端がくるっと湾曲してます。
これはハエダニ科の特徴です。

対して、ホコダニの周気管後端は直線状です。
過去の記事“トゲダニ亜目 ホコダニ科 ホコダニ属(Holaspina属) 茨城県2018年1月”をご参照ください。

ハエダニ科はトビムシや昆虫を補食するそうです。
今回のサンプルからはハエ・アブ類の微細な幼虫が多数見つかったので、
これらを捕食していたのかもしれませんね。

続いてヤドリダニ科(Parasitidae)です。

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背板が2枚に分かれていて、
大型の後胸板を持っています。
形態的にはEugamasus属に似ているように思います。

詳細な分類には背板毛と蝕肢の観察が必要なようですが、
ヤドリダニ科を初めて見たので見逃してしまいました。
なので、ヤドリダニ科の1種としておきます。
次回は属レベルまで持って行きたいですね。

ヤリダニ科(Eviphididae)です。

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ナミヤリダニ属(Copriphis sp.)と同定しました。
“日本産土壌動物”のコガネムシダニ(Copriphis disciformis)の記載に似ています。
周気管板の後端が幅広く、生殖板の後縁に達します。
第2~4脚の基節間は離れています。
(近縁のセマルヤリダニ属(Evimirus属)は第2~4脚の基節間が狭いです)
トゲダニにしては同定が容易なタイプですね。

こちらもヤリダニ科ですが、第2~4脚の基節間が狭いです。

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こちらはセマルヤリダニ属(Evimirus属)と思われます。
同じ場所にヤリダニ科の2属が共存していたのですね。
ねこのしっぽラボではヤリダニ科自体が初で、
一気に2属記載できました。

イトダニ科の1種です。

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Uroobovella sp.と思われます。
和名はタマゴイトダニ属でしょうか。
体長1.1mm。大きさ的にはキュウヒタマゴイトダニ(Uroobovella japanomarginata)に類似します。
日本ダニ類図鑑によれば胴長1.05mmとされています。
ただ、イトダニ科の同定は難しいので、
あまり自信がありません。
茶褐色で硬化が進んでいるので光が透過しにくく、
細かな構造の観察が難しいです。

小型のイトダニ科です。

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Uroobovella属に似ていますが、
図鑑の記載を読んでいても、これだっ、という確信がありません。
幼体かもしれないですし、個体数を増やして確認したいですね。

ホコダニ科の1種です。

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鋏角と気門の特徴を見る限り、
ホコダニ科なのは間違いないと思うのですが、
顎体突起と後胸板の有無を観察できていないので、
再観察が必要です。
採取地は家から徒歩圏内なので、後で採取しましょう。
蚊が発生する前に。

という訳でダニは終わりです。
初めて見るトゲダニが複数いたので満足度は高かったです。

続いてトビムシです。

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イボトビムシ科(Neanuridae)なのは間違いないですが、
細かな分類ができていません。
トビムシは多様性が非常に大きいので勉強が大変です。

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こちらはツチトビムシ科(Isotomidae)だと思います。
跳躍器が長いタイプですね。
トビムシの記載があっさりしていてすみません・・・。
興味が無いわけじゃないんですけど、
別の機会にちゃんとやりましょう。

2019年2月 7日 (木)

土壌生物の採取方法(DIY簡易ツルグレン装置)

土壌生物の採取をするには冬から春にかけての期間が適しています。
冬でも土壌生物は見つかりますし、
草が生えていないのでサンプルを採取しやすい。
そして何より蚊がいない!

そのような訳で今回は“ねこのしっぽラボ”で実際に使っている
土壌生物採取装置(DIY簡易ツルグレン装置)を紹介します。

まず材料ですが、こんな感じです。


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右側の上から、(1)金属製のざる、(2)用途不明のろうと、(3)プラスチック製の容器
この3つの部品でDIY簡易ツルグレン装置2号機を作ります。

左側は進化したタイプで、
(1)園芸用のフルイ、(2)プラスチック製の容器で、
これだけでDIY簡易ツルグレン装置3号機を作ります。

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それぞれ、こんな感じで組み立てます。
固定はビニールテープです。
途中で白色のビニールテープが無くなったので紅白のおめでたい感じになってしまいました。

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さらにアルミホイルで覆って遮光します。
この後、内部に各々150ミリリットルの水道水を注いでおきます。

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できあがった2号機、3号機を上から見たところです。
下のビニール袋にはサンプルの腐葉土が入っています。

冬になると落ち葉が積もりますが、
落ち葉の層と、土が接する辺りには黒く変色したボロボロの落ち葉があります。
この部分は薄いのですが、その部分(腐植)を採取すると
たくさんの土壌生物が見つかります。

また、採取場所ですが、森の奥深くに入って行かなくても、
車道脇の側溝付近で十分です。
側溝にたまった落ち葉を掃除するような感じで除去すると、
腐植が見つかることがあります。
さすがに町中の側溝は無理ですが、
山道の車道脇には落ち葉がたまっていることが多いですね。

今回は川崎市で採取しました。

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腐植を2号機、3号機に充填したところです。

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こちらが2号機の写真。
落ち葉が細かくなっています。
土壌生物が落ち葉を分解している証拠ですね。
2号機のザルの編み目は粗いので数mm程度の大型の土壌生物がターゲットです。

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3号機の写真です。
フルイの編み目が細かいので1mm以下のダニやトビムシの採取専用です。

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土壌を充填した簡易ツルグレン装置を風通りの良いベランダに放置します。
本格的なツルグレン装置は白熱電灯を照射して土壌生物をトラップに追い込むのですが、ねこのしっぽラボの方法は太陽光を利用します。
その代わり、3日~1週間ほど時間をかけて土壌生物を抽出します。
室内には置かない方が良いでしょう・・・。
大型のミミズなどが装置の外に出てくることがあります。

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1週間放置してカラカラになった腐植です。
今回の試料は土(鉱物)の成分がほとんど入っていないので、
乾燥するとすごく軽くなりました。

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2号機の写真です。

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3号機の写真です。


腐植がカラカラに乾燥したら網やフルイを解体して、
プラスチック製の容器の水を観察します。

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昆虫の幼虫やミミズなど大型の生物は水底に沈んでいます。
大型のササラダニやトゲダニも水底に沈んでいることが多いですが、
肉眼では観察が難しく、実体顕微鏡があると便利です。
だいたい生きています。
今回はハエ・アブの幼虫が多かったです。

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トビムシや小型のササラダニは水面に浮かんでいることが多いです。
白いホコリのようなものや、赤い粒がトビムシです。
トビムシは1mmくらいの大きさなので注意すれば肉眼でも動いていることが分かります。

今回のサンプルではササラダニはあまり見つかりませんでした。
逆にトビムシやトゲダニが多く見つかりました。
今回撮影できたトビムシやトゲダニは次回の記事で紹介したいと思います。

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ちなみにこちらは秋田県で採取した腐植で、
今回の試料よりも分解が進んでいます。
この試料からはササラダニが多く見つかりました。
腐植の分解の程度によって土壌生物の種類も変わるようです。
自由研究のテーマに良いかもしれないですね。

2019年1月27日 (日)

ゾエアとメガロパ

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横浜の金沢八景で2014年5月に採取したゾエア幼生です。
ゾエア幼生はエビ、ヤドカリ、カニなどの十脚類の幼生ですが、
写真のゾエアはカニの幼生と思います。
ただ、種や属の識別は難しいですね。

カニ類ではゾエアの次にメガロパ幼生になります。

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写真のメガロパは2017年8月に牡鹿半島で採取したものです。
種類は不明です。
ですので、最初の写真のゾエアとは種類が違う可能性があります。

ゾエアはカニとは全く異なる形をしていますが、
メガロパは立派なハサミを持っていてカニに似ています。
カニとの違いは腹部を伸ばしているところですね。

さて、ゾエアが脱皮を行ってメガロパになるわけですが、
ゾエアの何処にメガロパのハサミや胸脚が入っているのか不思議に思っていました。

ですが、ついに見つけました!

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ハサミを持つゾエアです。
どうやらメガロパになる直前の状態みたいですね。
胸脚もできています。
ハサミはゾエアの頭部や腹部に収まっていたわけでは無いのですね・・。
思いっきりはみ出してます。
このゾエアは昨年の夏に男鹿半島で採取したものですが、
写真を整理していて気がつきました。
写真を撮っているときは流れ作業なのであまり気がつかないものですね。

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こちらのゾエアも同じ時に採取したもので
胸脚ができています。

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こちらは同じ場所で採取したメガロパです。
時空間が一致しているので同じ種類かもしれないですね。

2019年1月 9日 (水)

クラミドモナス(Chlamydomonas sp.):2016年 霞ヶ浦

藻類の画像を整理していたら、
わりと綺麗なクラミドモナス(Chlamydomonas sp.)の写真があったので
ブログにあげておきます。

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2016年に霞ヶ浦で採取した個体です。
細胞の下側の赤い構造は眼点です。
細胞の中央にある楕円形の大きな構造はピレノイドです。
核と思われる構造がピレノイドの左側にあります。
さらにその左側、鞭毛の付け根には収縮胞があります。

ところで、クラミドモナスの写真を撮ると、
かなりの確率で眼点が真横を向くのですが、
なんででしょうね。

2019年1月 3日 (木)

2019年、良い年でありますように

今年もよろしくお願いいたします!

2019

昨年はホームページの更新ができませんでしたが、
画像データは順調にまとまってきています。
今年春に藻類画像デーベースの更新、
秋に土壌生物の更新を計画しています。
甲殻類(主にヨコエビ)の更新は年内にできるかどうか、
一応、今年中の更新を目指します。

昨年のトピックスは、
伊豆大島と男鹿半島に遠征したこと、
三番瀬で干潟のエビ・カニを採取できたこと、
カニのマクロ撮影用のデジタルカメラを導入したこと、
生物顕微鏡に偏光フィルターを組み込んで
石灰質ナノ化石の撮影に成功したこと、
こんなところでしょうか。

さて、今年はどんな年になるでしょうか?
事故と健康にだけは気を付けたいですね。
まずは1月11日に大腸内視鏡検査が待ってます・・・。

2018年12月16日 (日)

モクズヨコエビ科(Hyalidae)の1種:伊豆大島2018年3月

ハマトビムシ上科の分類に苦戦しています。
最大の課題としてモクズヨコエビ科のProtohyale属と、
Hyale属(モクズヨコエビ属)の違いが分かりません。
ヨコエビ類の分類は日本海岸動物図鑑だけが頼りなのですが、
Protohyale属の記載が無いのですよね・・・。

例えばこの種です。
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今年の3月に伊豆大島で採取したヨコエビです。
モクズヨコエビ科で間違いないかな、と思っています。
模様だけを見るとProtohyale affinis(フサトゲモクズ)に似ています。

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こちらは第1触角。

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こちらが第2触角です。
第2触角は体長の半分よりも明らかに短いですね。
小川 洋氏の「東京湾のヨコエビガイドブック」によれば、
フサトゲモクズの触角は体長の半分くらいだそうなので、
この種(個体)は当てはまらないですね。

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第1胸脚です。
際だった特徴は無いです。

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第2胸脚です。
雄なのは間違いないですが、際だった特徴は無いです。

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第3胸脚です。

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第4胸脚です。

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第5胸脚です。

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第6胸脚です。

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第7胸脚です。

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これは第1胸脚の底節板(第1底節板)です。
矢印のところに突起があります。
「東京湾のヨコエビガイドブック」によれば、
フサトゲモクズ(Protohyale affinis)の第1~4底節板は
後縁に突起があるそうです。
ただ、日本海岸動物図鑑によればHyale属のフサゲモクズ(Hyale barbicornis)
も突出部があるそうなので、決め手にはならないですね。

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第2胸脚の底節板(第2底節板)です。
矢印のところに突起があります。

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第3胸脚の底節板(第3底節板)です。
矢印のところに突起があります。

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第4胸脚の底節板(第4底節板)です。
矢印のところに突起があります。

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続いて第1尾肢です。
「東京湾のヨコエビガイドブック」によれば、
フサトゲモクズ(Protohyale affinis)の第1尾肢柄部外側には
長いトゲがあるそうなのですが、この個体(種)にはそれがありません。
いえ、少しだけ他よりも長いトゲはあるのですが、
「東京湾のヨコエビガイドブック」のイラストよりも短いです。
やはり、フサトゲモクズ(Protohyale affinis)ではないみたいですね。

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第2尾肢です。
第3尾肢は取り損ねたので
あとで他の個体の画像を紹介します。

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尾節板です。
尾節板は完全に双葉に分かれています。
このことからヘッピリモクズ属(Allorchestes 属)ではないようです。

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念のため腹部も載せておきます。

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別個体です。
こちらも個体も解剖を行いました。
第3尾肢だけ掲載します。

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第3尾肢です。
第3尾肢は単柄のようです。
なのでフタアシモクズ属(Parallorchestes 属)ではないようです。
ただ、フタアシモクズ属は双柄とはいっても、
短い方の柄は、かなり短いので見逃さないようにしたいですね。

といった理由で結局、この個体の属レベルの同定はできませんでした。
とりあえず、モクズヨコエビ科の1種としておきます。

2018年11月18日 (日)

チビヨコエビ科 Gitanopsis属:茨城県 2018年1月

秋も深まってきて眠いです。
個人的には春よりも秋の方が眠いです。

今回はデータ整理中のヨコエビの画像です。
というか、今年は甲殻類や土壌生物のデータ整理で終わってしまいそう。
ホームページの更新は来年ですね。

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今年の正月に茨城県で採取したヨコエビです。
基本的にはチビヨコエビ科(Amphilochidae)に似ています。
そのなかでもGitanopsis属に似ています。
同じチビヨコエビ科のApolochus属にも似ているのですが、
ポイントがよく分かりません・・。
今回はGitanopsis属の1種としておきます。

このヨコエビはこれまでにも見つけていましたが、
不明種として処理していました。

ヨコエビ_分類群190(260)
http://plankton.image.coocan.jp/Crustacea3-2-1-3-1-260.html

10月にブログで紹介したチビヨコエビ科(Amphilochidae)の不明種にも似ています。

さて解剖の記録です。
まず触角です。

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上が第1触角、下が第2触角です。
どちらも触角も短いです。
第1触角には毛状の棘があります。

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顎脚です。

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大顎です。
長く伸びている部分は鬚(Palp)と呼ばれる部分です。

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第1胸脚です。
掌縁が丸みを帯びています。
咬脚のタイプは“Transvers (Rectipalmate)”と呼ばれるタイプのようです。

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第2胸脚です。
掌縁が丸みを帯びていますが、第1胸脚よりは直線的です。
咬脚のタイプは“Transvers (Rectipalmate)”と呼ばれるタイプのようです。
10月にブログで紹介したチビヨコエビ科(Amphilochidae)の不明種とは、
形状が大分異なります。

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第3胸脚と第4胸脚です。

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第5胸脚と第6胸脚です。

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第7胸脚です。

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第1尾肢です。
内肢と外肢の両方を持ちます。

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第3尾肢です。
内肢と外肢の両方を持ちます。
第2尾肢は分離し損ねました。

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尾部の形状です。
これを見ると第2尾肢も二肢型のようですね。

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尾節板です。
尾節板は細長い三角形で、
第3尾節が両脇から包むように伸びていて、
全体的には漢字の山のような形状になっています。
この形状は10月にブログで紹介したチビヨコエビ科(Amphilochidae)の不明種に類似します。

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腹節です。
ヒョウ柄ですね。

2018年11月15日 (木)

カマアシムシ:秋田県男鹿半島(2018年8月採取)

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秋田県の男鹿半島でカマアシムシを採取しました。
カマアシムシは節足動物門 六脚上綱 内顎綱 カマアシムシ目に属しています。
3対の胸脚があるので昆虫に似ていますが、
共通しているのは六脚上綱までで昆虫(昆虫綱)ではありません。
トビムシ目とコムシ目とともに内顎綱を構成します。
内顎綱と昆虫は近縁で、無翅亜綱として昆虫綱に含まれていたときもあります。

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写真は100倍の画像です。
今回撮影した写真では確認できませんが、
腹部に3対の腹肢(付属肢)があります。
前脚(第1胸脚)を鎌のように折り曲げ、前方に突き出して触角の代わりに使います。
触角はありません。
目もありませんが、頭部背側面に1対の偽眼(感覚器)があります。

カマアシムシは1mm前後の小さな虫なので、
ほとんど目にすることはないと思いますが、
昆虫の系統進化を考える上では面白い虫です。


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